「人を信じるということそしてその対価」怒り wolveeさんの映画レビュー(感想・評価)
人を信じるということそしてその対価
沖縄の美しい海
さびれた漁港
日本の中心東京
三つの物語はそれぞれ別々なのに
一つの殺人事件を廻り絡まっていく・・・
単純に殺人事件の犯人は誰なのか、
愛した人が殺人犯だったら
というテーマとはまた違ったところで
沖縄が抱える米軍、軍人による少女レイプ事件
カミングアウト出来ない同性愛者の家族
娘の幸せを願う父の後ろ姿など
深く考えさせられる話でした。
話が進むにつれ引き込まれ誰が犯人でもあって欲しくない
何故、あんな事件を起こしたのか。
そんな気持ちを見事に裏切ってくれました。
最後に語られるそれぞれの真実
自分が余命幾許もない中それを隠し優馬に寄り添う直人。
透明で色の白い儚げな彼の姿
墓が一緒じゃなくても隣ならいいよな・・そう言った
直人
お弁当が傾くのを直そうとする後ろ姿が愛しくて切ない。
自分に対する自尊感情が低く見える愛子。
そんな愛子を心配する父。愛子自身も自分でこんな
自分が幸せになれるはずがないと心のどこかで思っているのだ。
愛子が警察に電話した後で犯人とは無関係だったと知った時の
人を信じられなかった自責からの号泣が切ない。
泉の事を遠回しに告白する辰也。「お前の味方にだったらいつだってなるからな」
そう田中に言われてどれだけ心が救われたろう。
一番守りたかった泉を守ることが出来なかった。
そんな苦しみを田中に打ち明け信じた。
そんな田中に裏切られ罵られて鋏を手にした
辰也が切ない。
ラスト、海へと走る泉
田中の壁の心無い書き込みをみて
辰也の名前を口ずさむ
全てをしる泉
海の中で大声で叫ぶ
その声の意味は、悲しみ?苦しみ?怒り?
いつか、それぞれのキャスト達に光がさす
未来が来て欲しい。
一つだけ、やっぱり最初の殺人事件を起こした
田中の動機がはっきりとは解らなかったこと
彼の持つ怒りは何だったのか
そこがよくわかりませんでした。
信じていた人に裏切られる気持ち
どこまで人を信じればいいのか
そこから生まれ出す疑心暗鬼と葛藤、そして後悔
怒りは連鎖する、
連鎖する怒りを断ち切っていきたい
そう思った作品でした。
ありがとうございます。
社会的保障を受けられない日雇い労働者だった犯人。そんな中自分より下の人間の不幸を書き出してウケる。。といった狂気じみたそんな彼が唯一受けた人からの温かい施し。一杯の冷たいお茶。
それが自分にとって、許せなかったのかもしれないですね。
あらゆる現代の闇を痛感させられた話でした。
レビュー拝見させていただきました。共感します。
私も沖縄編のあまりにも衝動的な気がふれた感満載のシーンは、ここ数年来日本国内でも繰り返して起きている様々な残虐な事件を連想せずにはいられません。正常者なのか精神異常者なのか?その境界にいる人なのか?もし自分が当事者だったら?いろいろ考えさせられます。