リップヴァンウィンクルの花嫁のレビュー・感想・評価
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世界は美しい
3時間との映画と聞いて長いかと
思ったけど、全くそれ感じさせない
岩井監督ワールドが広がっている。
コッコ、黒木華の美しさはもちろん
人間がもつ本来の優しさに気づきました。
世界って美しく、優しい。
思惑通り
岩井俊二の思惑通りにはまって観賞するのが良いのではないでしょうか^^;計算されたカメラワークとカット割り、それに合わせた自然体の演出…演技も上手くはまっているので、長さを感じず、堪能できるのではないでしょうか。
ファンタジーを無理やり押し込すぎたかな
『この世界はさ、本当は幸せだらけなんだよ』
岩井俊二ワールドなのか・・・正直よくわからない。ただ世間の評価はかなり高くて、みんながいい感性しているのか僕と感覚が違うのか。
SNSで知り合った男女がまるでネットショップのような安易さで交際しそして結婚に至る。ネットでの出会いは男女が出会うツールとしては特別なものではない。凡庸ではあるがイライラするくらい不器用な、黒木華演ずる七海はSNSの中に自分の本音を閉じ込めている。SNSでの自分と、リアルな世界での自分にどれだけの乖離があるのか・・・たぶん実はそんな表裏はなく、そこには同じ自分が同じ息を吸っているんだと思う。それがSNSのダイナミズムなんだろうな。
この映画は、綾野剛演ずる「アムロ」に象徴されていた。結婚披露宴出席者代行業、別れさせ屋、友達代行業・・・イージーでお手軽で、まるでワンクリックのような安易さで人生まで買えてしまう。そして後腐れのない人と人との距離感や関係性の薄っぺらさを自覚しつつも、そこでもがき苦しみながら自分の居場所を探し求めている人たちに、そのツールをひょうひょうと宅配便的な手軽さで提供していく。そして現代社会に生きる人たちの細い細い繋がりを補強していくのだ。Cocco演ずるAV女優、真白は「お金すら買うんだよ」といってファンタジーのようなシチュエーションの中で自死する。アムロが七海を連れ添って荼毘に付された真白の遺骨を母親に届けるが、はじめ投げやりに死んだ娘をののしる母親だが酔いにつれて少しでも娘の気持ちを理解しようと裸になって死んだ娘を共有し寄り添おうとし、それに感銘したアムロが裸になって一緒に泣きむせぶ。ただアムロの演出は少々くさかったが、まぁ監督の意図は伝わった。
映像美や挿入される音楽はすごく快かったし映画としては3時間の長編なのだが退屈せずに観ることができた。ただ、岩井俊二のファンタジーなイメージの枠に無理やり押し込めようとした感が否めない。期待していただけにちょっぴり残念な映画でした。
美しい
三時間もあるのに、一瞬たりとも眠くならず、終ってしまうのが悲しかった。もっともっと、一晩中でもこの続きを観たい、そう思いました。
無駄な場面はなく、たくさん撮ったのを切り詰めたんだろうな、と思わせる潔い場面転換でしたが、ファンのために「ディレクターズカット」とかいって、四時間ぐらいのものも出してもらいたいものです。
観た後、ずっと心に残っていて、結局一週間後にもう一度観ました。一回目よりもさらに感動しました。
あと、音楽の使い方が素晴らしいと思いました。ほとんどが「ベタな」有名クラッシック音楽なんですが、あたかもミュージック・ビデオであるかのような、音楽のために画面があるのか画面のために音楽があるのか分からないぐらい、映画の一部となっていました。特に、メンデルスゾーンの『歌の翼に』が、画面の美しさと相まって、強く印象に残りました。この曲とその映画の場面は、一生、心に残ると思います。
そして、黒木華さん。結局、岩井監督は黒木さんのプロモーションビデオを作りたかったのかしら、と思うぐらい、映画と切り離せない。
何もなかったように
うまく言葉に出来ず2週間たってしまいました。
・・・人は無くしたものを、胸に美しく刻めるから、いつも、いつも、何もなかったように明日を迎える・・・劇中歌「何もなかったように」を聴くと映画を思い出して泣けてきます。それは決して悲しい涙ではなくあたたかく幸せな涙です。
この歌詞のように、七海も明日からまた、これまで起きたことすべてを胸に抱いて、前よりも少し元気になって生きて行くのでしょうね。
映画の冒頭、ポストでの待ち合わせの時に小さく手を上げ声を出すことも出来なかった七海と、最後に明るく手を振り大きな声でありがとうございましたと言う七海との対比が印象的で観終わった後優しい余韻がずっと心に残りました。
3時間があっという間で観終わったあとすぐにもう一度観たいと思いました。映像もすごく綺麗でずっと観ていられます。
黒木華さん綾野剛さんCoccoさんもこれ以外考えられないぐらいのはまり役で素晴らしかったです。
特に綾野剛さんの何でも屋の七変化振りがなんとも楽しく、胡散臭さ満載で酷い人なのに、困った時にはすぐに駆けつけてくれる頼りになるヒーローのようでもあり、くすっと笑えて飽きませんでした。
岩井監督が途中からあてがきしたと言うだけあって彼にしか出来ない役だと思います。
3時間
長い映画はあまり好きではないのであまり期待せずに観た。
途中やはり長いなぁと感じたが観てよかったと思える映画。
こんな話ある?からラストまで飽きなかった。
映像も美しい。
出演俳優みなさん はまり役だと思える。
岩井監督人選さすがです!
無駄が多いんじゃない?
個人の感想です。
真白とクライマックスに向かっていく過程、
ドレス姿で洋館で食事をするシーンは素敵でした。
クラシックの使われ方もよかったです。
しかし、この物語において序盤の結婚式のシーンや両親とのやり取りは必要なのでしょうか。
新郎新婦の不協和音がこれでもかというほどに描かれ、それはそれでキャラクター性を伝えるには必要かもしれませんが、役者をふんだんに使うほどのことか?と。
あそこでボリュームをもたせすぎていることで、
真白との出会い以降とのバランスがいびつで、
視聴者が混乱してしまうのではないでしょうか。
安室や真白がいつから関与していたのか、
それは最後まで語られぬ謎部分ですが、
セリフ等から最初から仕組まれていたように想像できます。
そうだとしても、元夫や自分の家族との関与シーンが長い!
真白と出会って以降、
話は少しのミステリーを以ってドラマチックに展開していき、
楽しめるようになります。
しかし、クライマックスの真白の母との飲酒シーンの白々しさは受け取れない…
全員で泣き笑いしながら酒を飲む、それを演出で綺麗なものに仕立て上げてますが
あのシーンは主人公にそんなに意味を与えうるものでしょうか。
ナナミというひたすら主体性のない女が、安室(悪)に助けを求めながら、ひたすら周りに流されていく。その過程で出会った真白という女性との愛を機に自分を解放することに成功し、1人で希望をもち生きていく本作。
小さな嘘を繰り返し、同調しかできずに本音は全てWEBで語るのみな主人公にフラストレーションが溜まるだけ溜まってカタルシスはうすい。
本作を観て涙が止まらなかった〜とか言ってる人の、なきポイントがどこなのかを説明されてみたい。
しあわせに包まれながら
この映画は不条理である。そして、不条理はその中に一遍の真理や真実があったりもする。
七海の父は言う。「(結婚で)しあわせになって欲しい」と。
そして七海は結婚した。「男性」とではなく「不条理」とだ。
そして最後に正体不明だった安室が涙を流しながら素っ裸になったことで誰もがこの「不条理」が「悪意」ではなく「やさしさ」で作られた事を知る。
つまり七海は「やさしさ」と結婚したのだ。と。
わからないまま押しきられる
安室が依頼されて黒木華に目をつけたのがどの段階からなのか?彼女のもともとの生活を破壊したのは彼ではないのか?
ストーリーは余白というか余韻が多くて
もやもやするけど黒木華やリリィの演技や映像で魅せられる。
退屈はしなかったけど、好き嫌いが別れそう。
真白が七海に[この涙があればいつでも死ねる]話した言葉が好きだったけど、
自分が死ぬと知っていたのが映像で分かってからは遺言だったんだと気づいた。
個人的には、健康体の彼女に、思いの強さとして表現して欲しかったけども。。
リリィ達と位牌を囲んで、裸で飲むシーンは、予想できなくてやるせなかった。
なにか、さらっと流れずに、心にひっかかる感じです。この感じは、忘れられない日々を過ごした誰もが持ってるデジャ・ビュに触れられてしまったからかな。
Coccoが居ない前半は前振り
岩井俊二監督の作品で一番楽しかった♪ランバラルとアムロが嫌いになりそう(笑)な胃の痛くなるような前半からCocco演じる真白が登場してからのつかの間の平和。そしてタイトルの意味が明確になるクライマックス。
三時間の長尺に全て意味があり、実に満足感のある読後感に映画を鑑賞する喜びを感じさせていただきました。
劇版がすごい of 2016
黒木華演じる皆川はとにかくあらゆる事象(仕事、結婚など)に対して受動的であり、匿名でSNSにホンネを吐き出す。誘われるがままに、結婚式の友人席には代理人を雇い、「旦那が浮気していますよ」と突然家に訪ねた男をおいそれと部屋にあげる、珈琲かお茶を淹れようとする。見ているこちらはイライラする。「なぜ自分で考えないんだ」「どうして何でもかんでも人の言いなりなんだ」物語が進み、それまで一切かからなかった劇中歌、メンデルスゾーンが流れてふと気づく、同族嫌悪だなと。
本当に劇中歌(劇版)の使い方が素晴らしかった!特に開始1時間程度だろうか、僕のイライラが最高潮に達していた時に初めてかかる劇版、ドローンによる不思議な浮遊感のある映像、黒木華の神がかった演技、万歳!生きててよかった!ありがとう岩井!最高だ!蒼井優を躍らせた時からお前のことが大好きだ!これだけで1,800円の価値があると思った。
皆川を離婚に追いやった張本人は安室なのか、クライアントは母なのか、なぜ皆川が真白のパートナーに選ばれたのか、なぜ真白は皆川を生かしたのか、分からないことだらけの映画ではあるが、満足感がすごい。わからないことは、パンフレットをじっくり自宅で読みながら、考えることにしよう。本当に幸せな映画だった。
-0.5は、やっぱり180分は長いよね、ということで。
3時間見せきる。
ストーリーテラー岩井俊二がその本領を発揮した。
とかく映像のセンスで語られることが多いと思われる岩井俊二だが、映像センスだけでは3時間はもたない。
「Love Letter」にしろ「スワロウテイル」にしろ「リリィ・シュシュのすべて」にしろ、そのストーリーテリングがものをいっている。
七海(黒木華)が鉄也(地曵豪)と出会って、結婚し、離婚するまでの物語の転がし方はあざやかというしかない。
翻弄される七海もかわいそうだが、ひと役かっている風の安室(綾野剛)がまたあやしげである。
そう、安室はあやしいのだ。七海が浮気しているかのような写真や動画を鉄也の母(原日出子)に送ったのは安室なのだ。
夫の浮気相手の彼氏(和田聰宏)ともつながっている。
この一件の解決を見ないまま、映画は終わってしまう。
安室が、里中真白(Cocco)の依頼を受けたのがいつだったのか。
これはもう想像するしかないのだが、七海は結婚式を憂鬱がっていた。それはSNSのブログで安室は知ることができる。
披露宴の代理出席を提案し、鉄也のことを調べ、、、いや、安室が真白の相手として七海を選んだのは、もっと前か。
そういえば、安室と七海が初めて会ったとき、安室はすぐに七海とわかった感じだった。
もしかすると、冒頭、七海と鉄也が初めて会うところも安室は見張ってた?そんなカメラワークにも思える。
このわからない、というのがなんともいい。いくらでも考えることができる。
そして、りりィである。
岩井俊二は、またひとつ傑作をものにした。
女の子が一人で生きていく。
不安定な女の子の世渡りを見ているだけでハラハラしていました。
ネット社会・詐欺・親族のトラブル…
今の世の中で問題になっている題材を取り上げ、うまいこと組み合わせてるなぁと唸りました。
七海がどうして回りに流されてるところを冷静に見てられるでしょうか。
あー!なんで!と心で叫びながら見ました。
今をいきる女の人に是非見ていただきたいです。
3時間何て気にならないくらい吸い込まれます。
明日を生きていく糧になるはずです。
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