「子供は連れて行っちゃダメ!」シン・ゴジラ 三楽さんの映画レビュー(感想・評価)
子供は連れて行っちゃダメ!
日本(現実)対ゴジラ(虚構)の副題の通り、「現実の日本にゴジラが現れたら?」というテーマを全編を通して訴えてくる作品。
物語は政府役人の目線で進み、先例重視や縦割り行政の弊害によって進まないゴジラ対策や、世界情勢によって左右される方針等に、流されつつ、日本を守るために作戦を立案し、仲間を集め、ゴジラを倒す計画を成功させるために奔走する様子が描かれている。
結果、ゴジラという虚構作品ながら、非常に現実感があるものになっている。
ただし、悪い面として、作品全体のうち、政府内での話し合いや駆け引きが体感で7割ほどに費やされている上、早口で専門用語も多く、非常に情報量が多く感じた。
その為、理解できない子供が見た場合「よくわからなくて、つまらない」と感じると思われる。保護者の方々は注意されたし。
良い面として、多い情報量をきちんと処理しつつ見れた場合は、上記の通り、今までのゴジラ映画とは違う「現実感」の迫力に圧倒される。
あまり高くはない予算の中、優れた映像技術が作品を盛り立てており、序盤では現実の魚類、両生類のような動きを、後半では庵野監督お得意の巨神兵ビームの破壊力マシマシで、進化する怪獣王にふさわしい迫力に仕上げている。初代ゴジラベースの見た目も恐怖心をそそる。
また、過去作品のように無駄に攻撃を外しまくって町を破壊する自衛隊はおらず、全弾きちんと命中させ、被害も少なく、国民の生命や財産を守る有能な自衛隊であることも魅力(まぁ、ゴジラに効果があったかは別として・・・)
そして、最後の作戦は、見た目は地味ではあるが確実な作戦で、それまでの調査や考察によって得られたものを生かした準備と、日本が誇る現場の技術の賜物であり、日本神話に即したネーミングセンスもニクい。
子供たちがみる「夏休み怪獣映画」としてはおすすめできないが、是非一度は見ていただきたい。名作ではない怪作である。
私は小2と中1の男児を連れて行きましたけど、メッチャ面白かったー!大興奮でした。
下の子は、政治の場面では退屈したのではないかと思いましたが、戦闘シーンはそれを補って余りあるものだったようです。
特に、米軍と自衛隊の共闘に燃えたようでした。