「微妙に物足りなかったような」ハイネケン誘拐の代償 スペランカーさんの映画レビュー(感想・評価)
微妙に物足りなかったような
つまらなくはなかったけど面白いとまでは言い難い的な、何とも中途半端な感想ばかりが浮かんでしまう映画でしたかね。
これは実話を基にしたのが逆に仇となったのかな、サスペンス映画を見ている感覚よりも、どちらかと言えばドキュメント映像を見ているような感覚の方が強かったです。
事実をなぞるだけでなく、もう少しスリリングに描けていれば、サスペンス映画としてもっと楽しめたと思うのですが、盛り上げ方がいまいちで、こう言うことがあったんだ~ぐらいの感覚しか得られなくて、サスペンス映画として見るにはやや微妙だった印象ですね。
題材的に作り手によっては手に汗握るスリリングな心理戦が見れた話だと思うので、そこはちょっと残念だったなと思わずにはいられませんでした。
また何せ誘拐されたハイネケン氏を演じたのがアンソニー・ホプキンスでしたから、尚更妙にそこに関して期待してしまう部分があったので、余計に物足りなさを感じてしまいました。
まあ勿論、ハイネケンはレクター博士ではないので、見る側が勝手に期待し過ぎただけなのかもしれませんが、でもあらすじにハイネケンに犯人側が翻弄されていく的な文言があったので、やっぱりレクターばりの狂気を勝手に期待しちゃうのは仕方ないことですよね。
アンソニー・ホプキンス自体はさすがの存在感で、物凄い威圧感を感じました、しかし予想以上に出番も見せ場も少なかったのは返す返すも勿体なかったなと・・・ある意味ジャケ写詐欺的部分もあったような(苦笑)
誘拐事件そのものに関しては、計画→実行→コトの顛末と全てにおいてある程度見入ってしまう部分はありました、変に期待し過ぎなければそこそこは楽しめるのではないかなと。
でも何となくサクサクと言うかあっさり感があって、スリリングさに欠けた印象は否めず。
まあどちらかと言えばメインは犯行グループ内の友情・葛藤、そして崩壊していく様を描いた話だったようでしたから、まあそう言うものだと思って見ている分にはまずまず見れる映画だったのかもしれません。
ただそれにしては犯行グループのメンバーのキャラ立ち具合が微妙ったかな。
かろうじてジム・スタージェスとサム・ワーシントンが演じた人物は何となくキャラが形成されていましたが、皆幼なじみであることやどんな人生を歩んできたのか、その辺りはいまいち伝わってこなかったり、犯行を企てるに至る状況もしっくり来なかったりと、どこにも感情移入できなかったのが何か惜しい作りだったなと・・・。
何気に一番の驚きはエンドロール前のテロップで表記された彼らのその後だったかも!