リップヴァンウィンクルの花嫁のレビュー・感想・評価
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良質で、日本映画らしい作品
最初から最後まで、おもわず集中してみてしまう。みとれてしまう。そんな映画でした。
色々なシーンが自らの人生の様々なシーンと重なって、あの時の涙なのかなんなのか、おもわず涙。
あとから紐解かれていく真実が、うっすら予想はできていたけど、そうなのか・・・と思いつつ、やはりもう一回謎解きの姿勢で見直してみたい!
おまけ
紀里谷さんの友情出演と役どころには声出して笑いました!
初岩井作品。3時間の長尺作だがどこか異質な出来事が積み重なって、小...
すごく大事な事を思い出す映画
岩井俊二監督の切り取った日本の今
ちと、長い。
安室はインターネット社会そのものだと思った。
便利に使えるけど、少し気を抜くとあっという間に取り込まれる。
岩井監督作品の雰囲気というかテンポ感が好きなので楽しめた部分はもちろんあるけど、とにかく主人公にイライラした。被害者面してるけど、あなたそれ自分のせいでもあるからね?と説教したくなる。(これは女性あるあるな気がする…。岩井監督の映画ファンの男性は、ああいったタイプが好きな人が多そうな。。)
黒木華は良かったけど、「そうそう、黒木華ってこういう役うまいよねー」という感じで特に驚きはない。
そんなこんなで、三時間は長いと思った。
前半をもう少し削っても良かったと思うんだけど、それも岩井監督の作品らしさと言えばそうなのかもしれない。
母
所謂「良い」母親が一人も出てこない。
七海の母…子どもを捨て出奔。
鉄也の母…異常な過干渉。
真白の母…子に捨てられたのか、子を捨てたのか。
なりたい母親像がない。なりたい大人のモデルがいない。その世界で子どもはどうなるか。
七海は典型的な「成熟拒否」の少女だ。(社会人だが見た目も中身も少女だ。)
どんな大人になりたいのか何がしたいのか自分でもサッパリ分かっていない。
母に愛されなかったのではないか、必要とされなかったのではないか。その怖れに無意識に捕われている。世から必要とされてない代わりに七海も誰かを強烈に必要としていない、無くすのが怖いから誰の事も愛せない。
そんな七海は、安室の紹介する仕事にホイホイ乗る。必要とされることが嬉しい、役目を与えてくれることが嬉しい。だからついていってしまう。
真白と出会うことで、理屈とは関係なしに強烈に必要とされていることを知る。何者でもない自分を無条件で受け入れてくれることを知る。
そして七海も無条件で真白を欲する。今まで誰かを強烈に愛せなかった七海が、殻を破って一歩踏み出す。初めて真剣に一人の人間と向き合う。「愛されたい」「庇護されたい」とばかり願ってきた受け身の少女が、初めて主体となって誰かを愛する。「少女」からの脱出。
最後、七海は、真白の「母」と対峙する。真白の代わりに。そして自分の母と対峙する代わりに。
「母」から庇護してもらいだけの「少女」ではもうない。「母」を赦し受け入れ、自分も赦される。母親からの独立。ささやかな成長。
—
心理学では、「成熟拒否」と母娘問題はセットで語られる事が多い。「成熟拒否」の少女の成長物語として、ものすごく理にかなった、筋の通った映画だなあと思った。安室は変種のカウンセラーだなあと。
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「理にかなった」映画だから良いと思ったわけではなく。
ビジュアル的にもストーリー的にも大島弓子さんの少女漫画のような世界だなあと(そういえば大島さんの漫画も「成熟拒否」と母親のモチーフが結構多いなあ)。大島さんの世界は、あのフワフワした線の絵だからこそ許されるのであって、その雰囲気を実写映画で成立させるのはなかなか難しい。それを成立させているのがやっぱり凄いなあと。若い頃は流行ものに対する反感でどうしても岩井俊二監督が好きになれなかったが、ここにきてそういうわだかまりも溶け素直に鑑賞できた。
よくよく自分が巻き込まれた状況を確認してくださいよ、君は被害者なんですから。
「リップヴァンウィンクル」のタイトルだけに、おとぎ話のようなフワフワ感がある。
・・・と、思ったら大間違いだよ、あなた。
なんで七海は、自分が騙されていることに気付かないの?
ラスト、自分は幸せ者だ、的な終わりでいいの?
君が頼りにしている安室は、詐欺師だよ?
しかも、君の人生を壊した張本人だってわかってる?
ああ、だめだ。
黒木華が好きなので、彼女のPVだと思えばあきらめがつくが、それにしても3時間は長い。
主演が彼女じゃなければ、途中退席してただろうな。
で、友達に聞かれたので映画のタイトルを言ったら、
「ユウサクが室田を脅した話の続きか?」と返ってきた。
まあ、世間ではいいとこそのくらいの認識だよ。
不思議な気分に包まれます
様々な事象と運命が重なり合って、
物理的にも精神的にも”居場所”を無くした主人公・七海が
少しずつ生きる意味や居場所を見つけていく物語。
最初の1時間は七海の受け身さにもどかしさといらだちが募りますが、それ以降の真白と出逢ってから亡くなるまでの展開はとても素晴らしかったです。
「友達が欲しい」という真白に”ずーっと一緒に”と言った七海。
ずっと一緒にいてくれる=死ぬまで一緒にいてくれる、と言ってくれた人と結婚式場で花嫁になれたこと。
それが真白にとって最高の幸せで、それによって人生を終わらす決意ができたのだと思いました。
そしてそれが彼女のトンネルの出口だったのだと。
最後、真白の母と会うシーンもとてもよかったですが、
安室まで裸になったのは笑いを通り越して個人的には醒めてしまいました(笑)
物語の最初と最後の七海の手の振り方や、
前後半での不登校の生徒とのやりとりの違いから、七海の成長・変化を感じることができて温かい気持ちになりました。
こういう部分の何気ない表現、
さすが岩井監督といったところでしょうか。
明けない夜はないし、止まない雨はない。
そんなようなことを伝えたかったのかなあと個人的には解釈しました。
観る人ごとで大きく感想が変わってくる善い作品だと思います。
ただ、やっぱり180分はちょっと長い。。。
辿り着いた“幸せの限界”。1人の女性の不思議な運命。
【賛否両論チェック】
賛:幸せな生活が一転し、全てを失った主人公。そんな彼女が数々の出逢いに助けられ、少しずつ居場所を見つけていく様子に、心温まる。彼女を取り巻く不思議な人間模様や、その人間達が織り成すドラマにも、観ていて感慨深いものがある。
否:如何せん上映時間が長いので、途中で飽きてしまいかねない。
幸せの絶頂から突然全てを失い、途方に暮れる小心者の七海が、数奇な出逢いに導かれるように、少しずつ自分の居場所を見つけていく姿に、観ている側も少しずつ心が洗われていくようです。
そして、そんな彼女に寄り添う登場人物達にも、秘められた過去や感情があるのが、また印象深いです。
「男と女は、どこまでも厄介なもの。」
と話す安室の言葉や、
「コンビニの店員さんが、自分の買った物を袋詰めしてくれるのを見ていると、『私なんかに・・・』って胸が締めつけられる。」
と語る真白の苦悩が、心に響きます。
難点としては、上映時間が3時間とかなり長いので、興味がないと退屈を通り越して、苦痛かも知れません(笑)。
それでも、七海や安室そして真白と、彼女達が織り成す人間模様が、果たしてどのような終着点を迎えるのか、その辺りを是非ご覧になってみて下さい。
これは怖い映画、それが分からない?
ヒューマンドラマなんて思っている奴が居るのが恐ろしい。なんも考えていない、人生に立ち向かうことをしない大バカ娘がいいように食い物にされ続けている。エンディングで本人が幸せそうにしているのが救いようがない。手配師に良心が残っていて、懺悔することを期待したが、それもなし。真実は彼女に告げられることは無い。この後、AVに売られるのだろうな。本人は自分の意思で選択したと思いこんで。愛のむきだしより岩井俊二はえぐい。
現代の良心
伏線と回収、取捨選択。
伏線とその丁寧な回収を期待してみる映画ではないのはわかっているのだけれど、前半のイライラさせられる部分を耐えた割に後半特に主人公の成長を見られるわけでもなく、辛い。その見る辛さの表現力は役者の演技と共に良かったけど、それならなんらかのカタルシスがほしい。
また、雑に放り込まれる登場人物の多さと、薄っぺらさが居心地悪かった。バイト中に出会う同級生や通信で教えるこども、偽装親族になった家族、マネージャーやAV女優仲間。葬式屋。本当に必要でなさそうな役者が登場しては放つセリフのひとつひとつが薄っぺらく場を回すためのものにしか思えない。
最後の母親の所はセリフも含め悪くなかった。取捨選択というか力を入れる部分とそうじゃない部分の差が激しすぎるというか。
自転車で草むらを歩くシーンやウェディングドレスで水槽に囲まれベッドで寝転ぶシーンなど綺麗で印象的なシーンもおおいけど、そういう画を撮りたいからと無理やりな舞台転換をすることも居心地が悪い。
ファンタジーに突っ込むのもあれだけど、非常勤も公務員だからアルバイトはできないし(私立の派遣みたいな形なのか?それならそれで特殊すぎる気が)、もっと設定にリアリティ持たせて欲しかった。
綺麗な心に戻れる作品
岩井俊二なおも健在
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