ボーダーライン(2015)のレビュー・感想・評価
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最近一番何回も見てる映画
アメリカとメキシコの国境周辺での密入国側ととそれを阻止する国境警備隊との小競り合いのはずが、メキシコの麻薬カルテル対掌握しようとするCIA側の攻防戦に。今や密入国は麻薬カルテルが取り仕切る時代になっている。
地元FBI女性捜査官(エミリー・グラント)に捜査協力を依頼するCIA局員(ジョシュ・ブローリン)とCIAに雇われた謎のコロンビア人殺し屋(デルトロ)の三人を軸に物語は進む。
兎に角映像がいちいち美しい。メキシコで犯罪者を受け取り、戻る黒のSUV車の列を空撮してるだけなのに何かスタイリッシュである。
静かで不気味な音楽が更に不安感にさせ、かつ映像を洗練させる効果が少なからずあった。
さすがヴィルヌーブ監督といったところ。
あくまでも法に則った走査をしようとするFBI捜査官とアメリカの正義を優先するCIA局員の対立しながら進む。
結局は小さな正義は大きな現実に敗れることになり、なす術もなくFBI捜査官は脱落者となり終わる。
「ボーダーライン」は邦題で、原題は「シカリオ」=殺し屋である。それをハッと思い出させるラストだった。
そこまで強くなれない
『迷走王 ボーダー』狩撫麻礼原作、たなか亜希夫作画
まだ二十歳そこそこの若造の頃没頭して読みふけった漫画である
犯罪とは無関係な話だが人の深い部分を描くなんとも真に迫った若者には危険な漫画だった
漫画が終わり数年して私は結婚したのだ
当然この作品を持ってはまともな生活など出来ないと思い手放した
まともな社会生活にはあまりにの毒なのである
「ボーダー」とはそお言うものだ
その一線を1度でも越えてしまったらそこで終わりなのだ、法を犯すとかではなく人として
今は世間がコロナに騒いでいる
誰かが陽性だと知ったらネットで洗いざらい暴かれまるで滞在を犯したかのように叩かれる世の中だ
そこにはもうボーダーラインは無いのかも知れない
一線を越えたことすら気が付かずに
私もどちらになるのか分からない弱い人間だ
ただ涙を流して立ち竦むだけかも知れない
ヴィルヌーブ作品はハズレなくて信頼できる監督。 ディーキンスの映像...
エグい描写もいける監督だった
米メキシコ間の麻薬戦争の実態を描く。ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督2015年。
冒頭から容赦のない描写。覚悟せよ!と早くも突き付けられる。女性主人公の目を通して観客も混沌とした世界に突入してゆく。ヒリヒリした緊張感が半端ない。
物語が進むに連れジョシュ・ブローリンもデルトロも実にいい顔に見えてくる。
リズム良く進むが、終盤のギアチェンジがこの監督の作家性というところ。好みは分かれそう。(嫌いではなかった)
撮影監督はロジャー・ディーキンス。夕暮れ時の空の青さがまさに。
【法秩序の無い世界で生き残れるのは”狼”だけ。メキシコ麻薬カルテルを巡る苛烈な復讐物語。】
ー今作の監督はあの”ドゥニ・ヴィルヌーブ”だが、私は、今作の世界観を作り出した一番の貢献者は、脚本を書いたテイラー・シェリダンだと思っている。ー
■テイラー・シェリダンの創出する世界
・苛烈な世界を静かなトーンで描き出す比類なきストーリーテリング
・無駄な映像と会話がない
で、観る側に”音”で想像させる・・。
・スピード感
今作では、上記が見事に、全編に漲る異常な緊張感とともに、ドゥニ・ヴィルヌーブ監督の映像とマッチングしている。
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メキシコ麻薬カルテルを捜査するために”異例の外部(FBI)抜擢”をされ、国防総省のマット(ジョシュ・ブローリン:勝手に、メキシコ国境の銃撃戦男と命名。)のチームに合流”させられ”苛烈な経験をするケイト・メイサー(エミリー・グラント:法秩序を守るべきという信念の中で、苦悩するFBI捜査官を好演している。)。
そして、マットのチームの影のドン的な立ち位置にいる、アレハンドロ(ベニチオ・デル・トロ)。
徐々に明らかになっていく、アレハンドロの哀しき過去・・。彼の非道なまでの行動の背景が仄かに明示され・・。
■今作が、圧倒的リアリティを持って迫ってくるのは、アメリカ捜査側だけでなく、メキシコ麻薬カルテルに関わる人々にも”家族”がおり、生活をしているという部分がきちんと描かれている所と、エミリー・グラントとベニチオ・デル・トロの圧倒的な演技であろう。
(リドリー・スコットの「悪の法則」やコーエン兄弟の「ノーカントリー」のような、”人間の形をした別の生き物”として描かれるメキシコ麻薬カルテルの描き方も魅力的ではあるが・・)
又、今作後の「ウインド・リバー」でも重要な役をこなしたジョン・バーンサルが麻薬カルテルに買収された警官を好演しているのも、少し嬉しい。
<この後、「ボーダーライン ソルジャーズ・デイ」でも、その世界感を遺憾なく発揮したテイラー・シェリダンだが、次回作にも期待したいところである。
現代の荒廃したメキシコ、アメリカ国境問題(一般的なメディアには殆ど出ないが・・)が続く状況下、彼はどのようなテーマを突きつけてくるのだろうか?>
島国には分からない国境問題。
曖昧なボーダー
こちらも正義
麻薬戦争は間違えようのない"戦争"だ
リアリズム
「サノス」を従える「チェ」
Dビルヌーブ監督は「複製された男」で自分史上最も難解なテーマを突き付けられたのもあり少し敬遠していたが、脚本のシェリダン氏が昨今巷で話題で、じゃあ遡ろうかと今作鑑賞。
文字通り、「サノス」と「チェ」がメキシコの麻薬カルテルに挑むのに、綺麗所連れて行こうか、て感じ。
「チェ」のデルトロはセリフ少なく物静かだが存在感は「サノス」プローリンより圧倒的。
ケイトを連れて行ったのも、男を誘い出す道具として連れて行ったのだろう。
そのくらいアレハンドロの復讐心は凄まじく、マットもそれを利用してる。
ケイトはそこに利用されてしまった事を、サインする事で止む無く受け入れ、自分の中の「ボーダーライン」を越えてしまった。それでも止まらない悔しさが、あの銃に込められたのでしょう。
件のシェリダン脚本ですが、今回は面白かったが唸る程でもなかった。また他の作品で味わおう。
ドキュメンタリー感覚で観るべき作品
あまり多くを語らず、視聴者に委ねるところが多い作品です。場面場面の繋がりがサラッと描かれていてわかりにくいので、しっかり観ていないと私のように状況がわかるような、わからんような…というふうになってしまうので注意です。
鑑賞後に解説等を拝見して、自分なりにではありますが理解を深めてからレビューをしているので、そこはご安心ください。
物語の性質上、話をはぐらかされ続けるので、もやもやします。そうしてもやもやを抱えた先に、隠されていたことが明かされますが、わかってスッキリ!となるような内容ではありません。
終始重々しく、特に終盤は哀しさや虚しさ、息苦しさを感じました。スッキリ爽快な気分になりたい時にはおすすめできませんので注意。
彩度が低く、色あせたような色調が作品に合っていました。ドゥニヴィルヌーヴ監督は絵作りが上手いなあと思います。特にトンネル突入前の沈む夕日に浮かび上がるシルエットがとても格好良かったです。
主観での暗視スコープの演出は緊張感と臨場感がありました。
演技面も良かったです。エミリーブラント演じるケイトはキリッとしていて芯が強そうな女性なのですが、ストーリーが進むにつれて辛そうだったり物憂げな表情を見せるので、とても感情移入してしまいました。
ダニエルカルーヤも脇役ながらいい味出していました。本作の良心で癒し的存在です。
ベニチオデルトロはさすがの存在感で格好良かったです。彼が映ると画面が締まりますね。何を考えているのかわからなくて怖いけど優しさも垣間見えて、いいキャラでした。
作戦の動向よりも、疎外感にイラついたり、善悪のボーダーを越えた世界に心が付いていかず苦悩するケイト、の印象が強く心に残りました。
ただ、視聴者目線では、映画での所構わずドンパチする事態に慣れてしまっているので、本作が現実に忠実で、ケイトがFBIとしての規定や秩序を重んじてきたのがわかっていても、あまり共感はできませんでした。
むしろ作戦の内容や目的をはぐらかされ続ける上にFBIでは優秀とされているにもかかわらず、素人扱いされる無力感の方が辛かったです。
本作はドキュメンタリー感覚で観るべき作品なのだと思います。
邦題の『ボーダーライン』、私は好きです。そのまま国境の意味もありますし、善悪や倫理の境界の意味も持たせています。作品の雰囲気にもあっていると思います。
原題『SICARIO』(スペイン語で「暗殺者」)の方が脚本の意図に関しては伝わりやすいですね。視点が変わります。
余談になりますが、私は字幕で鑑賞しましたが他の方の解説を読んでいると、ニュアンスが伝わらないセリフがあることに気づきました。ラスト近い場面なので細かく書くことは避けますが、観ている時に違和感があった部分だったので納得でした。作品の雰囲気としては翻訳を簡潔に短くした方が似合うのはわかるのですが、意味合いが伝わるようにして欲しかったです。吹き替えだとどうなのだろうか。英語を聞き取れればそれが一番なのですがね。
静かで熱い暗殺者
惜しい
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