「オタクには最高に楽しい」シン・ゴジラ 2638さんの映画レビュー(感想・評価)
オタクには最高に楽しい
和製パニック映画。それが元々のゴジラだったと思う。それが復活してくれたのはこの上なく喜ばしい。
初代を思い出し、重ねながら新しい作品を楽しめるのは、リメイクの第一の楽しみ方。初代を知っているかどうか、84を見ているか、エヴァなど庵野ネタの知識があるか、音楽やSEに至るまで過去作を知っていてニヤつけるか、など、様々な楽しみ方があった。
更に円盤で何度となく見返しつつ、他のゴジラ作品を見ていたら、色々思うところがあったので追記を。
実は自分にとっての過去作ゴジラは、ゴジラや敵怪獣、ミニチュアなど、特撮パートだけ見たい作品だった。というのも今となってはSFとしても安っぽすぎる設定や、冗長すぎる人間パート、現実的ではない(自分にとっての印象ですが要は下手な)役者の演技が多々あって、観賞中も常にこれは「フィクションです」と言い続けられているような作品が多かった。だってね…エスパーて…心を通わすにしたってもうちょっとやり方あったでしょ…と思ってしまったんだもの。だからパニック映画は好きなのに、ゴジラは作品ではなく「文化」として楽しんでいるような気持ちで見ていた。その点では今回の石原さとみはかなりぎりぎりだったが…
それの例外が初代だったのだが、シンゴジはその例外に名を連ねることができたと思う。シンゴジの人パートはほぼ官僚、政治家たちの合理主義と科学(そのリアリティ性には諸説あるようだが)といった「理屈」からできている。家族愛や記者の情熱などに振ってしまうと、個人の「共感」により判断が大きく割れる内容になってしまう。例えば「スクープへの情熱なんぞ知らんがな。迷惑だからさっさと逃げろばかたれ」という気持ちになって冷めたりする瞬間である。理屈でできているために、「共感」できるかどうかはさておき「理解」はできる内容になったのではないだろうか。
…そんな感じのことを考えました。何で自分にとって面白かったのか、と理屈をこねるのもまた楽し。