「僕達をおとしめた銀行の愚行を知るいい素材」マネー・ショート 華麗なる大逆転 Cディレクターシネオの最新映画レビューさんの映画レビュー(感想・評価)
僕達をおとしめた銀行の愚行を知るいい素材
いつものことながら、
放題「マネー・ショート 華麗なる大逆転」なんて、
ラストまで変な期待をしてしまいました。
内容は華麗も逆転もなく、
腐った銀行のシステムに挑んでいった
シリアスなお話。
ホントこういう配給会社のしかけは、
ややこしいからやめてほしいですね。
作品に失礼ですよ(笑)
ポスターのビジュアルからも、
みんながチームを組んでるのかと思いましたが、
これも全然違うのね。
クリスチャン・ベールは頭脳、
スティーブン・カレルは収集、
ブラッドピットは偶然。
3つのグループの違った視点から、
徐々に情報が組み上がっていくさまは、
身震いがするほどの脚本の力。
脚色賞も納得です。
観客が知ってる最後の悪夢まで、
ドキュメント映画のような緊張感を
持続しているのがとても良かった。
3つのグループが絡まないのも、
段取りくさくなくて好感でした。
この作品の素晴らしいところは、
かなり難しい金融話をユーモアで
わかりやすく観客を引きつけるところ。
MBS(住宅ローン担保債権)、CDO(住宅ローン債権)、
CDSなど、ちんぷんかんぷんな言葉が飛びかいますが、
面白く解説してくれます。
それでもさっぱりだわっ(笑)
けど感覚的にはわかるので心配無用。
人道を無視した利益主義の銀行が、
新底怖くなってきますね。
そしてエンタメのようなラストではなく、
事実に基づいたリアル、
すなわち悲しさで終わらせるところがいい。
自分たちが儲けても、
辛いしせつなさしか残らない。
そんなホントの感覚が伝わるから、
胸に響いてきます。
これが作品の魅力の全て。
エンタメ映画に関わってきたプロデューサーのブラピが、
そこにこだわっていたなら、
嬉しいと思いました。
「リーマンショック以降の日本」と
よくニュースで聞きますが、
日本も未だ不況から抜け出せないですね。
なかなか給料が上がらないこの国で、
自分たちをおとしめた元凶である
銀行の愚行を知るには、
とてもいい素材です。
そして。銀行のインチキな債権が、
今後も生まれることのないよう願うばかり。
ああ映画って、
いろんなことを教えてくれますね(笑)