劇場公開日 2016年6月18日

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「【”そしてもう誰も帰って来ない家、葛城家。”鑑賞中、鑑賞後の嫌な気持ちが尋常でない作品。”ある意味凄いな、赤堀雅秋監督。”と思った作品でもある。】」葛城事件 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5【”そしてもう誰も帰って来ない家、葛城家。”鑑賞中、鑑賞後の嫌な気持ちが尋常でない作品。”ある意味凄いな、赤堀雅秋監督。”と思った作品でもある。】

2024年9月19日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

怖い

難しい

ー 赤堀雅秋監督作品は、「その夜の侍」を観て、堺雅人さんのそれまで観たことが無い笑顔を封印した演技と、山田孝之の狂気の演技に驚いたモノである。
  だが、流石にこの作品は劇場で鑑賞するのを辞めた記憶がある。
  しかし、矛盾するがずっと気になっていた映画でもある。-

◆感想<Caution!内容に触れています。>

・今作は、葛城家の長、清を演じた三浦友和氏の狂気性を帯びた、暴力的で、相手を恫喝する、自らの所業を全く反省しない姿が矢張り印象的である。

・そして、妻の伸子(南果歩)が、家庭が崩壊しつつある中で、コンビニ弁当を独りで食べる姿や、引きこもりの二男の稔(若葉竜也)もコンビニで弁当を食べる精気の無い表情が、実に不気味である。

・冴えない営業マンである保(新井浩文)は、成績が上がらないために会社を馘首されつつも、それを妻(内田慈)に言い出せずに、毎日”行ってきます。”と家を出ても、公園で一人過ごす姿や、再就職の面接で自分の名前も言えない所などは、清の悪影響を明らかに受けていると思う。
 そして、飛び降り自殺した保の葬儀で、酒に酔った伸子が保の妻に言った言葉。”何で気が付かなかったの。貴女が殺したのよ。”
 伸子も、この時点で壊れている事が分かるのである。

■一番、気持ち悪かったのは死刑制度反対論者の田中麗奈が演じた星野順子である。
 私が死刑制度賛成論者であるからかもしれないが、多数の無実の人を殺傷し、死刑を言い渡された二男の稔と獄中結婚する考えが、全く理解不可能である。
 これが、無実の罪を訴えている人であれば別であるが、稔は生きる意味を失っている愚かしき男である。
 最近はこのような犯罪は減っているが、世の中に不満があるからと言って、無辜なる人を巻き添えにする輩は、速攻で断頭台の露にすべきと私は思っているからである。
 多分、この一連のシーンは赤堀雅秋監督の、実際に起こった事件への強烈な怒りを逆説的に描いているのだと思う。と言うか、思いたい。

<ラストも、又シニカルである。清がマイホームを建てた時に植えたミカンの木で首を吊ろうとするも、綱が切れ、清は又一人で家に戻り飯を食い、稔が処刑された事を伝えに来た星野順子に抱き着く姿は、最早人間ではないであろう。
 今作は、ある意味凄いな、赤堀雅秋監督・・、と思った作品である。>

NOBU