「日本の深き闇に光を」劇場版 MOZU しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
日本の深き闇に光を
レンタルDVDで鑑賞。
原作は「百舌の叫ぶ夜」のみ既読です。
TVシリーズは視聴済みです。
連ドラがそもそも映画並みのスケールと映像を誇り、TBSとWOWOWの底力を感じた傑作でした。これまでの日本の刑事ドラマには無かった重厚感が堪りませんでした。
その完結編を映画として公開すると云うのは、ドラマ以上に面白いものを見せてくれるということに違いない。その期待はまぁまぁ満たされたと言って良いでしょう。
海外ロケならではの大規模なアクションが展開され、二転三転するストーリーからも目が離せませんでした。話運びがスピーディーなのに内容は連ドラ並みに濃厚と云う贅沢。
しかも撮り方が映画仕様になっていて、説明的な部分を極力排除しているために行間を読まなければならなくなったのでちょっとだけ複雑でしたが、なんとかついていけました。
ドラマで残された謎(倉木警部の娘の死、事件の裏で暗躍するダルマの正体)の答えが明かされ、大いなる犠牲を払った後に日本の闇を巡る死闘に終止符が打たれました。
津城警視正が呆気無く殺されたのがショックでした。彼こそ得体が知れず、諜報戦や謀略に長けていた男だったのにそれを凌駕するだなんて、敵の強大さが伝わって来る展開。
倉木、大杉探偵、明星巡査部長はいつも以上に血まみれに。拉致されたり、痛めつけられたり、刺されたり。それでも諦めずズタボロになりながら最凶の敵に立ち向かいました。
それにしてもダルマは文字通りの怪物でした。ビートたけしの怪演も相まってとてつもない存在感を放っていました。
今回のテロを起こした目的に鳥肌が立ちました。ついでに顔も歪んだ。そこまでするのか、と…。恐るべき90歳。
日本の闇に光が当てられたのかと云うと微妙な感じ。「オメラスの箱」の善悪はともかく、これからこの国はどうなっていくのか。先行き不透明な世相と合わさって不安になりました。
※修正(2023/08/25)