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映画レビュー
トリッキーなサイコホラー
韓国映画の大胆不敵でトリッキーな脚本がパク・チャヌクやポン・ジュノが登場する遙か半世紀前から既に大成されていたことを思い知るに十分な一作だった。『パラサイト』が本作を一つの偉大な範型にしていることは自明だ。
平和なブルジョア一家の前に現れたのはメイド(=下女)志願の若い女。彼女は一昔前のノワール映画に出てくるファム・ファタールよろしく一家の主人を籠絡する。ここまではいかにも一家の悲惨な破滅を予感させるような筋立てだし、実際にそれは当たっているのだが、そこへ辿るまでの道筋は面白おかしく曲がりくねっている。
下女の孕んだ子供が流産に終わる、というあたりまではギリギリ想定の範疇内だったが、そこから巻き起こる悲劇のドミノ倒しには思わず笑ってしまった。子供を喪ってからというもの、下女からはすっかりファム・ファタールの耀いが消え失せ、愛と屈辱と憎悪に取り憑かれた鬼畜と化す。物語はもはや貧富のエレジーといった射程から大きく逸脱し、さながらサイコホラーの様相を呈する。階段、殺鼠剤といった危うげな伏線が一気呵成に爆発する終盤の展開には目を瞠る。
無責任な梯子外しのようなラストシーンは普通であれば立腹もののはずなのに、あまりにも勢いがあるものだから面白さが勝っている。「男であれば誰もがそうですからね」と画面に向かって微笑む主人から目を逸らしてしまった俺の負け。