黄金のアデーレ 名画の帰還のレビュー・感想・評価
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ただ、ただ、私の家族のものだった絵を取り戻したい一心で。
老齢のマリア(ヘレン・ミレン)が、ときに寂しく、ときにチャーミングに、そしてゆるぎない芯を貫いていく姿が素晴らしかった。
美しいウィーンの街並みを舞台に、現代と過去が見事にシンクロしていく過程がじつに違和感なく、「アデーレ」を取り戻したい情熱が溶け込んでいく。
かつて自らが住んでいた、そして、結婚式を挙げた建造物のなかでの回顧シーンは、感動的であった。
この物語が事実であることを既知していながらも、スリリングな展開にヤキモキしてしまう。
最後にマリアは勝利を得た。いや、得たというよりは取り戻しただけなのだ。あのとき、彼女が失ったものの多くはけして戻っては来ないのだ。そう思うと、喝采を送る気持ちよりも、やりきれない切なさしか残らなかった。
後半は涙
美しい芸術や音楽の裏にある残酷な歴史。オーストリアの美しい街並みとも対照的でした。
絵画の返還は、そういった悲しい史実を紐解き、改めて過去の過ちを反省する鍵になるのですね。これはほんの序章に過ぎないということかも知れません。
感動しました。
ミケランジェロプロジェクトを観ていたので、こちらは、レビューが良かったので観に行きました。
ナチスによって奪われた絵画、こちらは人々の生活までも脅かしていた様子が描かれていましたので胸が痛みました。
苦しい過去に戻ることの辛さ、前向きな姿勢、1枚の絵画への想い、複雑な心情が描かれていました。
ラストは感動します。二人の演技力の高さも素晴らしいです。
派手さはないが心揺さぶる名画
ネタバレ感あるタイトルなので結末はわかってしまう。知る人ぞ知る史実なので、そこは問題はないとは思うけど。
ナチス時代に略奪されたクリムトの代表作である黄金のアデーレをオーストリア政府に返還訴訟を起こしたアデーレの姪にあたる女性の実話。
ストーリー展開は淡々としていて、法廷バトルの映画と云うわけでもない。それでも所々で差し挟まれる回想シーン、マリアを演じたヘレン・ミレンによってその時代の根深い問題を見せつけられる。ホロコーストやナチス政権時代のオーストリアなど歴史的な背景をある程度知った上で見ないと面白くないかもしれない。人種差別や戦争、民族の誇りや国の在り方や様々な問題提起を静かに語りかけてくるような映画。愛すべき祖国へ足を踏み入れることをマリアが拒む気持ちを想像するとき、胸が締め付けられる。エンドロールの間もしばらく余韻に浸っていられる良い映画でした!
史実はいつも劇的
美術品はどの時代まで遡って返還されるのかしら...
国家の興亡、個人が遡れる系譜等々。
ヘレン・ミレンは流石!個人的には、彼女の左側の表情が好みです。
若い頃のマリアを演じたタチアナ・マズラニーをはじめ、他のキャスティングもgoodでした。
劇場ではすすり泣きも聞こえました。
なかなかよかったです
最後までハラハラ、ドキドキしながら楽しみました。新米弁護士の熱き情熱と成功への軌跡の物語ととらえましたが、何より凛としたヘレン・ミレンに本当に惚れ惚れしてしまいました。
ヘレン・ミレンの演技力がすばらしい
本映画は、名画の所有権をめぐった裁判ものであるため、現実にはダイナミックなシーンはさほどないのだと思う。しかし、過去の回想や歴史を随所に効果的に入れたことで、映画全体に緩急がつき、飽きずに観れた。歴史に対する理解も深まり、観ていて楽しかった。それでも、一番の見所はヘレン・ミレンの演技力だったと思う。
おそらくマリアが亡くなってから書かれた脚本であるためなのか、弁護士のランドル視点で物語が進み、ランドルが味わった挫折や屈辱、苦悩はきめ細かく描かれていた。しかし、もう一人の主人公のマリアに関しては、回想を細かく描いていたが、現実での心情描写が不足気味で、なぜマリアがそういう行動をとったのか、心情の変化があったのかがあまり説明されていない。そのため、納得がいかないまま物語が進むシーンも出てくる。しかし、さすがはヘレン・ミラーで、そういう不足している心情描写を、仕草や顔の表情、声の張りで補い、主人公の存在感を強く示し続けたことに感激した。
今年のベストワン!
ウイーンで裕福なユダヤの一家に生まれ
ナチスによるオーストリア併合により
理不尽な略奪・迫害を受け
愛する家族を残してアメリカへ亡命したマリア。
亡くなった姉からの手紙で
彼女の心の奥深くに閉じ込められた過去が蘇る。
ナチスに奪われ、
その後、オーストリアのモナリザと讃えられた
「Lady in Gold」
彼女にとっては愛しい伯母アデーレの肖像画。
姉は、その絵の返還を
オーストリア政府に求めようとしていた。
彼女と同じく亡命した友人の息子が
駆け出し弁護士になったと聞き
彼女は姉の遺志を継ぐ事を決意する。
最初は絵の推定価格が
1億円以上である事に興味を持ち、
彼女の弁護を引き受けた
若き弁護士ランディ(ライアン・レイノルズ)
マリアと共に降り立った石造りの街は
時を経て住人が変わっても、
そのままの姿で存在し続けていた。
街自体が意志を持つ生き物のように。
ランディの祖父が生きた場所
彼らの身内が受けた非道の仕打ちを実感する内、
彼の中に悲しみと怒りがこみあがる。
石畳の奥から先祖の呻きが立ち昇る様が見えるようだった。
今回は抑えた演技のダニエル・ブリュールが演じた
ジャーナリストのフベルトゥスが、
何故彼らを助けたかは最後に明かされる。
心の平安を保つために封印した過去、
煉獄の苦しみを味わった祖国に降り立つ事が
どれ程の苦痛を伴うのか・・
忘れてはいけない過去に向き合うこと
許すことにより、許されること・・
ヘレン・ミレンはマリアを誇り高く繊細に魅力的に体現した。
熟練の職人達が創った、みごとな映画だ。
見終わって拍手したい衝動にかられた。
人種差別、法治主義(公平な裁判)の大切さなどを深く考えさせられた
ナチス時代の悲劇を背景に、クリムトの描いたオーストリアのモナリザと言われた絵画「黄金のアデーレ」が正当な所有権者に取り戻されるまでを史実に基づいて描いた一編。オーストリアでのユダヤ人迫害を逃れてアメリカに移住した本来の相続権利者の老婦人が主役だが、大戦時の思い出したくない記憶を背負いつつ、駆け出し弁護士の働きで国境を越えての裁判に勝利するまでを描いてます。
ナチス時代の悲劇、人種差別、法治主義(公平な裁判)の大切さなどを深く考えさせられました。ウィーンを題材とした映画ですから、駆け出し弁護士がシェーンベルクの孫だったり、カラヤンの名前が出たりして音楽ファンにも見所は多いと思います。まじめな内容の濃い良心的映画でした。
過去を取り戻すことは、良いことだけではない。悪いことだって一緒にな...
過去を取り戻すことは、良いことだけではない。悪いことだって一緒になって戻ってくる。どちらも両方を合わせて過去と呼び取り戻すなら辛いことも受け入れる覚悟がなくてはいけない。。。
勝利と喜びと悲哀
若い頃にみたクリムトの絵「接吻」は斬新で官能的で色彩豊かで衝撃をうけました。
そのクリムトの「黄金のアデーレ」がナチスによって盗まれていた。それ以外の名画も然り。
アデーレの姪のマリア・アルトマンを演じるヘレン・ミレン
彼女は私と同じ年なのです、背筋伸び凛とした彼女に最初の画面から魅了されました。
伯母の絵を取り戻すべくオーストリアに行こうと若い弁護士に誘われてもすぐにイエスと言わなかったのには、
深い訳があったのですね。このふたり年の差はかなりあるけれど、彼女の絵に対する情熱に若者は惹かれ、
マリアはランドルの正義感に励まされ、次第に不思議な友情が生まれる。ふたりの会話に私はほくそ笑む。
なんか嬉しいです。
両親の直向な努力で裕福な家に生まれた子供の頃、アデーレはあこがれの人、
恋を知り結婚したマリアなんと輝いていた日々でしょう。
年を重ねると、懐かしい光景を思い出す事が多々あり、それは何でもない日常であったり、晴れやかな場面だったりする。あーこの気持ち映画に酔いしれました。
しかし大戦がはじまると数々の試練が彼女を襲うのです。両親、友人との別れ、祖国オーストリアと決別。
戦時中は多数あつたのでしょうね。こんな別れが・・・。
先日「シャトーブリアンからの手紙」も観ました。これも理不尽な事実です。
「アデーレ」を取り戻した時弁護士ランドルの前でマリアが語った真実、そして涙辛いですね。
時代に翻弄され愛する娘との永遠の別れ、両親の心情は如何ばかりかと私も涙しました。
過去と現代と取り交ぜ、激しい怒りというより静かな深い悲しみ観せてくれました。私の心にも。
ヘレンのファツションも素敵でしたね。
今年一番かも
相手がどんな人であっても素直に勧められる、そんな作品です。良質という表現が合うのかな。さほど期待をせず観に行ったのだけど、見応えある満足感でいっぱいになりました。この話が実話に基づいてるなんて、まさに事実は小説より奇なりというか、ドラマチックです。歴史、家族、ちょっとしたユーモア、そしてウィーンの美しい街並み。心に訴える必要なものが入っててかつ無駄のないテンポのいい展開はお見事。友人の表現を借りますが、「アルゴ」を観た時と同じ感覚になりました。
クリムトの絵画ってあんまり好きじゃなかったけど、このアデーレは観に行きたい♪
重い実話を淡白に。
シェーンベルクの孫である経験の浅い弁護士が、クリムトの絵のモデルとなったアデーレの姪の代理人となって、オーストリア政府を相手取ってアデーレの肖像画の返還を提訴して争う実話。
若い弁護士がこの戦いに取りつかれたように挑むその原動力や、最高裁までたどり着く法廷の展開、ウィーンでの調停で遂に勝利に至る過程など、どれも実にあっさりと描かれている。
一方、現代の物語の展開に挿入される過去の断片は幾分ドラマチックに描写されていた。
現代編の方にもっとサスペンス感を持たせることはできたと思うが、それは避けたのだろう。
全体的に淡白な演出だが、役者達の魅力が出ていた。
やはり、役者で魅せる映画は安心して観ていられる。
ヘレン・ミレン演じる老女マリアが、母国オーストリアへ渡ることを強く拒絶する場面は印象的だ。
ただ、彼女の若い頃は金髪じゃないのが気になった。なぜ金髪にしなかったのだろうか?
実話という重さ以外は、重苦しさがなく観られる良質な映画。
正義は勝つのです。
たぶんこうなるだろうと思ってはいたけど、最後までハラハラしました。
正しいことは正しいと言える勇気、信念、ステキだと思いました。
映像もキレイだし、過去との往復(?)もとてもリアルで違和感なく心にすっと入りました。しらないうちに泣いてる映画。良かったです。
口コミ良かったので見ました
口コミがよかったので、ろくに内容もリサーチせずに、気軽にみました。
内容はけっこう重たいシーンが多く、見応えありました。
実話ということで、こんな現実があったんだということをナチスを題材にした映画を見るたびに感じますが、歴史を知るために見るべき映画だと思います。
the WOMAN IN GOLD 傑作!
クリムトがちょっとだけ身近に感じられた。あの時代を今にもってくるのは、よくある手法ではあるけれども、それがまったく自然で、かつ、リアルに感じられた。最近ミケランジェロプロジェクトを見たばかりでもやもやしていたものを綺麗に消し去ってくれた。ウィーンの街中もカリフォルニアの丘も美しい。オーストリア系アメリカ人の主人公ふたりに共感する。あの時代を少しずつ思い出して行く過程と、主人公たちの闘いがぴったり合っていてとても納得させられるのだ。戦争の悲惨さはとても部分的にしか語られないが、ユダヤ人一家、ナチの将校の俳優、洗濯物干しているおばさんなどすべての配役に魅了された。美術、音楽、編集どれも素晴らしい。今年のマイベスト1。
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