劇場公開日 2015年11月27日

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「ただ、ただ、私の家族のものだった絵を取り戻したい一心で。」黄金のアデーレ 名画の帰還 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ただ、ただ、私の家族のものだった絵を取り戻したい一心で。

2015年12月8日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

知的

老齢のマリア(ヘレン・ミレン)が、ときに寂しく、ときにチャーミングに、そしてゆるぎない芯を貫いていく姿が素晴らしかった。
美しいウィーンの街並みを舞台に、現代と過去が見事にシンクロしていく過程がじつに違和感なく、「アデーレ」を取り戻したい情熱が溶け込んでいく。
かつて自らが住んでいた、そして、結婚式を挙げた建造物のなかでの回顧シーンは、感動的であった。
この物語が事実であることを既知していながらも、スリリングな展開にヤキモキしてしまう。
最後にマリアは勝利を得た。いや、得たというよりは取り戻しただけなのだ。あのとき、彼女が失ったものの多くはけして戻っては来ないのだ。そう思うと、喝采を送る気持ちよりも、やりきれない切なさしか残らなかった。

栗太郎