「首都壊滅」シン・ゴジラ あだじぇっとさんの映画レビュー(感想・評価)
首都壊滅
ゴジラシリーズはこれで29作目らしく、このネタでよくそんなにたくさん作ったなぁとつい思ってしまう、それくらいゴジラのオリジナル・コンセプトはシンプルだ。
シン・ゴジラは、そのシンプルなオリジナル・コンセプトに真正面から取り組んでいる。
1954年に第1作が封切られてから60年余。
東京の都市化は、呆れるほど複雑だ。
都市化の極にある東京の脆弱さと 能天気さがゴジラの発生によって如実に描写される作品。
冒頭は東京湾内での異変、アクアラインの事故から始まる。
ゴジラは蒲田あたりに上陸したものの、途中で進撃をやめて湾に帰ってしまう。
同時に予定調和に徹する政治家やエリート(?)官僚の姿が描き出される。
さほど皮肉ぽくもなく、お手柔らかな表現。
とにかく、全く対ゴジラでは機能しない。
前例と出世にしがみつく官僚や支持率ばかりが気になる内閣の目は曇り、問題を直視できない。
もちろん映画ですからヒーローがいます。
長谷川博巳が、物事の本質を見抜く目を持ち、肝も太い若き官房副長官役。彼の集めた 各省の出世コースから外れたヲタクさんたちがいい仕事をしちゃう、というキモチヨサw
紅一点の市川実日子演じる環境庁課長補佐が良かったですね。
たまにいるよね こういう人。
間違ったこというとそっけなく くしゃんと潰しちゃうので、敬遠されがちだけれど、ほんとに頼りになる、そして実は心根の優しい人だったりする。
んで、彼女がゴジラが核エネルギーで動いてることを言い当てちゃう、んだったと思う。
各方面いっぱい人が登場して、自衛隊はもちろん、アメリカさんもぎゃんぎゃん口挟んでくる。
その窓口が石原さとみ演じる日系人女性。
たしか、進撃の巨人にも出てはったと聞きますが、上手い下手以前に持ってるオーラが可愛いコメディエンヌすぎて、英語もそこそこ上手いし 米系っぽく濃い仕上がりにもしてるんだけれど、どぉぉしても違和感。
とにかく話はトントンと結構調子よく進んで、どういう順番だったか?
セリフも理系っぽい難しい部分は全然わかんないし、問題解決経過はどんどん省略されるんで、あれよあれよ。
倍くらいにおっきくなったゴジラが再上陸、ばりばり移動して防衛戦突破してきちゃいます。
放射線満載の高温ビームを吐きまくり破壊の限りを尽くしちゃって、ソーリの乗ったヘリも撃墜。
ビーム吐きまくってエネルギーレベルが下がりきったゴジラは、エネルギー充填のため東京駅前でストップ。しばらく停止して、核分裂エネルギーをコツコツと貯めて、次の進化に備える、らしい。
進化したら飛べちゃうかもしれない。
そしたら、次はロサンゼルスの現れて破壊の限りを尽くすかも。。
もう捕獲はムリなんで駆除ってことになるんだけれど、アメリカは情報を隠していた負い目もあって、とにかく早いことやっつけちゃいたい。
で、熱核兵器の使用をせまってくる。
なるほどなぁ ...... 風化が危惧されるヒロシマ・ナガサキの記憶。
そして東電の原発事故。
他人事気分の首都圏住民や内閣だが「もし、東京のどまん中で核の暴力が起こったら」という設定なわけ。
いやいやいや、日本をつぶされてたまるか!ということで長谷川博巳ひきいる日陰者チームがシャカリキになります。
ゴジラの活動を停止させるべく、化学物質を投与して、凍結しちゃう、ヒシオリ作戦をなんとしても成功させるぞ! ヒシオリ ....折り紙でてきたからそれ?ヤマタノオロチ?折り紙のとこの説明は全然わかりませんでした(笑)
へっぽこ急造内閣も早く核攻撃やっちゃいたいアメリカを牽制するため、欧州方面工作に大活躍。やればできるんだねぇ、って海外紙に書かれちゃうほど(笑)
最終作戦は、日本存亡の危機に、自衛隊や米軍はもちろんのこと、各社からはコンクリートポンプ車やタンクローリーがかけつけ、 JR東海 は無人新幹線爆撃、 JR東日本は無人在来線爆撃の大盤振る舞い。
いや〜〜 全速在来線の雄姿たるや、びっくりぽん!
というわけで、東京中心部は壊滅ながらゴジラは凍結され、ここから復興の道をいくぞ......終
さて、ゴジラといえば伊福部昭によるテーマ曲
これがそのまんま使われていた。
中盤のゴジラ戦闘シーンも、たぶん伊福部作品?
名曲です。変拍子をうまく使いゴジラの持つコンセプトを描き出す音、これ再録音したのかなぁ?
音も昭和風でした。
全般にインパクトのある音でした。
満足。