リップヴァンウィンクルの花嫁のレビュー・感想・評価
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辿り着いた“幸せの限界”。1人の女性の不思議な運命。
【賛否両論チェック】
賛:幸せな生活が一転し、全てを失った主人公。そんな彼女が数々の出逢いに助けられ、少しずつ居場所を見つけていく様子に、心温まる。彼女を取り巻く不思議な人間模様や、その人間達が織り成すドラマにも、観ていて感慨深いものがある。
否:如何せん上映時間が長いので、途中で飽きてしまいかねない。
幸せの絶頂から突然全てを失い、途方に暮れる小心者の七海が、数奇な出逢いに導かれるように、少しずつ自分の居場所を見つけていく姿に、観ている側も少しずつ心が洗われていくようです。
そして、そんな彼女に寄り添う登場人物達にも、秘められた過去や感情があるのが、また印象深いです。
「男と女は、どこまでも厄介なもの。」
と話す安室の言葉や、
「コンビニの店員さんが、自分の買った物を袋詰めしてくれるのを見ていると、『私なんかに・・・』って胸が締めつけられる。」
と語る真白の苦悩が、心に響きます。
難点としては、上映時間が3時間とかなり長いので、興味がないと退屈を通り越して、苦痛かも知れません(笑)。
それでも、七海や安室そして真白と、彼女達が織り成す人間模様が、果たしてどのような終着点を迎えるのか、その辺りを是非ご覧になってみて下さい。
これは怖い映画、それが分からない?
ヒューマンドラマなんて思っている奴が居るのが恐ろしい。なんも考えていない、人生に立ち向かうことをしない大バカ娘がいいように食い物にされ続けている。エンディングで本人が幸せそうにしているのが救いようがない。手配師に良心が残っていて、懺悔することを期待したが、それもなし。真実は彼女に告げられることは無い。この後、AVに売られるのだろうな。本人は自分の意思で選択したと思いこんで。愛のむきだしより岩井俊二はえぐい。
現代の良心
けっこう期待してましたが、それ以上に素敵な作品でした!!
3時間だなんて感じないって言う感想を多く見たので、ほんとかな〜?なんて思ってたけど、本当にあっという間だった。もっと観ていたいって思った。
観ていて思ったのは、常識に縛られなければ、もっと幸せになれるっていうこと。
気づかないことも少なくないけれど、人の心にある温かさに触れる機会って実は周りに溢れているということ。
黒木華さんの健康的なかわいらしさ、Coccoさんの影のある美しさ。そして衣装のかわいさと映像の美しさ…。幸せな3時間でした。
観終わった後、無理のない温かさと優しさに満たされる作品でした。今のところ、今年観た作品の中で一番すき。
伏線と回収、取捨選択。
伏線とその丁寧な回収を期待してみる映画ではないのはわかっているのだけれど、前半のイライラさせられる部分を耐えた割に後半特に主人公の成長を見られるわけでもなく、辛い。その見る辛さの表現力は役者の演技と共に良かったけど、それならなんらかのカタルシスがほしい。
また、雑に放り込まれる登場人物の多さと、薄っぺらさが居心地悪かった。バイト中に出会う同級生や通信で教えるこども、偽装親族になった家族、マネージャーやAV女優仲間。葬式屋。本当に必要でなさそうな役者が登場しては放つセリフのひとつひとつが薄っぺらく場を回すためのものにしか思えない。
最後の母親の所はセリフも含め悪くなかった。取捨選択というか力を入れる部分とそうじゃない部分の差が激しすぎるというか。
自転車で草むらを歩くシーンやウェディングドレスで水槽に囲まれベッドで寝転ぶシーンなど綺麗で印象的なシーンもおおいけど、そういう画を撮りたいからと無理やりな舞台転換をすることも居心地が悪い。
ファンタジーに突っ込むのもあれだけど、非常勤も公務員だからアルバイトはできないし(私立の派遣みたいな形なのか?それならそれで特殊すぎる気が)、もっと設定にリアリティ持たせて欲しかった。
綺麗な心に戻れる作品
なんとなく見つけた彼となんとなく結婚した。それが幸せだと思っていたから...。
幸せの象徴である結婚。しかし、待っていたのは家政婦のような生活。そして、ある日どん底に落とされる。
人がもうこれ以上失うものは無いと感じた時、本当に大切にしたいものが見えてくる事を教えてくれる。自分が経験しているかのように。
体裁ばかり気にして、身動きができなくなっている現代人にしっとりと見てもらいたい作品。
岩井俊二なおも健在
長年の岩井俊二ファンとしては、岩井俊二の才能なおも健在というかんじで嬉しく観ました。3時間なんてあっという間だった。タランティーノの映画より短く感じたし終わってしまうのが名残惜しく感じた。
黒木華さんは佇まいも声も可愛らしくて素敵。最初は頼りなく、自信なさげで、降りかかる不運に翻弄されていくのを切なく観ていたが、だんだんたくましくなっていって、最後にはスッキリした笑顔で手を振る姿に、胸が熱くなったし、明るい気持ちになった。岩井俊二の映画観てるー!という気分になった。
ライゾー
一本ずれた列にいてアンチを大量生産しながらも、オシャレ感を出そうとして溢れ出るダサさと大衆性のバランスを武器に間違いなく第一線で長きに渡り活躍している変態おやじたちが私は好きだ。ex)小林武史、秋元康など
黒木華を、ルックス面でも演技面でもとても見直した。
あんまり好きじゃない女優だと思っていたら超好きな感じの女優だった。
36
世界は美しい
3時間との映画と聞いて長いかと
思ったけど、全くそれ感じさせない
岩井監督ワールドが広がっている。
コッコ、黒木華の美しさはもちろん
人間がもつ本来の優しさに気づきました。
世界って美しく、優しい。
思惑通り
岩井俊二の思惑通りにはまって観賞するのが良いのではないでしょうか^^;計算されたカメラワークとカット割り、それに合わせた自然体の演出…演技も上手くはまっているので、長さを感じず、堪能できるのではないでしょうか。
ファンタジーを無理やり押し込すぎたかな
『この世界はさ、本当は幸せだらけなんだよ』
岩井俊二ワールドなのか・・・正直よくわからない。ただ世間の評価はかなり高くて、みんながいい感性しているのか僕と感覚が違うのか。
SNSで知り合った男女がまるでネットショップのような安易さで交際しそして結婚に至る。ネットでの出会いは男女が出会うツールとしては特別なものではない。凡庸ではあるがイライラするくらい不器用な、黒木華演ずる七海はSNSの中に自分の本音を閉じ込めている。SNSでの自分と、リアルな世界での自分にどれだけの乖離があるのか・・・たぶん実はそんな表裏はなく、そこには同じ自分が同じ息を吸っているんだと思う。それがSNSのダイナミズムなんだろうな。
この映画は、綾野剛演ずる「アムロ」に象徴されていた。結婚披露宴出席者代行業、別れさせ屋、友達代行業・・・イージーでお手軽で、まるでワンクリックのような安易さで人生まで買えてしまう。そして後腐れのない人と人との距離感や関係性の薄っぺらさを自覚しつつも、そこでもがき苦しみながら自分の居場所を探し求めている人たちに、そのツールをひょうひょうと宅配便的な手軽さで提供していく。そして現代社会に生きる人たちの細い細い繋がりを補強していくのだ。Cocco演ずるAV女優、真白は「お金すら買うんだよ」といってファンタジーのようなシチュエーションの中で自死する。アムロが七海を連れ添って荼毘に付された真白の遺骨を母親に届けるが、はじめ投げやりに死んだ娘をののしる母親だが酔いにつれて少しでも娘の気持ちを理解しようと裸になって死んだ娘を共有し寄り添おうとし、それに感銘したアムロが裸になって一緒に泣きむせぶ。ただアムロの演出は少々くさかったが、まぁ監督の意図は伝わった。
映像美や挿入される音楽はすごく快かったし映画としては3時間の長編なのだが退屈せずに観ることができた。ただ、岩井俊二のファンタジーなイメージの枠に無理やり押し込めようとした感が否めない。期待していただけにちょっぴり残念な映画でした。
美しい
三時間もあるのに、一瞬たりとも眠くならず、終ってしまうのが悲しかった。もっともっと、一晩中でもこの続きを観たい、そう思いました。
無駄な場面はなく、たくさん撮ったのを切り詰めたんだろうな、と思わせる潔い場面転換でしたが、ファンのために「ディレクターズカット」とかいって、四時間ぐらいのものも出してもらいたいものです。
観た後、ずっと心に残っていて、結局一週間後にもう一度観ました。一回目よりもさらに感動しました。
あと、音楽の使い方が素晴らしいと思いました。ほとんどが「ベタな」有名クラッシック音楽なんですが、あたかもミュージック・ビデオであるかのような、音楽のために画面があるのか画面のために音楽があるのか分からないぐらい、映画の一部となっていました。特に、メンデルスゾーンの『歌の翼に』が、画面の美しさと相まって、強く印象に残りました。この曲とその映画の場面は、一生、心に残ると思います。
そして、黒木華さん。結局、岩井監督は黒木さんのプロモーションビデオを作りたかったのかしら、と思うぐらい、映画と切り離せない。
何もなかったように
うまく言葉に出来ず2週間たってしまいました。
・・・人は無くしたものを、胸に美しく刻めるから、いつも、いつも、何もなかったように明日を迎える・・・劇中歌「何もなかったように」を聴くと映画を思い出して泣けてきます。それは決して悲しい涙ではなくあたたかく幸せな涙です。
この歌詞のように、七海も明日からまた、これまで起きたことすべてを胸に抱いて、前よりも少し元気になって生きて行くのでしょうね。
映画の冒頭、ポストでの待ち合わせの時に小さく手を上げ声を出すことも出来なかった七海と、最後に明るく手を振り大きな声でありがとうございましたと言う七海との対比が印象的で観終わった後優しい余韻がずっと心に残りました。
3時間があっという間で観終わったあとすぐにもう一度観たいと思いました。映像もすごく綺麗でずっと観ていられます。
黒木華さん綾野剛さんCoccoさんもこれ以外考えられないぐらいのはまり役で素晴らしかったです。
特に綾野剛さんの何でも屋の七変化振りがなんとも楽しく、胡散臭さ満載で酷い人なのに、困った時にはすぐに駆けつけてくれる頼りになるヒーローのようでもあり、くすっと笑えて飽きませんでした。
岩井監督が途中からあてがきしたと言うだけあって彼にしか出来ない役だと思います。
3時間
長い映画はあまり好きではないのであまり期待せずに観た。
途中やはり長いなぁと感じたが観てよかったと思える映画。
こんな話ある?からラストまで飽きなかった。
映像も美しい。
出演俳優みなさん はまり役だと思える。
岩井監督人選さすがです!
無駄が多いんじゃない?
個人の感想です。
真白とクライマックスに向かっていく過程、
ドレス姿で洋館で食事をするシーンは素敵でした。
クラシックの使われ方もよかったです。
しかし、この物語において序盤の結婚式のシーンや両親とのやり取りは必要なのでしょうか。
新郎新婦の不協和音がこれでもかというほどに描かれ、それはそれでキャラクター性を伝えるには必要かもしれませんが、役者をふんだんに使うほどのことか?と。
あそこでボリュームをもたせすぎていることで、
真白との出会い以降とのバランスがいびつで、
視聴者が混乱してしまうのではないでしょうか。
安室や真白がいつから関与していたのか、
それは最後まで語られぬ謎部分ですが、
セリフ等から最初から仕組まれていたように想像できます。
そうだとしても、元夫や自分の家族との関与シーンが長い!
真白と出会って以降、
話は少しのミステリーを以ってドラマチックに展開していき、
楽しめるようになります。
しかし、クライマックスの真白の母との飲酒シーンの白々しさは受け取れない…
全員で泣き笑いしながら酒を飲む、それを演出で綺麗なものに仕立て上げてますが
あのシーンは主人公にそんなに意味を与えうるものでしょうか。
ナナミというひたすら主体性のない女が、安室(悪)に助けを求めながら、ひたすら周りに流されていく。その過程で出会った真白という女性との愛を機に自分を解放することに成功し、1人で希望をもち生きていく本作。
小さな嘘を繰り返し、同調しかできずに本音は全てWEBで語るのみな主人公にフラストレーションが溜まるだけ溜まってカタルシスはうすい。
本作を観て涙が止まらなかった〜とか言ってる人の、なきポイントがどこなのかを説明されてみたい。
しあわせに包まれながら
この映画は不条理である。そして、不条理はその中に一遍の真理や真実があったりもする。
七海の父は言う。「(結婚で)しあわせになって欲しい」と。
そして七海は結婚した。「男性」とではなく「不条理」とだ。
そして最後に正体不明だった安室が涙を流しながら素っ裸になったことで誰もがこの「不条理」が「悪意」ではなく「やさしさ」で作られた事を知る。
つまり七海は「やさしさ」と結婚したのだ。と。
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