「オタクに面白いと言わせる仕掛けが怖い」シン・ゴジラ 雨丘もびりさんの映画レビュー(感想・評価)
オタクに面白いと言わせる仕掛けが怖い
「2回観たけど野村萬斎を見つけられないんだ」というオタク男の3回目に付き合って鑑賞したのも、今では良い思い出www。
シミュレーションみたいで面白い作りだった。
内容は正直、ちょっと距離を取りたい作品。
でも得難い体験だったので、感謝の気持ちで☆2つ。
【オタクに面白いと言わせる仕掛けが怖い】
本作ぞっこんの友達曰く、矢継ぎ早にかわるシーンやテロップまみれの画面を、映像としてカッコ良く感じるか否かで評価が分かれるとのこと。
私は、観客に読ませる気の無い(しかもさして中身の無い)情報提示をひどく不親切に感じ、キツかった。
その結果「あ、これオタク隷従策かも」と考えてしまった。
オタクによく居る「知らない/処理できない」情報を過剰に畏れる性格。手中に収まるレベルの情報だと安心し、その程度かとバカにする習性。彼らは本当によく"甘い"と言う。
庵野監督は、そういうゴジラオタクたちを黙らせるために、わざとあぁいうストレスフルな映像を紡いだのかなと考えた。
だとしたら、凄まじい悪意だ。
【理論武装したオタクのような映画】
周到に張り巡らされた、「面白い」としか言わせない仕掛け。
最終作戦のF1暗喩、古い音質のBGM、『太陽を盗んだ男』。
・・・「わからない/理解できない」と言えないオタクたちが、錯覚をおこして「面白い」と口にするのを待ち構えているような、悪意。
自分が気に入らない、"甘い"と感じるポイントは、もしかしたら見逃していただけだったのかも → もう一回観なきゃ!という気持ちにさせる罠。
そう思い始めてしまうと、熱狂的に再鑑賞を繰り返す人たちにゾッとしてしまい、映画本編とも距離を置きたくなった。
「この映画を面白いといえることがゴジラファンだ」みたいな、ヘンなムーブメントに見えてしまって。
実際はみんな、もっとフラットなスタンスで「カッコいいから」「楽しいから」何度も見に行ってたんだと思うけどさ。遊園地のアトラクションみたいな感覚で。
【映画観て.....気持ち、いいの?】
結局、私がエヴァ嫌いってだけなのかもしれない(^^;)
庵野監督って、最初は「面白い映画つくろう!」って言ってたのに、だんだん自意識が立ち上がってきて、製作中に主導権を奪い、糾弾総括を始める悪癖がある。
自己嫌悪は良いんだけど、同族=自作品のファンまで嫌悪する性根が、私には理解できない。
「いい加減なこと言わないでよ、あんたが作ったんでしょ!?ちゃんと最後まで責任取りなさいよ!!」
・・・と、グルグル考えながら観てて、結構楽しかった。ほんとに。
迫力あったし、ゴジラ怖かったし、クソむかつく会社があるとこ一帯ブッ飛ばしてくれたしw。よし!浜松町燃えたザマーミロー!!とか(笑)。
生理的にムリだった高橋一生が、生理的に無理なキャラクタで出てきてなんか腑に落ちたし(謝)。「選ぶなよ・・・・」は胸に来る台詞。