ブルーに生まれついてのレビュー・感想・評価
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イーサン・ホークの迫力…
チェット・ベイカー自体をサラッとしか知らなく、堕ちていった伝説のジャズマンをイーサン・ホークが演じるという好奇心だけで見に行きました。
成功して、才能だけで怠惰に暮らして堕ちていったミュージシャンの物語って、どうやっても明るく飾り立てることは出来ないし、暗く、心にどよっとしたものが残るお話になってしまいますよね…
徐々に坂を下りて行く、間延びしたストーリーなだけに、イーサン・ホークの演技の迫力と熱のこもった歌、トランペットにはハッとしました…。
ジェーンの物語
イーサン・ホークの演技が 兎に角凄まじかった
ダメ男、愛の語り、深みある歌唱、ラストの逡巡、
全編に渡って圧倒された
けれども、
チェット・ベイカーへのオマージュでありながら、これはジェーンの物語!という印象が強く残った
ドン底から再生する過程で、
献身と愛を捧げ続けたジェーン
その動機の根源が何か?は特定できないけど、ジミヘンのリンダのような才能を世に放ちたい意欲があったのかも
最後の選択は、
かつての惰性による選択じゃなくて、
チェットの意志による選択
チェットを理解しきっているジェーンには
ステージ上の姿だけで全てを悟ったはず、切ない
再生の過程で露出する
コーストと ワーゲンバスのおかげもあるからなのか、
暗さをあまり感じず明るい基調だった
唯一無二の歌声。
チェット・ベイカー大好きで観ました。
イーサン・ホーク似てないと言うか…イーサン・ホークでしかなく違和感が有りました。歌は良かったです。
途中、ブルース・ウェバー風なモノクロフィルムが切なかった。
個人的にはサム・ライリーに演じて欲しかった。
イーサン・ホークの甘い声がいい
チェット・ベイカーは好きで、たまにSingsを聴いている。どんな生涯を送った人か知らずに、歌詞の意味も知らずになんとなく聴いていた。
イーサン・ホークも好きなので、絶対に劇場で観たかった。大きなスクリーンで良い音響で大正解。すっかり入りこんで観ることができた。
才能がある人の心の弱さや危うさ。甘い声。イーサン・ホークの演技が光る。
女は繊細で壊れてしまいそうな弱さを見せるダメな男を放ってはおけないのだ。子犬のような目で見つめられたら、離れられなくなってしまう。
そんな彼を支える女性との出会い。
彼女を見つめながら歌う「マイ・ファニー・バレンタイン」には心震えて涙が出た。美しい。歌詞も初めて知った。ステキな歌詞。甘い声が似合う。
彼女の妊娠がわかった時、お父さんからもらったトランペットのリングをチェーンに通し、プロポーズするシーン。たまらなくキュンときて涙がじわり。
そして何よりも、最後の歌うシーン。
彼を愛してるが故に彼女には伝わってしまう悲しい真実。涙が溢れる。
愛に支えられて生きていっても、人間の弱さでそれを手放してしまう。ずっと後悔することになるのに…。人間はそんなに強くないから、愛を求めるし、過ちもおこす。
さみしいけれど、人生そんな繰り返し。
自分は、いつか本当の愛に出逢って、手放したくない。出会えないまま人生を終えることになるかもしれないけれど…。
ラストシーンがとてもとても余韻の残る印象的な演出でした。
伝説の白人ジャズマン、チェット・ベイカーの半生を描く映画です。いわゆる伝記映画というより、全力のトリビュートと受け取るべきでしょう。伝記映画がつまらなくなりがちな点として、その生涯をかいつまんで盛り込もうとするあまりに、内容が駆け足となり、希薄になってしまうこと。その点、本作はチェット・ベイカーが絶頂から再起不能に突き落とされて、這い上がっていく再起の物語として絞り込んでいるのです。しかも、自伝を知っている人ならお分りでしょうけど、本作には創作や脚色の部分が多いのです。でも史実の記録を律義になぞるよりも、ベイカーを素材にして、彼の持つどうしようもない「愛すべき弱さ」を浮かび描いたところが出色です。それは人間なら誰しも持ち得る内面であり、ドラマとして感情移入しやすいところ。
そんな本作は、問いかけてくるのです。なぜ彼の音楽に「ブルー」が生まれたのか。なぜだらしなく生きているのに、多くの聴衆を惑わしつつ、魅了されてしまうのか。それは、映像よりも本作で奏でられる彼の甘美で哀愁に満ちたなジャズで、静かに語られていくるでした。
さて、チェット・ベイカーは1950年代半ばにおいては時代の寵児とも目され、「ジャズ界のジェームズ・ディーン」とも形容されたスター。マイルス・ディビスをも凌ぐ人気を誇っていました。しかし、1950年代後半から1960年代にかけてヘロインに耽溺し、ドラッグ絡みのトラブルを頻繁に起こします。米国や公演先のイタリアなど複数の国で逮捕され、短期間ですが服役をしているところから本作は始まります。
その中性的なヴォーカルも人気があり、1954年にレコーディングされた「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」はチェットの代表曲の1つであり、同楽曲の代表的カヴァーの1つでもあります。このチェットの歌い方にジョアン・ジルベルトが影響され、ボサノヴァ誕生の一因となったと言われています。
さて本作の冒頭では、釈放されたベイカーが、往年の名ジャズクラブ「バードランド」で演奏するところが描かれます。聴衆にはなんとマイルス・ディビスがお忍びで聞いていました。マイルスは、彼の演奏を、「カネと女に媚びる音楽だ」と酷評するのです。そして直接ベイカーに、「修行して出直してこい」とつき放つのでした。確かにジャズの王道を極めたマイルスの攻撃的なジャズからすれば、ベイカーの甘ったるいジャズは、邪道に聞こえたはずです。また、ベイカーが白人だというだけで大衆的人気を獲得している状況を快く思ってもいなかったらしいのです。
但し、これは本作前半の重要な伏線となりました。後ほど述べるように、逆境から這い上がってきたベイカーは演奏が一変します。そして人間性そのものも。そんな彼の再起ライブを聴いたマイルスは高く評価して、それ以来、史実では仲も良かったと記録されています。
そんな絶頂期を迎えていたベイカーでしたが、ある夜麻薬の売人から暴行を受け、大切な前歯を失い、アゴの骨まで砕けて、医者から二度とトランペットが吹けないと告げられるほどの重傷を負ってしまいます。ベイカーは、キャリア終焉の危機に直面しますが、若き日のベイカーをテーマにした映画で妻役を演じた女優のジェーン(カルメン・イジョゴ)に支えられて再起へと向かうのです。その過程は、かなり過酷なものでした。当初は折れた前歯のあとから血のりが吹き出しているのに、それでも彼は、トランペットを放そうとしませんでした。当然生活も厳しくなっていき、ジェーンとともに場末の演奏場を回りながら、車で寝泊まりする放浪生活の日々を続けます。実家に一旦戻ったときなど、ガソリンスタンドでアルバイトまでやって日銭を稼いでいたのでした。ところがその病んだ魂と深い絶望が、マイルスに酷評された彼の甘ったるいだけの演奏が激変するのです。
再びレコーディングのチャンスを得たベイカーからは、唯一無二の甘く切ない歌声が歌い上げられ、哀愁に満ちたトランペットが奏でられるのでした。それはまさに、タイトるどおりのブルーが生まれた瞬間となったでした。しかし、スポットライトへ近づくほどベイカーが背負う影は濃くなっていきます。それは表現者の宿業のようなものでしょうか。
それでも、妊娠したジェーンとの愛に生きようと決意する彼に、音楽の神、いや悪魔が“待った”を仕掛けてくるのです。再起をかけた「バードランド」のライブ。マイルスも見守るなかで、忍び寄ってくる重圧、そして誘惑。果たしてベイカーは、愛するジェーンと固く約束したドラッグ抜きで、演奏に立ち向かっていけるのでしょうか。ラストシーンがとてもとても余韻の残る印象的な演出でした。
そんな揺れる天才プレーヤーの内面を描こうとしたのが、ロバート・バドロー監督。主演のイーサン・ホークととも熱狂的ベイカーファンを公言してきたそうです。だから全編に渡って、ベイカーへの愛おしさがヒシヒシと伝わってきました。
特に、ベイカーを演じるイーサン・ホークの悪戦苦闘にどっぷり期しようとする真摯な熱演が、かなりいいのです。普通の幸福を生きられない男。人間らしい弱さを抱えて、でも、闘わずにはいられない男。ホークは、その内面の震えを全身から絶えず発していたのでした。実際のベイカーのそれよりも若干細い歌声も、物語の内容と相まって、むしろ強い印象を残してくれました。実は演奏シーンは、吹替えでなく、半年の集中特訓でホーク本人が演奏している点にも好感が持てます。
ホークが体現する愛すべき弱さ、そして尋常ならざるエゴ。そこに惹き付けられて止まないペーソスが溢れていて、忘れられない作品となること請けあいです。
既視感ありのミュージシャンもの。
イーサンホークがチェットベイカーを演じるということで、見てきました。
まずもってすきっぱにびっくり。イーサンの美貌が台無しよと思いました。
いつも思うのですが、隻腕の役とか、歯がいたんでいる役とかを体現するとき、
実際の腕や、きれいな並びの歯をどうやって隠しているのか、すっごく気になるんです。
脚の切断された姿などね。歯抜けの入れ歯?入れ歯入れるために抜歯してるとか?
一昔前の役者ならともかく、今もなの?なんていうことが気になりました。
映画はね、楽しめたっちゃあ楽しめたけど、
お薬がやめられないありがち過ぎるミュージシャンに、
やはりまったく共感できず、
加えて、出会った頃からジャンキーだったチェットの
何処がよかってんジェーンよ、君、目を覚ませ!
という怒りで、あんまり面白くなかったです。
よかったのは、音楽と、
映画の中で撮影中の映画とチェットの回想あるいは幻覚が、
白黒映像で時々差し込まれていて、
その造り、くらいかしら。
イーサンの歌もよかったですよ。ラッパもよかったですよ。
お薬を横においたとしても、
ジェーンの献身が当たり前とおもい、
彼女自身の望みは、自分のそれよりも優先されなくてしかるべき
という態度に、かっちーんときましたよ。
てめーの面倒は自分で見やがれと。
でも、てめーの面倒を見られない人だから、
ヘロインにおぼれたのですよね。だから言うだけ無駄な話です。
ジェーンの数々の自己犠牲の元で、立ち直りつつあるなか、
バードランドで再び演奏したいと自分で望んでおきながら、
そのプレッシャーをやり過ごすために、結局自分でヘロインをやる。
浅はか。
人間らしいといえばそうなんだけど。
ブルーに生まれついた自分を肯定できたら、また違ったのかなあ。
もうほんとーーーに、ミュージシャンの映画は
ジャンキー映画ばっかりね。
そろそろ見るのをやめるべきかもしれない。
みんな一緒なんやもん。
胸を締め付けられる
イーサン・ホークが好きなのと、昨年の東京国際映画祭で見逃したので観に行きました。
ジャズをたっぷり聞かせてくれて
イーサンの歌う姿が恰好良くて・・
ラストが最高でした。
何がどう良かったかを書くとネタバレになるから書けないのだけれど、胸にグッと来て、いつまでも余韻が残る映画でした。
また時間を置いて観てみたいです。
ジャズに人生を捧げた男
イーサンホークが歌って吹いているのがすごいと思う。
確かにチェットベイカーと比べるとあれだがイーサンホークは味のあるジャズをしていて良かった。
しっかりとチェットベイカーを演じられていたと思う。
自分的にはもっと演奏を聴きたかった。
あと栄光の人生があまり描かれてなくどん底からのスタートって感じで物悲しい雰囲気が漂う映画。
だがジャズが好きなら楽しめる映画ではあった。
声は甘いが人生はほろ苦い
なんともほろ苦い物語。しっとり染み入る良作、という雰囲気の映画でした。
主人公チェット・ベイカーはあまりにも甘ったれなのですが、その生き方を見るとなんだかかわいそうに思えてしまう。ひとりで立つことが絶対にできないほど心がひ弱で、情けねーと感じるよりも痛々しさが先行しました。
天才が故に、甘ったれのままでそれなりに生きれたのかな、とも思えたので、天賦の才も場合によっては考えモノかもしれませんねぇ。
そんなダメ人間・ベイカーさんの演奏ですが、歌がとても良かったです。なんとも弱く哀しくて、切ない気持ちになりました。ヴォーカルアルバムを聴きたくなる。
一番印象に残っているのは、ベイカーさんが故郷に帰った時の、両親の反応でした。
息子を溺愛して、どことなく所有しようとしている母親と、息子を無視するような父親。いや、ホントつらいわベイカーさん。寄る辺ないよなぁ、そりゃタフに生きれないよなぁという思いが溢れました。ベイカーさんから伝わってくるかわいそう感の源泉はこの辺りにあるのかも。
ヒロインがちょいとご都合主義っぽく思えて、個人的には残念でした。
あと、帝王マイルス・デイヴィスのさすがの存在感!音楽家というよりも革命家みたい。甘ったれ男・ベイカーさんがdisられてもしまうのも致し方ないですかね。
よかった
ジャズについては門外漢だが、興味は
あるので人間ドラマとして鑑賞。
さすがにマイルスは何枚か聞いたことがあるので知っていたが、主人公のチェット・ベイカーやディジー・ガレスビーは名前しか知らず、パンフレットを読むと恋人の女性は創作だとか。
夜勤明けと食後ということで前半はうつらうつらしながらなんとか鑑賞したが、そのためかラストの主人公のサインがよくわからず肝心のところを見逃していたらしい‥
平日の午前中ということもあり空席が目立ち観客のほとんどが年配の方々だったが女性の割合が結構多かった気がした。
マイルスの映画も公開予定なのでこれを期にジャズに関する映画や本(もちろん音楽自体も)をみていきたいと思った次第。
成功の道への破滅の選択
演奏中、頬に手を当てる仕草で全てを察し去って行く何とも言えないラスト。
破滅から脱する為に再度、栄光を勝ち取る為に破滅の道を選ばざるおえない哀しさ。
痛々しくて憎めなくてスタイリッシュで問題児な彼を清々しく演じてみせた歌声も合わせて素晴らしいE・ホークに拍手。
ここ最近でのミュージシャン伝記映画の中では群を抜いて素晴らしいし「RAY/レイ」や「ウォーク・ザ・ライン 君につづく道」に匹敵する傑作でした。
年代順にマンネリ化したお決まりな撮り方はせずに古き良き時代を映像のLOOKもセンスあって何より感傷的にしないトコが良し。
マイルスも似ていたし細部までチャント作っていて安心した。
ラストシーンに安心
全くジャズファンでも何でもなく、何となくミュージシャンの栄光と挫折と復活くらいの話しかと思って観に行ったら、途中までは駄目野郎が天使な女と出会って、落ちぶれたことを馬鹿にされたり薬漬けの過去を揶揄されたりしながら順調に復活してゆく、ただのラブストーリーじゃんって感じで、音楽は良いけどちょっと肩透かしだなとか思ってた。もっとクズエピソードにまみれてると思ってたのに。ただ最後の最後に何よりも音楽を求めて(という口実で?)ろくでもない道を選んでくれたのは、こういうのが見たかったんだよと安心。破滅的で刹那的な天才の生き様とかそういうのが好きなら悪くないかもしれない。しかしマイルス・デイビスがすげえ感じ悪かったのだが、あんな人なのか?
満たされることのないブルーな生き様
映画があると知り、興味のあったチェット・ベイカーのアルバムを聴いてみたら大変良かったので、映画も鑑賞することに決定。やはり、ジャズの映画だけあって、映画音楽は非常に心地いい。カムバックの過程での、厳しいリハビリと練習、パートナーとの出会い、周囲の期待、ライバルとの確執、薬物の誘惑、うまくいきそうでも満たされることのない切なさが漂う。イーサン・ホークは渋くてカッコ良かった。サウンドトラックも買います。
ある種、ハッピーエンドでバッドエンド
チェット・ベーカーという人を、
表の顔だけでもよく知っている人が見ると、
全然違う印象なんでしょうね。
僕は彼のことを名前くらいしか知らなかったので、
1960年代~70年代にそういうことがあったんだなぁ
と思いながら見ました。
実話ですから、
過去の事実として
知ってる人は知っているんでしょうけど、
知らない人にはネタバレかもしれませんが、
結局は「ドラッグ」の話です。
JAZZミュージシャンとして認められた、
と思ったとたんドラッグで身を滅ぼし、
そこから復活するまでの物語です。
エンディングで、
この後ヨーロッパツアーに行って大盛況になる
というようなことが語られていますから、
ひょっとしたら世界的に知られるようになるのは、
この映画の「後」なのかもしれません。
だとするとこの映画は「知られざる裏の顔」ってことかも。
最終的には世界的に認められますから
ある種、ハッピーエンドではありますが、
一方で、バッドエンドともとらえられる作品です。
どこが「バッド」なのかは、観てください。
JAZZの演奏シーンは、なかなか良いです。
(イーサン・ホークJAZZの才能あるのかな?)
でも、全体に暗い、重いトーンなので、
ハッピーな映画ではないです。
「ドラッグ」ってことで、
今の日本にはタイムリーかも(?!)
選んだ劇場が映画にぴったり!JAZZを聴きに来た感じ
演奏はデヴィッド・ブレイドって人がクレジット多い。
チェットの親父さん役の人良かった。
マイルス・デイヴィスが高慢な感じ。
劇中、イーサンは実際に3曲歌っている。『マイ・ファニー・バレンタイン』と『ブルー・ルーム』、『I've Never Been In Love Before』だ。トランペットの演奏シーンも、一部はイーサン本人による。
Hello,fear. Hello,death
ミュージシャンたるもの…
ジャンキーで、スケコマシで、意志薄弱で、完全なるアウトサイダーで、悪いことだらけの愚者だからこそ、音楽に取り憑かれ、その才能を持てる以上に開花させられ、最悪かつ惨めな形でその命を奪われる。彼の人間性は否定出来ても、音楽は否定出来ない。天才の姿は余りにも痛々しい。
ブルーな映画
「切なくも美しい」といった映画。
透き通った美しいブルーと、どんよりと重く哀しいブルーが入り混じっている。
才能あるアーティストの成功と苦悩、女とクスリといったありきたりと言えばありきたりな話だが、イーサンホーク演じるベイカーの人間味が溢れてて飽きない。ほんとダメなヤツだなぁと少しかわいくもなってくる。
ジャズマンの映画なのだから、当然音楽はカッコいい。また調子に乗って、ジャズを聴きながらスコッチでも飲みたいと思った。
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