フランス組曲のレビュー・感想・評価
全5件を表示
ナチスドイツに対する忖度。
先ずは原作が未完のフィクションである事を認識した上で鑑賞すべきだ。
フランス人と、ドイツ兵との間に恋愛はこの映画のように小説でも描かれている。しかし、あくまでも序章に於ける副主題で『ドイツ人とフランス人のサーガ』の様なストーリー展開である。原作は10年くらい前に読んだと記憶するが、時間があれば、もう一度読んでみたい。『アンネの日記』と同様に、普通の人のごく普通の話を基本としている。だから、サーガが完成されていれば、彼女は如何なるドイツ兵も許す事は無かったと想像する。
原作の一部であるこの映画は、ナチス・ドイツに対する偽善的な言い訳に見えてくる。
こんな話で平和を願って貰たくない。
ドイツの生活を知りたくば、クラウス・ゴルドンさんの『ベルリン1933年から『ベルリン1945年』までのサーガをおすすめです。
ナチス・ドイツが容易にフランスの一部を占領出来たのは、ユダヤ系の民がいたからだ僕は思う。彼等ユダヤ系はフランス人にとっても、異端の民だったのだとに思う。
そして、満州で日本人も同じ様な事をする。しかし、満州人は絶滅危惧種大和民族よりも漢民族に近い。つまり、三者の関係が日本人は分かっていなかった。だから、日本人は満州で、目立った愚行を加えたのである。
勿論、フランス同化政策も満州政策も砂上の楼閣で瓦解するのは早かったが。
かなわない恋だから
ドイツ占領下のフランス片田舎での話。
外国人同士でも敵国同士でも惹かれる時は惹かれるし、好きになる時は好きになる。ブルーノと
リュシルはピアノを介して惹かれあう。結ばれてほしかったという思いと、結ばれなかったからこそ深く心に残ったという思いが交差した。
ブルーノの抑制の効いた所作が軍人らしく美しかった。原作者がドイツに迫害されている立場のユダヤ女性というのにも驚いた。
一番印象に残ったのは、ラスト。 リュシルを案じてバイクで駆けつけた...
一番印象に残ったのは、ラスト。
リュシルを案じてバイクで駆けつけた中尉に惹かれました。
そして、義母が逃亡してきた友人を匿ったところも。
戦時下でも一人ひとりに人間らしさがあり、
法律や規則だけで割り切れない感情がある。
リュシルやブルーノ中尉だけでなく、どの役も魅力的でした。
稲妻のような真実を抱きしめて生き抜く
ドイツ軍が進駐してきたフランスの田舎町。
戦争に出た夫の安否も知れず、不安な日々を過ごすリュシルをミシェル・ウイリアムズが好演。旧家であるリュシルの嫁ぎ先に寄宿するドイツ人将校がまたいい。音楽という共通理解が二人の距離を縮めていく過程がとても丁寧で、心打たれた。一線を越えなかった(越える意思はあったが越えられなかった)ふたりでありながら、深く深くゆるぎない絆で結ばれた様が画面からしんしんと伝わってきて切なかった。
中尉と別れた後のリュシルの心境を考えたとき、茨木のり子という詩人の『歳月』という詩を思い出した。
その詩の最後は、
「たった一日っきりの
稲妻のような真実を
抱きしめて生き抜いている人もいますもの」
という言葉でしめられている。
まさにリュシルは、いつか終わるであろう戦争のあとに、中尉との再会を期して、生きる希望としていたのではないだろうか。
たいして中尉は、別れの場面の一件を見過ごしたことで、そのことを自分の罪と密かに秘め、命を落とすことに躊躇がなかったのではないだろうか。
そんなふたりの結ばれることのなかった恋が、柔らかなピアノの旋律に見事にシンクロしていた。
全5件を表示