ヒトラー暗殺、13分の誤算のレビュー・感想・評価
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【”ヒトラーの演説が予定通り行われていれば・・。”今作はヒトラーが台頭した1930年代後半の独逸でその後の全体主義を憂いた一市民が企てた、ヒトラー暗殺未遂事件を描いた作品である。】
ー 今作は、市井の家具職人であった、反ナチス運動家ゲオルク・エルザーがその後の独逸の行く末を案じて行った暗殺未遂事件を描いた作品である。
1930年代後半には、そのような行為が出来る状況であった事が分かるが、その後全体主義が進んでいく過程も描かれている。 -
■1939年11月8日、ミュンヘン一揆記念演説を行っていたヒトラーは予定より早く切り上げ、その13分後に時限爆弾が爆発する。
実行犯として36歳の家具職人ゲオルク・エルザーが逮捕され、彼は単独での犯行を主張。
それを知ったヒトラーは徹底的な尋問を命じる。
◆感想
・この映画では、ヒトラーが1930年代後半までは、全体主義を徹底的に行っていつつも、未だ人間性を持った国家統制を行っていた事が分かる。
・驚いたのは、市井の家具職人であるゲオルク・エルザーが、自身でヒトラー暗殺を企て実行した事である。
ー この事実は、全く知らなかった。そして、未遂に終わった彼の人生の苛烈な最期。-
<恐ろしいのは、窮地に追い込まれて行ったナチスが、ゲオルク・エルザーを尋問していた男を処刑するシーンである。
ゲオルク・エルザーの”このままでは、駄目だ”と言う、先見性には敬服するし、事実なので、彼が企んだ暗殺が予定通りに行われていれば、あのような悲惨な様々な事は起こらなかっただろうに‥、と思ってしまった作品でもある。
今作から学ぶのは、自身の国の長がオカシクなった時に、それを事前に察知し何らかの行動を起こさないといけないという事である。
国民は、国の長の行いを常に見るべきであり、オカシクなった時には、カントリー・ジェントルマンの如く行動を起こす必要があるのである。
まずは、選挙に行くことが第一歩であろう。>
名もなき悲劇
1939年11月、ミュンヘンで起きたヒトラー暗殺未遂事件。
演説を行ったホールに時限爆弾を仕掛けたものの、予定より13分早く演説を切り上げた為、悪運強く命拾い。
ヒトラー暗殺未遂事件を題材にした映画は以前にもトム・クルーズがナチス将校を演じてツッコまれた『ワルキューレ』他多々あり。
その『ワルキューレ』の主犯は内部の者。
この事件も緻密で大胆な手口によりスパイなど長けた者の犯行と思われたが、逮捕されたのは…。
尋問、拷問。
それでも名前すら言わない。
元恋人に危害が及ぶと知り、ようやく名前を明かす。
ゲオルク・エルザー。
政治との関わりは一切ナシ。田舎のごく平凡な家具職人で、単独犯。
そんな一般人の彼が決行に至った理由は…。
作戦の顛末が描かれるサスペンスではない。これを期待すると少々肩透かし。またしても邦題が誇大広告。
原題は“エルザー”。ズバリ本作は彼の半生。作戦の経緯や逮捕後の取り調べも描かれるが、大部分は彼の物語が語られる。
そしてそこから、理由が見えてくる。
田舎町で平和に暮らしていたゲオルク。
アコーディオンを弾いて歌を歌ったり、女の子を追いかけたり。
家族の問題で帰郷。
ある日酒場で、人妻のエルザと出会い、恋に落ちる。やがてゲオルクの子を身籠る。
二人の関係に激怒したDV夫がエルザに暴力。
産まれた子も早世…。
ゲオルクとエルザのラブストーリーのようで暗殺決行に至る経緯は見えてこない。
直接的にではなく、間接的に。彼の周囲にナチスの影が侵食し始める。
この田舎町でもナチス派と反ナチス派が対立。それは乱闘にまで及ぶ。
ゲオルクの知人の女性がユダヤ人と関係あった事で辱しめを受ける。
ゲオルクは工事で働く。それがヒトラーによる戦争の道具であると知る。
平和が脅かされていく。
人と人の関係、人の心が蝕まれていく。
その脅威を目の当たりに。
衝撃。危機感。恐ろしさ。
愛する人たちの未来も案じたのかもしれない。
ゲオルクはエルザを置いて。彼の行動は決していた。
たった一人でヒトラーを暗殺しようとした男。
本作はゲオルクの物語だが、彼の尋問を行った保安警察局長ネーベも印象に残る。
ナチスの人間だったが、やがて反ナチスとなり、“ワルキューレ作戦”にも関わり、死刑。ヒトラー直接の命令でピアノ線での絞首。
彼を変えたのは何だったのだろうか…?
ネーベが殺され、独房のゲオルクも察する。自分も間近と…。
長年ドイツの歴史から封印されていたゲオルク。
後年その勇気ある行い=たった一人の闘いが讃えられるように。
ナチス政権下でも「ヒトラーは害悪」と堂々と発言。
これは英雄譚か…?
そうでもあり、否。
名もなき男の悲劇。
『ヒトラー 最期の12日間』に続き、オリヴァー・ヒルシュビーゲルがナチス下のドイツの暗部を暴く。
ファシズム下の日独の類似点や相違点等、色々と考えさせてくれる良質な映画
オリバー・ヒルシュビーゲル監督(ヒトラー最期の12日間等)による2015年製作のドイツ映画。
1939年9月1日のポーランド侵攻後、有名な11月8日のヒトラー暗殺未遂の爆破事件、それを単独で実行ゲオルク・エルザーの人生を、1932年までさかのぼって描いている。
単独での事件であることは全く知らなかった。ゲオルクは腕の良い家具職人で、信心深いプロテスタント信者で、自由と音楽を愛し、恋人は人妻であったことが、丁寧に描かれている。また、ナチズムがドイツ破滅への道であることを、強く認識していて、言わば国の為ヒトラー暗殺を図った。
あれだけ高級な良い物作りが出来るドイツ人が何故ヒトラーに心酔してしまったか、今もってずっと自分には謎。ただ非常にケアレースだが、こういう人間の存在があったことには多少安心感を覚えた。ドイツ人にとっても誇りということか、ミュンヘンには「ゲオルク・エルザー広場」が有り、市民単独の行動を讃える「ゲオルク・エルザー賞」が設けられてるらしい。
同様のファシズム統制下にある太平洋戦争前、日米開戦は破滅の道と認識する人間は多数いたらしいが、日本ではこういう個で何かをしようとする人間は何故皆無だったのだろうか?
そういう日独の類似点や相違点等、色々と考えさせてくれる良質な映画であった。
製作はボリス・アウサラー オリバー・シュンドラー、フレート・ブライナースドーファー、脚本はレオニー=クレア・ブライナースドーファー、撮影はユーディット・カウフマン、音楽はデビッド・ホームズ。
出演は、クリスティアン・フリーデル、カタリーナ・シュトラー(ヒトラーに屈しなかった国王等)、ブルクハルト・クラウスナー、ヨハン・フォン・ビューロー、ダービット・ツィンマーシート。
歴史的に事実なのだろうか?
歴史的に事実なのだろうか?
単独犯なら、計画はあまりにも稚拙で、ほぼ自殺行為になってしまう。エルザや家族や仲間の事を考えるなら、もっと綿密に計画を立てると思うし、ただ、暗殺を考えるなら、その場での実行犯になると思う。単独のテロ行為が、ほぼ実行犯なのは歴史がそれを証明している。時限爆弾を使うのは、逃走の時間稼ぎ。誰でもそう考える。
また、尋問するナチもエルザをもっと攻めたと思う。またまた、コミュニストの親派であったのは明白なのだから、彼を尋問する前に、そちらを一斉検挙するのではないかと思う。
だから、少なくとも『単独でここまで良くやった』感はナチの尋問官は絶対にもっていなかったはずだ。
つまり、この映画は、ナチの尋問官を含めて、ドイツ人に対する罪を『仕方なかった』として、監督自身を含めた全ドイツ人に対して、忖度しているように見えた。
もっとも、日本の映画では、ここまで表現しないと思う。戦争の被害者としての日本人を描く事が多いと思う(それはそれで良いのだが)。
日本人の多くは、藤田嗣治の『アッツ島玉砕』を戦意高揚の絵としてとらえている。なぜなら、日本では戦争に負ける事も美なのだ。『アッツ島玉砕』は地獄を描いた世界的に名画だと思う。
話がそれてすみませんでした。
心の揺らぎ
史実に基づいた作品として秀悦でした。生、愛、住、食、職務、権力、組織、傲慢、強権、独裁、友、信念、技術、努力、綿密、怒り、悲しみ、憎悪、拷問、忍耐、同情、末路・・・と、あらゆる要素が盛り込まれていて、しかしどうにもならない「運・不運」に揺らぎ、また「人の心の揺らぎ」に及んでいる様(さま)を描いた点が印象的でした。バックミュージックも無くて絶妙な演出です。主人公のひたむきさのみならず、取り調べ官や筆記担当者までもを含めて強く印象に残る作品でした。
誤算て言うから
すごいどんでん返しでも有るのかと思ったら、
かなり淡々とした話😅
それも史実だからやむ無しだけど、
邦題付け方、過大広告だよ🤞
当時のドイツにも真っ当な市民は居て、
ゲオルクは悪政に1人で立ち向かった勇者ではある。
物言えぬ世の中になりつつある現代社会に、
立ち上がる勇者を待つのか、
自分が立つのか。
少なくともドイツという国はヨーロッパの中で、
過去の反省も踏まえつつ、
倫理的な正義を示している感はある。
今作もドイツ製作である。
はたして、「過去の反省」をしなければいけない国は、
ドイツだけでは無いはず。
我が国では出来ない映画である事に
尊敬の念を禁じ得ない。
うーん、
時系列なら見やすく理解もしやすかったけど、逮捕前後のシーンが交互にあって見にくかった。
で、終盤には一気に5年後になり、主人公は収容所にいて、ストーリーはよくても「時間の組み立て方」に不満が残る映画の作りだったな、と。
自由を求めて
主人公はたった一人で立ち向かった。単純に「自由」を求め、それが損なわれていく懸念。組織に属さず個人の自由な行動で、ナチだけでなく共産党にも一線を画した。共産党でも「自由」が怪しくなると確信したかどうか分からないが、冷静に将来を見抜く洞察力と分析力はすごい。
逮捕されるまでの私生活と対比させていく展開、ナチスの高官が彼に理解を示し感化されそうになるのを抑えざるを得ない雰囲気、そこに至るプロセスが、練られた演出と思う。
徐々に不穏な統制下に置かれる怖さを実感。
新型コロナ蔓延対策の為の行動自粛
→映画館での映画鑑賞ハードル高め(泣)
な折、BS放送を録画しての鑑賞&投稿。
強い信念を持ち、単独でヒトラー暗殺を
計画、実行したゲオルク。
テロ行為ではあるものの、その誤った方向性を
阻止する為、独りで立ち向った行動力に凄みを感じた。
世の中の動きを、正しく見つめていかなければと、
改めて考えさせられました。
ヒトラー暗殺に失敗した男の生涯。 史実のようです。こんな事件があっ...
ヒトラー暗殺に失敗した男の生涯。
史実のようです。こんな事件があったんですね。事実を捻じ曲げようとする権力者等、よく再現されているとは思います。が、ちょい地味。人妻との恋話とか見せられてもねー。それより酔っ払いのオヤジはどうなった?(笑)
拷問シーンは結構きます。グロの方、どうぞ(笑)
しかしこの男、なぜ長らく生かされたのか?今では英雄ってのも?
いち早く暗殺を計画した男の半生
邦題からイメージしていたのは、軍のクーデター計画の方だったのですが、一般ドイツ人によるこちらは、本作を観るまで知りませんでした。原題の方が作品内容とマッチしていますね。もっとも、計画者の名前と分からなければ全くピンと来ませんが。
地方出身でやや女たらし?な演奏家兼修理屋だったGeorg Elserが、なぜ総統の暗殺を企てたのか。
ナチスは組織的犯行と決めつけ、拷問と尋問を繰り返すのですが…。
残酷な取り調べとElserの過去が交互に描かれます。
音楽を愛し演奏する傍ら、手先が器用で時計や家具の修理で生計を立てていた彼の地元にも、少しずつナチスの風が吹いてきます。
思想の自由、そして会話の自由まで奪われているのに、なぜか大勢がヒトラーに熱狂していく。周囲から取り残されていくような、自分の中で芽生える違和感を否定しなかったElser。
隣人がユダヤ人と暮らしていたっていいじゃないか。
共産党員と友達だっていいじゃないか。
挨拶はこんにちはでいいじゃないか。
「自由を失ったら死ぬ」
Elserは自分から奪われた自由を取り戻し守りたくて行動を起こしたように思えました。
もしあの晩、霧が出なければ。
もし通常通り、飛行機が飛べば。
ただ、やはり彼もテロリストですよね。
相手が結果的に5500万人以上(本作より)殺したような人物だから、確かに成功していればその後の被害は食い止められたと言えるかも知れません。しかし、巻き添えを食らった被害者達からすれば、真の英雄とは呼べないのかな。
拷問シーンは観ていて辛いです。
良心に蓋をしたかのような、ほぼ一貫して我関せずの態度だった書記の女性。自分も含め、大半の臆病者は彼女のように無表情にやり過ごすことだけで精一杯かも…。
Elserの思考を悲観的、被害妄想とけなすナチス党員らの考えは、むしろ心酔しすぎた誇大妄想でした。
「真実は我々がつくる」
ゲシュタポ局長の台詞が…、あれ?
“Vice”の米政府高官らの思惑を思い出させました。
冒頭の集会で白バラが飾られていて、おやっと思いましたが、白バラ抵抗運動はまだ無関係ですね。
手や膝の傷が物語っていると言いたいのでしょうが、Elserが地道に爆弾を仕掛けていった所に、もっと時間を割いても良かったかなと思いました。
よかった
深刻な内容なのだがけっこう退屈だった。威張り散らしている連中が後に立場が逆転すると思って見ていて、教えてやりたくなる。主人公が終戦近くまで生きていたのが意外だった。一番取り調べをしていた人が、けっこう人がよくて、ナチにも話が分かる人がいてよかった。
主人公は、子どもを亡くしてそれでテロを決行したのかなと思ったのだが、亡くしていなくてもやっていそうだった。爆破装置を自作するのがかっこよかった。
私生活以外は実話
爆弾を仕掛けるオープニングから、逮捕、拷問、拘置所、そして1945年に銃殺されるまでを過去の人妻エルザ(シュットラー)との楽しいひとときを挿入しつつ進められていく作品。大きな展開もなく、淡々と重厚に描かれているのだが、彼の思想的な部分をクローズアップして、ヒトラーの功罪を糾弾するといったところか。
音楽屋でもあり、アコーディオンを楽しそうに仲間と楽しむ風景。そして拘置所ではチターを奏でる。家具職人だけでは生活できず、工場で働いてもいたエルザ―(フリーデル)。共産党員ではないが赤色同盟に共感を覚え、ヒトラーを倒さなければ戦争によって被害が甚大になるとコツコツ爆弾づくりを遂行していくのだ。
もし13分の誤算がなければ、戦争被害は少なくなっていたかもしれない。と、未遂に終わったことを残念に思わせる人物だ。
無関係の8人を死なせてしまった罪は大きいが、ヒトラーがはじめた戦争によって5500万人の命が奪われたというテロップにより、彼のやろうとした行為も小さく思えてしまう。彼の功績が後に再評価されるが、なんだか虚しくなってくる・・・
暗殺の動機も、想いも、少し希薄のような…
単独でヒトラー暗殺を実行し失敗していたという歴史的事実が強烈なだけに、このドラマが非常に嘘っぽく見えてしまったことは否めない。
特に男女間の描写や長い尋問の描写など、かなりの違和感を持ってしまった。
映像は予想以上に美しくて重厚に感じた。だから架空というものを意識させたというわけではない。ナチスの集会とか古きドイツの牧歌的な風景とか、非常に臨場感を持たせる映像が多かったし、単に歴史的事象を再現するに留まらない─映像的なインパクトでもってより一層この衝撃的な事実を伝えようとしている志みないなものは感じた。しかしながら、自分にはその情熱が心に響かなかったといったところ。
というわけで、気合が入った映像がことごとく飾られたものというふうに思えてしまって、エルザーが実行した動機や想いといったものが、非常に希薄に見えてしまった。結局、衝動的に暗殺を企てたとしか思えなかったのだけれど、果たしてそれは作品の意図するところなのかどうか大いに疑問。
残忍なシーンも多かったし、見ていてかなりつらくて、スッキリしない物語だったなーという印象。
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