二重生活
劇場公開日:2016年6月25日
解説
直木賞作家・小池真理子の同名小説を、ドラマ「ラジオ」で文化庁芸術祭大賞を受賞するなど、数多くのドラマやテレビ番組を手がける岸善幸の劇場デビュー作として映画化。門脇麦演じる大学院生が近所に住む既婚男性を尾行することで、他人の秘密を知ることに興奮を覚えていく。大学院の哲学科に通う珠は、担当教授のすすめから、ひとりの対象を追いかけて生活や行動を記録する「哲学的尾行」を実践することとなる。最初は尾行という行為に戸惑いを感じる珠だったが、たまたま近所に住む石坂の姿を目にし、石坂の姿を追う。一軒家に美しい妻と娘と暮らす石坂を、珠が尾行する日々が始まった。主人公・珠役を演じる門脇は本作が映画単独初主演作。石坂役を長谷川博己、教授役をリリー・フランキー、珠の恋人役を菅田将暉がそれぞれ演じる。
2015年製作/126分/R15+/日本
配給:スターサンズ
スタッフ・キャスト
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「人はなぜ生きるのか」という論文の問いに対して、珠が出した最後の回答としては
「平凡で、穏やかで、裏切りも隠し事もウソもない。
ひたすら公平な愛だけで満たされている人生など、どこにもない。
人は苦しみからも逃れられない。
ほんの少し、その苦しみを軽くしてくれるもの。
きっと、それが秘密である。
理由のない尾行とは、他人の場所と立場に身を置くこと。
自分を他人と置き換えること。
すなわち、互いの人生、情熱、意志を知ること。」
これが
それは、人間が人間にとってかけがえのない存在となる、おそらく唯一の道ではないだろうか。〟」
と締められる。
実存とは何か。他人からの認識と事実は異なる。ただ一方で本人の認識がその事実と一致するとも限らない。複数の他人の意識と存在が、実存を作り上げる。ただ、一方でその現実が本人として受け止めたい事実かどうかは別。
一緒に同棲していた卓也は、事実と異なる認識で疑いを持ち、行為は実際はしていないホテルからでる珠をみて離れることを決意。
浮気がバレる石坂さんは球の尾行を奥さんの依頼と信じ、また最終的には違うことを知る。奥さんは自殺未遂をするが、最終的には仲の良さそうな関係の描写で終わる。
教授は珠の認識と違い、自分は孤独な生活をしており、最後に自分の母親がなくなることで本当に孤独になり、最後珠の論文を読んで自殺をする。教授の母親は事実とを知らないことにより、最後は幸せな最後を遂げる。
ソフィカルの言葉は「何ヵ月か前から、街なかで
見知らぬ他人の後をつけるのが習慣になった。
後をつけるのが面白かったからで、
相手に興味を持ったからではない」という言葉は相手への理解とは真反対の言葉を指してる。その行為は結末として全て不幸を作った。だからこそ、珠の最後の文章に繋がったのではないか
2022年7月24日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
動画配信で映画「二重生活」を見た。
劇場公開日 2016年6月25日
2015年製作/126分/R15+/日本
配給:スターサンズ
門脇麦
長谷川博己
リリー・フランキー
西田尚美
菅田将暉
烏丸せつこ
門脇麦は哲学科の大学院生。
イラストレーターの菅田将暉と同棲している。
論文の執筆に悩んでいた門脇麦は
教授(リリー・フランキー)から
人間を尾行して、その行動から哲学的思考をしてみたらどうだろうかと言う提案をされる。
近所に住む住人(長谷川博己)を偶々書店で見かけた門脇麦は彼を標的に尾行をはじめた。
普通に暮らしているように見える人も、
実は悩みや葛藤や秘密があるものだ。
やがて、門脇麦の尾行の対象は教授(リリー・フランキー)に移っていく。
見終わってからも余韻のある作品だった。
満足度は5点満点で4点☆☆☆☆です。
演出と演技は良いです。雰囲気ほどストーリーは面白くないかな。
人と関わると多かれ少なかれみんな誰かのストーカーなんだと思う。だからSNSがこんなに流行るし、文学やら哲学やらが生まれるのかな、と。
問題は自覚があるかないか、自制できるかどうかで、その人の倫理価値が決まる事。
これをみてどう感じたかで自分の内面を少し知れるのかな(笑)
2022年6月1日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD
人はそれぞれに、大なり小なりの秘密を抱えている。秘密とは、当事者にとっては、他者に知られたら窮地に陥る場合もあるが、一方で、他者には決して知る事ができないという、優越感をも保持している。
それを、見ず知らずの第三者が、尾行して暴いているとしたら、個人情報保護の観点からすれば、ある意味,ストーカー行為とも言える。淡々と流れていく物静かな展開の中に、心が燻るような、苛立ちさえ感じた。
大学院の修士論文を書くために、担当教授からの指導で、ある特定の人物の尾行を通して、その人の行動を哲学的に分析することになった珠。その尾行対象としたのが、近隣のエリートサラリーマンで、幸せな家庭を絵に描いたような男。
しかし、そんな男の尾行を始めた珠だが、当初は、慣れない尾行に戸惑いもあったが、次第に他人の秘密を知ることに高揚感が高まっていく。その結果、男の不倫の秘密を知ることによって、男の幸せな生活だけでなく、周りや自分自身の生活までもが壊れ始める。
出演者がいい。主演の門脇麦は、モノトーンな演技ながら、尾行に魅せられ、対象者の言動を理解し、思いを重ね合わそうとする、生々しい女性を演じている。
尾行対象者となるのが長谷川博己は、窮地に陥り、なりふり構わない男を演じている。特に、居酒屋で酔いが回り、目が据わった表情は、実際に呑んでいるようだ。また、珠の恋人役は、菅田将暉。彼らしい優しさの中に、珠への不安を溜め込んでいく、等身大の若者を演じている。そして、リリー・フランキーも、珠の教授役として、ストーリーのキーマンとなっている。
人の幸せは、誰もが抱えれ秘密の上に成り立っているのかもしれない。それが、タイトルの意味するところであろう。