リリーのすべてのレビュー・感想・評価
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究極の愛のカタチ
美しく、観るものを魅了する素敵な作品だった。終始、美しいデンマークの街並み、淡い色に包まれた世界観に心を奪われてしまっていた。
作品では、まだ性の理解が進んでいない頃の ひとりのトランスジェンダーの生き様が描かれている。これが実在の人物をモデルにしているときたから驚きだ。LGBTの理解に繫がる話と見ても良いが、それ以上に、「自分は何者であるのか」という疑問を持つ気持ちは誰しもが同じであり、模索する姿は私たちとなんら変わらない。トランスジェンダーとしてのありようではなく、一人の人間として自分自身の在り方を模索する姿に重きを置いて観てほしい。
そして、この映画で一番の見どころは、主人公の妻だ。自分の夫が女装に目覚めてく、最初は、ほんのお遊びだったのに…
自分の夫がそんな状態に陥ったらどうするだろうか、想像ができない。それでも全身全霊で主人公を支え続けた彼女の愛は、夫婦を超える。究極の愛とはまさに このことだと思う。
2回観ました。
妻のゲルダの愛の深さ。 ゲルダの愛の為にも、出来れば、旦那さまのま...
何より驚いたのはゲルダという人の先進性と精神のしなやかさだった。
まだLGBTみたいな通念もないような時代に、夫が持つ女性性を受け入れる。それだけでも、相当に柔軟な感性だと思う。夫妻がともに芸術家だったことも関係があるかもしれない。ついに男の自分に耐えられなくなったアイナーは、リリーという女性として生き始める。それでも理解を示し、支え続けるゲルダの内には、どれほどの葛藤があっただろう。
いまでも十分に受容されているとはいえないけれど、性自認の違和感や性の多様性に関する知識はずいぶんと広まってきている。いまどきの人権感覚に照らせば、リリーがお仕着せの男性性を生きる苦痛から解放されたいと願うのは当然の権利だろう。頭では解っていても、ゲルダに感情移入するほどリリーの言動が我儘に見えてしまう。修行が足りない。
一方、作中のゲルダの苦悩は「愛する夫が夫でなくなっていく悲しみ」と「愛する人が心身ともに傷ついていく辛さ」に集約されている。序盤こそ他に為すすべもなく夫に治療を受けさせたりもするけれど、結局のところ「自分の本性は女性だ」というリリーの主張については全面的に信用し、特に異常なものだとは捉えていない。なんて素敵なセンスだろう。
それでもゲルダは神や超人ではなく、普通の人間だということに安心し、感動する。
すごいとしか言えない
リリーに焦点を当てたかったな
とっても悲しい終わりで。
予想もしていたけれど、やはりハッピーエンドにならなかった。
夫を受け入れるゲルダに焦点がどうしても当たってしまった。
それは観ているこっちがゲルダよりの立場だからだと思う。
リリーに感情が入れなくて、客観的にしか観れなかったのですが、
性転換を受けに汽車へ乗ってリリーと別れる時
ゲルダとハンスの見送りシーンが印象的。
ゲルダのなかでたくさんの葛藤がある中での見送り。
自分のスカーフをお守りにリリーに渡して
励ますけれど、汽車が発車した後は汽車と真逆の方向へ颯爽と歩き出し
涙を流す。
どんなにゲルダは辛かったろう。と。
それ以上に辛いのが夫のリリーであろう、と思っているのか、その涙はたくさんの色々な意味があったと思いました。
私たちは結婚していたの?
というベッドでのシーンでもそれを考えさせられた。
夫は夫でも、もう夫ではなく、リリー。
リリー本人は、もう以前の私じゃない。
と言い張るが、そんなの周りには通用しない
同じ人間同じヒトであるから、ゲルダはボーッと天井を見ながらも、その夫をどう受け入れて行こうか
考えているように見えた。
まだ理解の少ない世の中で、この映画はとてもいいと思う。
ただ、リリーに対しての同情や悲しみ、というよりも
やはり立場がゲルダよりな為、
どうしてもゲルダに視点がいってしまった。
主人公のリリーの気持ちになれたらよかったが、
夫を受け入れる強い、妻のゲルダに、何度も何度もガンバレ!と言いたくなってしまった。
欲を言えば、主人公のリリーに焦点を当てて映画を観てみたかったが
やはり最終的にはゲルダの芯の強さと、優しさにどうしても素晴らしい!とそこにだけ気持ちが入ってしまったので
そこだけ…
同じリリーのような方にこういう映画はたまらないと思います。私は分からなかった視点もたくさん共感できるのでは。
ただ、同じ共感を得られない私のような人にも
こういう映画を観て、ゲルダのように強く受け入れてあげれたらと思う。
大半の方が、これを観ると、リリーが自己中でワガママだと思われるシーンがたくさんあるのではないかと思った。
そんなシーンも、私の解釈では今まで秘めていた、自分でも気がつかなかったリリーという自分の中の女性の存在を出せて
ようやくさらけ出すことが出来る!
やっと、我慢しなくてすむ!なんていう思いが
そういうゲルダに対しても「受け入れてほしい」「私についてきてほしい」等の
たくさんのワガママと思われるシーンに出たのではないかと思います。
映画は、自分が体験できないことを感情移入できるのが1つの魅力ではないかと思っていますので
リリーへの感情移入がどうしてもできないというのは、私自身も、まだまだ理解ができてない、偏見があるのかな?と
見直させられる映画でした。
考えさせられた
リリー
リリーの花は今も多くの人の心の中に咲き続ける
世界で初めて男から女へ性転換手術をした実在の画家の伝記ドラマ。
エディ・レッドメインが再び実在の人物を演じ2年連続アカデミー主演男優賞ノミネート、その妻を演じた新鋭アリシア・ヴィキャンデルが助演女優賞に輝いた話題作。
こういう人とは違う性別の苦悩を持った人物は大抵最初から、自分に違和感があったり、異性より同性に心惹かれるなどの場合がほとんどだが、本作のアイナーは違う。
中盤、幼少時にそんな気質が少なからずあったと告白するが、妻を愛し、SEXもし、ごく普通の男だった。
きっかけは、同じ画家である妻の画のモデルを努めた事。
妻は女性の画を手掛ける事が多く、そのモデルとして度々女性の服を着たり、女性のような仕草をしたり。
時にはサプライズでパーティーに女装して出席したり。
それらがアイナーの中に眠る“女性”を目覚めさせ、いつしかその女性=“リリー”の存在が大きくなっていく…というもの。
変な言い方をすれば、皮肉というか、可笑しな話。
女装していたら、女の子に目覚めちゃいました~!…のだから。
妻の気持ちは複雑だ。殊に本作のゲルダは一層。
夫は昔から内にリリーが居たと言うが、リリーを目覚めさせたのは自分。
自分から夫を奪うリリーを拒絶はするが、嫌いにはなれない。目の前に居るのは夫なのだから。
夫は自分を愛してくれている。
自分も夫を愛している。
が、日に日にリリーとして居る事が多くなり、夫がそこに居るのに、夫に会えない不条理。
夫に会いたい、夫を抱き締めたい、夫を返して!…と“リリー”に不満をぶつけるシーンは胸打った。
夫は夫で苦悩を抱えているが、妻は妻で苦悩を抱えている。
その苦悩を乗り越えるには、受け入れ、理解する事。
よくある“夫を支える妻”に留まらない本作に於けるゲルダの存在は大きい。
元々軟弱そうなエディ・レッドメインだからこそ(失礼!)、本作の役柄はハマった。
女装姿は佐藤かよ級のびっくりするほどの美貌ではないが、仕草も含め、女性の雰囲気を違和感無く魅せる。
そしてやはり、上記の通り、ゲルダ役のアリシア・ヴィキャンデル。
自立性のある意志の強さ、気丈さ、愛らしさ、苦悩に押し潰されそうな弱さも滲ませる名演。
受賞は納得。(一つ解せないのは、何故に主演じゃなく助演??)
歴史モノ続くトム・フーパーが今作でも美術・衣装・映像・音楽など画になる手腕を披露。
トランスジェンダー、性同一性、性転換…性別の悩みは今も多く、時代が進んでもまだ偏見も。
時代設定の1920年代なら尚更。
全く理解されず、異常な精神状態や病気とされた事は劇中でも。
手術技術もまだまだで、命に関わるもの。
リリーとしての時間は短かった。
儚く散ったが、自分が本当の自分で居られた最高の時。支え、受け入れ、理解してくれた人と。
自分を偽らずありのままでいた先人の勇気と理解者の献身は今も、性別の苦悩を抱えた人たちの支えになるだけじゃなく、世の偏見に疑問を投げかけ続ける。
多重人格に思えるリリーのしくみ?
美脚の人
ゲルダの評伝を読むと、映画とかなり違っている。
事実は映画より奇なり、というか、より複雑だ(ゲルタはリリー存命中に他の人と結婚したりしている)。
当人だけでなく、時代背景もアールデコの退廃などもっと色々あったと思う。
事実と違うからダメとかそんな野暮なことが言いたいんじゃなくて、複雑なゲルダ&リリー&時代背景をよくシンプルにまとめたなあと、感心した。
シンプルにしたからこそ、時代の特異性よりも、普遍的な共感が際立ったような気がする。
追:エディ・レッドメイン、脚がきれいだったなあ。あと、ハンス役マティアス・スーナールツ(プーチンに激似)がむちゃくちゃカッコよかった。
苦しすぎる映画!!
史実として重要
女装はイマイチ、映像美の方を堪能、
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