お父さんと伊藤さん
劇場公開日:2016年10月8日
解説
「ロマンス」「百万円と苦虫女」のタナダユキ監督が中澤日菜子の同名小説を映画化し、上野樹里とリリー・フランキーが20歳の年の差カップルを演じた人間ドラマ。書店でアルバイトをしながら気ままに暮らす34歳の彩は、給食センターでアルバイトする20歳上のバツイチ男性・伊藤さんと付き合っている。小さな古アパートで同棲している2人は、庭で家庭菜園をするなどし、慎ましくも穏やかな毎日を送っていた。そんな彼らのもとに突然、息子の家を追い出された彩の父親が転がり込んで来る。こうして3人の奇妙な共同生活がスタートするが……。頑固だがどこか憎めないヒロインの父親役にベテラン俳優の藤竜也。「四十九日のレシピ」の黒沢久子が脚本を手がけた。
2016年製作/119分/G/日本
配給:ファントム・フィルム
スタッフ・キャスト
全てのスタッフ・キャストを見る

- ×

※無料トライアル登録で、映画チケットを1枚発行できる1,500ポイントをプレゼント。
2016年10月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
ネタバレ! クリックして本文を読む
親子ってどう考えても厄介で、お互いのこと、嫌というほど知ってるつもりなのに、改めて向き合うと実はなんにも知らないことに愕然となる。過去にいろんな忘れ物をしてきた人はきっとなおさらだ。本作の父、娘、息子のように。
タナダユキ監督はそんな家族を糾弾するでもなく、リリーさん演じる“伊藤さん”のような緩やかな視点で珍騒動を見守る。伊藤さんが佇んでいるだけで、彼が自然体で一言放つだけで、お父さんへの処方箋みたくスクリーンがほっこり安定する。でもそれに甘えて問題を先延ばしにする面々に彼が放つ一言もピシャリと重い。
複雑になりすぎた家族の方程式の果てに、ごくシンプルに浮かび上がっていく互いの“気持ち”。炎を冷ますように落ちる雨粒。そして走り出すヒロイン。彼女が父を全力で追い求めたのはおそらく人生で初めてだったのではないか。ともあれ、目を閉じると伊藤さんの微笑ばかりが浮かんでくるのは何故だろう。
2022年7月1日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
■息子夫婦の家を、堅苦しい性格故に自らの意思で家を出た父(藤竜也)は、娘・彩(上野樹里)と20歳年上の彼氏・伊藤さん(リリー・フランキー)が暮らす部屋へやって来る。
拘りのある性格の父は彩たちの穏やかな日常を一変させるが、3人は少しずつ距離を縮めていく。
そんなある日、父は置き手紙を残して行方不明になってしまい…。
■私は、タナダユキ監督のファンである。初めて劇場で観たのは「四十九日のレシピ」であった。(今作のパンフは、今でも時折読み返す。)で、「百万円と苦虫女」をレンタルで観て、「ロマンスドール」映画愛に溢れた「浜の朝日の嘘つきどもと」を劇場で鑑賞し、タナダユキ監督の魅力を再確認した。
今作は、私の居住区では物理的に観れなかったのであるが、配信にて漸く鑑賞出来た作品である。
◆感想
・タナダユキ監督作品に共通していると思うのであるが、登場人物は、皆、何等かの屈託を抱えつつも、善性溢れる人ばかりである。
ー 監督の、人を見る優しき視点が好きである。-
・今作も、魅力的な登場人物が描かれる。
それは、教職40年の藤竜也さんが演じるややお堅い父”口癖は、・・・ではないかな?”である。
そして、彩と付き合うことになった年の差20年の男、伊藤さん(リリー・フランキー)である。
・この二人の、血のつながりがないのに、相手を思い遣る気持ちが、何とも心地よいのである。
・お堅い父を訪ねて来る且つての教え子。その名をキチンと覚えている父。
ー お堅い父が、実は生徒たちに慕われていた事が分かるシーンである。-
■ホームセンターで交わす、父と伊藤さんの螺子について、楽しそうに交わす会話も良い。
<父が自ら下した施設に入るという選択肢。
”私が居ると、皆に迷惑をかけてしますのではないかな?”という台詞。
オロオロする血のつながった家族の姿と対比した、その言葉を許容する伊藤さんの姿。
今作は、派手さはないが、品性ある映画であると私は思います。>
2021年7月14日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
ネタバレ! クリックして本文を読む
緩い展開のほのぼのストーリー。コンビニのバイトで知り合った2人だったが、彩(上野)は本屋のバイト、伊藤さん(リリー)は小学校の給食おじさんのバイトをしている。お父さんが住みだしてから、昼間にどこへ行っているのか突き止めようと尾行する彩。しかし、特に変わった様子はない。中濃ソースは悪魔の食べ物で、ウースターソースじゃなきゃダメだと主張するお父さん。柿は買うものじゃないとか・・・
ある日、暴行魔を捕まえて警察で事情聴取されたお父さんだったが、実は万引きの常習犯だったことも明らかになる。徐々に厄介者だと自覚をして、彩の家を飛び出し、空き家となった実家に帰ってしまう。彩と伊藤さん、そして彩の兄とともに探し出して話し合おうとした翌日、落雷で火事となって全焼してしまう。後生大事にしていた段ボール箱には万引きで集めたスプーンがいっぱい!
最後には勝手に介護付き有料老人ホームへと契約を済ませたお父さん。認知症なんてまだまだ縁がなさそうなのに、勿体ない気がする。ありがちな設定だけに、親を介護するとか、いろんなことを考えさせられる。ありそうにないのが20歳の年の差カップルってところか・・・
ガンコな人間に振り回される気持ちわかります(涙) 日々の生活を静かに描いた作品好きなんです! 邦画はあまり観ないのですが、数少ない好きな邦画のうちの1本です(笑)