「王子に付いてしまった「点」」心が叫びたがってるんだ。(2015) つとみさんの映画レビュー(感想・評価)
王子に付いてしまった「点」
玉子から点を取ると王子になる。王子に点を付ければ玉子になる。付いてしまった「点」それが成瀬の玉子の呪い。
呪いなんてない。そりゃそうだ。しかし抱えてしまったトラウマはまだ若い成瀬にとっては呪いだ。
成瀬の王子に付いてしまった点を払うことはできるのか。話すことが出来なくなってしまうほどのそれを克服するのは容易ではないだろう。
実は余り興味のなかった作品だった。岡田麿里の脚本は好きだが、話せなくなった子を周りの皆で手助けして克服していく物語だと思っていたからだ。そんな物語は退屈そう。
確かにその要素はある。しかしどちらかといえば逆で、呪いの克服を頑張ろうとする成瀬の姿に周りが感化されて全体が動き出す物語だった。
ある種の部活頑張る系青春映画に、岡田麿里らしいえげつなさが加わった作品で、非常に面白く観ることが出来た。
脚本家とは大きく分けて二種類いる。出来事の連続を描く人と、キャラクターを描く人だ。
キャラクターを描く場合は、小さい子が観るような作品の、登場キャラクター全員が正しい倫理観で描かれることはない。
体の大きいお子様にこの手の脚本家が人気ないのはそのせいだ。
岡田麿里は後者である。キャラクターを描く脚本家。だから、この作品のキャラクターに対して一定数理解を示せない人がいることは仕方ない。
しかし分からないのは、キャラクターがクソだから低評価って人だ。キャラクターのクソさと作品の良さは別だ。ぼくのかんがえる正しい倫理観で行動してくれなきゃ気に食わないってことなのだろうか。
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