「ピカド~ン、お前を忘れな~い♪」ラブ&ピース syu32さんの映画レビュー(感想・評価)
ピカド~ン、お前を忘れな~い♪
レイトショーで鑑賞。
2015年は園子温監督の映画が3本も公開されるということで、「全部映画館で観よう!」という意気込みの下、観に行きました。公開終了間際の滑り込みセーフ!(笑)
それはさておき、特撮好き故に怪獣が登場するということで、大変楽しみにしていましたが、さすが園監督…決してそれだけの作品じゃありませんでした…。
うだつの上がらない主人公がひょんなことから歌手デビューして、スターダムを駆け上がりました。しかし天狗になって増長し、気付けば周りには誰もいなくて…。
それでもペット、否、友達の亀のピカドン(ラブちゃん)は、主人公がからかわれた拍子にトイレに流してしまっても、彼のことを心配し続けていました。マジ感動…。
東京を進撃する巨大な“ラブ”―。
主人公の傲慢、ひいては人間の浅ましさとエゴをぶち壊すかの如くで、画面に引き付けられました。肥大した“愛”の前には、何も敵わないのかもしれない…。
下水道に広がる西田敏行のワンダーランドは、地上とのギャップが面白く、とてもファンタジックでした。平和の楽園そのものでしたが、地上から吐き出されたものたちで構成されている様は、「では地上は何なの?」みたいな疑問を感じました。
最後に残されたのは、愛と平和。やっぱり世の中には、それだけあれば充分だなぁ、と思ってしまいました(笑) 内容をいろいろと噛み締めたくなる作品だったなぁ…。暴力もエロも無いので、園監督のフィルモグラフィーからしたらめちゃくちゃ異色だな、と…。パッションの緩やかな暴発、みたいな…?
「スローバラード」が堪らなくいい…。
心地好い余韻に浸りました。