フランス組曲のレビュー・感想・評価
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タイトルなし(ネタバレ)
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一番印象に残ったのは、ラスト。
リュシルを案じてバイクで駆けつけた中尉に惹かれました。
そして、義母が逃亡してきた友人を匿ったところも。
戦時下でも一人ひとりに人間らしさがあり、
法律や規則だけで割り切れない感情がある。
リュシルやブルーノ中尉だけでなく、どの役も魅力的でした。
稲妻のような真実を抱きしめて生き抜く
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ドイツ軍が進駐してきたフランスの田舎町。
戦争に出た夫の安否も知れず、不安な日々を過ごすリュシルをミシェル・ウイリアムズが好演。旧家であるリュシルの嫁ぎ先に寄宿するドイツ人将校がまたいい。音楽という共通理解が二人の距離を縮めていく過程がとても丁寧で、心打たれた。一線を越えなかった(越える意思はあったが越えられなかった)ふたりでありながら、深く深くゆるぎない絆で結ばれた様が画面からしんしんと伝わってきて切なかった。
中尉と別れた後のリュシルの心境を考えたとき、茨木のり子という詩人の『歳月』という詩を思い出した。
その詩の最後は、
「たった一日っきりの
稲妻のような真実を
抱きしめて生き抜いている人もいますもの」
という言葉でしめられている。
まさにリュシルは、いつか終わるであろう戦争のあとに、中尉との再会を期して、生きる希望としていたのではないだろうか。
たいして中尉は、別れの場面の一件を見過ごしたことで、そのことを自分の罪と密かに秘め、命を落とすことに躊躇がなかったのではないだろうか。
そんなふたりの結ばれることのなかった恋が、柔らかなピアノの旋律に見事にシンクロしていた。
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