「確かに4作目としては、完璧。だけど…」トイ・ストーリー4 maruさんの映画レビュー(感想・評価)
確かに4作目としては、完璧。だけど…
トイストーリーには、主軸となる舞台がある。おもちゃが動き回れることのできるエリア。
1では、「家」と「隣の家」。どちらも屋内。ときどき外。
2では、「おもちゃストア」と「飛行場」。屋内、けっこう外。
3では、「保育園とゴミ捨て場」。屋内、保育園の屋上や園庭、ごみ捨て場など、外多め。
4では、「移動遊園地とアンティークショップ」。屋内、外の比率6:4ほど。外多め。
「子どもの傍にいることが仕事だ」と言ってたウッディが、シリーズを経るうちにどんどん外へと出て行っている。
『おもちゃとしてのウッディ』ではなく、『ウッディという人格』が、生き方が描かれている気がして、トイストーリーというより、ヒューマンストーリーの色が濃く見えてしまった。
トイストーリーは、(君の知らない間におもちゃは動いてるかも)というファンタジーが素敵。
家の中で動いてるからこそそのファンタジー感を味わえる。ところが、行動範囲が広がったおかげで、おもちゃが動き回りすぎてもはや「現実世界におもちゃが動くかも」というより、「おもちゃが動く世界がある」という印象が大きく感じられてしまった。1,2,3,4とストーリーが進むにつれ、その印象は強くなる。3の保育園での動き方が、とてもバランスがよく「現実世界におもちゃが動くかも」というワクワク感が、残っている。
4では、そのワクワク感がない。場面もどこか「暗い画」が多い。雨のシーン、アンティークショップの家具のスキマ、裏通り、回転木馬の下、夜のシーン。「大人向け」になっている。
3作目の「夜」と、4作目の「夜」の差は、歴然。青と、黒。
トイ・ストーリー1作目から見ていた子供が、4の頃には大人になっている。と考えれば、妥当な作り方なのかもしれない。難しいところだが、4作目となると、こういう物語になってしまうのだろう。相当練られたストーリーだと感じる。
オチは物悲しく、前向きだけど、哲学的だけど、やはり『子ども向けの落とし方』ではない。
「おもちゃの物語」である以上、おもちゃで遊ぶ年齢に向けて、やはり、ストーリーをもうすこしその年代にもわかりやすいサブストーリーは、欲しかった。
「トイ・ストーリー」という一つの物語の4作目としては、映画としては完璧だと思う。さすがピクサー。すごい。
仕方のないことだけれど、唯一、今「おもちゃで遊んでいる子ども」向けではなくなったのが、残念。
でもおもしろい。