バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)のレビュー・感想・評価
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バードマン ライジング
20年振りとなるシリーズ最新第4弾!
ヒーローを退いていたバードマン。襲いかかる危機、苦悩や葛藤を乗り越え、再び羽ばたく事が出来るか…!?
「バードマン ライジング」、乞うご期待!
…って冗談はさておき(笑)、
本年度アカデミー賞作品賞受賞作。
かつてスーパーヒーロー映画で一斉風靡したものの、今は落ちぶれた俳優が、舞台で再起を図ろうとするが…。
先日「6才のボクが、大人になるまで。」も見、どちらがオスカーを受賞すべきだったかマイ・ジャッジはまた後にするとして、まず感想。
よくこの作品がオスカーを獲ったなぁ、と。
ハリウッド批判、舞台の皮肉、こうはなりたくない俳優の顛末…。実名もちらほら。
アカデミー賞というのは、言ってみれば、保守的な内輪誉め。
良く描けば良く描くほど好意的に受け入れられ、そうじゃないものは冷遇されるケースが多い。
この「バードマン」は同業者から見れば、胸にチクチク、冷や汗タラリのオンパレードなのに、こんなに評価されたという事は、誰もが本音はそう思っているからなのだろう。
公に声を出して言ったら、ハリウッドで仕事が無くなってしまう。
満面の“偽善”笑顔のチキン連中の変わりに、メキシコ人監督が代弁。
ただ、ハリウッド業界人とこのメキシコ人監督の感性はちょっと違う気がした。
確かに外国人の立場から見たハリウッドのヘンな所、可笑しい所をブラックな笑いをこめて描いているが、死に物狂いの俳優のあがきを、愛情こめて活写している。
どんな駄作でも、俳優は真剣なんだよ…と、言ってるような、言ってないような。
舞台裏狂騒曲。
また返り咲く為にどうしてもこの舞台を成功させたい一心の主演俳優。
その焦燥を嘲笑うかのように、恋人は妊娠を告げるわ、共演女優は面倒臭いわ、プロデューサーはうるさいわ、共演俳優はワガママで娘とイチャつくわ、評論家のババアは偉そうにムカつくわ…。
とある訳でパンツ一枚で街中を歩く事になったのに、落ち目の役者が遂に迷走したかとメディアであれこれ面白可笑しく騒ぎ立て…。
あぁ~~~ッ!!と大声上げたくなる。
一番の悩みのタネは、もう一人の自分、バードマンが話しかけてくる。
映画人にとって昔の作品とずっと比べられるほどイヤなものはないが(特に宮崎駿は気の毒)、昔の“影”がずっとまとわりつくのも悪夢。
バードマンは自分を翻弄させようとしているのか、それとも自分の心の底の本音なのか。
意味深な象徴。
エゴ、悲哀、狂気…。
「博士と彼女のセオリー」のエディ・レッドメインも素晴らしかったが、主演男優賞はやはりマイケル・キートンに獲って欲しかった。
自身もスーパーヒーローであったから体現出来る、納得と説得力のある入魂の演技。
天才型だけど扱い難い、本当に居そうなエドワード・ノートンのはっちゃけ演技。
エマ・ストーンも若手実力派の本領発揮。ただ可愛いだけじゃない!
それにしても、“コウモリ男”“緑の巨人”“クモ男の恋人”…このキャスティングはただの偶然か、狙ったのか。
ナオミ・ワッツも出番は少ないながら見せ場があり、これまでの出演作で一番のトラブルメーカーだったザック・ガリフィアナキスが一番まともに見える!(笑)
名カメラマン、エマニュエル・ルベツキーによる全編長回しのような映像は圧巻。
そう見違えさせる巧みな編集も秀逸。
主人公の心情とリンクするドラム音楽も耳に響く。
現実と幻想が時折交錯する不思議な世界観。
冒頭とラスト辺りの動物の死骸のシーンは何の意図か分からなかったりしたものの、アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥが初の非シリアス作品でユニークな手腕を存分に見せ付ける。
スターじゃなく、役者でいたい。
生存と競争激しいハリウッドで、誰もが思ってる事で、分からなくもない。
殊更、今スーパーヒーローを演じているスターはそう思っているのだろうが、すると何だか複雑…。
彼らの姿にワクワクし、憧れているファンは数え切れないくらい多い。
スーパーヒーローだろうと演技力を発揮出来る役柄だろうと、その演者の一部で財産なのだから。
もう一つおまけに…
先日、スピルバーグがスーパーヒーロー映画の近い終焉を語ったが、それは間違いなく来るだろう。
これからのハリウッドのスーパーヒーロー映画の更なる量産には驚きつつも、“今の”ハリウッドを純粋に楽しみたい。
さて、長くなってしまったが、最後にオスカー・マイジャッジ。
「バードマン」も大変ユニークな作品であったが、やはりオスカーは「6才のボクが、大人になるまで。」が受賞すべきだったと思う。
10年、20年と経った時、このユニークな作品か、唯一無二の作品か、果たしてどちらが心に残り続けているか。
鳥肌もの
マイケルキートンに興味があったら面白い映画かもしれません
トリジンということでしょうか?
マイケル・キートン、エドワード・ノートン久々に観た。トリジンとしてアタマがおかしくなって、それで、後半確定したのでしょうか。わかりにくい映画でした。現実と妄想が混ざり合う映画の文法は、現在完了進行形みたいなトンチのような表現と思います。ある程度意図したところに観客を誘導しての自由な見方というのが私は好きです。俺の作った映画を、観るお前が考えろ60%くらいは!といわれてるようです。
・誰しも、これ程大きな過去の栄光は持っているわけではない
・誰しも、嫁と別れてソコソコボインとは付き合えるわけではない
・誰しも、栄光を取り戻すためのチャンスが死ぬまでに巡ってくるわけではない
・誰しも、娘がマリファナやってるわけではない
・誰しも、トリジンと会話してるわけではない
落ちぶれる自分に再起が訪れることを
想像したりはするのは、理解できる。
ありえもしないことを映画にしたらアカン
ではなくて、共感のポイントが細かく
はまらなくて、気持ちが削がれて、
ラストシーンの結局お前が判断しろ
という監督のメッセージで冷めました。
総論賛成、各論反対
というような映画でした。
元バットマンの映画。
久しぶりにマイケル・キートンを観た。
その昔、ティム・バートン版【バットマン】のバットマンを演じていたのを知っている人は知ってると言うことで、今回の役柄か実生活と被るのかなあと言うのはブラック・ジョークかな。
タイトルも、少しバットマンをもじってるし。
流れるように、場面が変わり、すべてのシーンが繋がっているような技法は新鮮だし、これは難しかっただろうなと思った。
また、うがった見方をすれば、これもアカデミー受けするだろうなと思ったり…。
作品は群像劇有り、SFやエキセントリックな場面もあり、物語に深さが加わっていて良い映画でした。
主人公の内面の葛藤を色んな技法で表現しておりそこに新しいものがありました。
ただ、作品としては一般大衆受けしなさそう。
映画通向けの作品と思う。
ただの娯楽作品としては見てはいけないかな。
内面的な話と言えるし。
ハッピーエンドとは最後、言えないし…。
エンターテインメント
イニャリトゥは「アモーレス・ペロス」が一番好きだったが、どうもあれ以降は笑いの要素が不足している気がして、一定の水準を保ちつつも、「こんなもんじゃない筈...」と思っていた。それが、ここへ来て、こんなにも笑えて、こんなにも哀しい映画を撮ってくれたのは喜ばしいことだ。
かなり面白い
3点だけ。 1)長回し風ほどほどにしろよ気持ち悪いよ!2)カメラ近けーよ!3)ドラムうっせーんだよ!
(知人の計らいで公開前に観られたんです。そんな二人の会話です)
知人「バードマン、どうだった?」
私「面白かったよ。けど、アカデミーっぽくないね。アカデミー会員の中に俳優さんが多いから、あの主人公に共感してかな」
知人「全く作品の感想になっていない」
私「え!?あの、私。ファミレスに一人で行くのが好きなのね。特にサイゼリア。近くにいるお客さんの会話が、むっちゃ面白いからなんだけど。こないだ、中学生女子二人が、"高校行きたくない。工場で単純作業してたい。頭使いたくない”って話してて、今時の中学生ってこうなんだーって思ってたら、”あのさ、ニートってさ、家事手伝いっていうヒエラルキーのトップじゃない?”って言ったんだよね。名言じゃない?凄くない?本作って、なんかファミレスで、こんな子達のザワザワした話を聞いてる感じがする」
知人「あー、オブラードに包み過ぎ」
私「えー!?厳しいなぁ」
知人「そんなつまんない感想を聞きたくて、便宜を図ったわけではない」
私「えー!?あの、ほら、芥川賞でさ、慎太郎さんが審査員辞めたじゃん。出版業界さ、”よし!これでちったぁ売上げに貢献する作品が選ばれるぞ”ってなったのにさ、次に選ばれたのが、75歳で新人の黒田夏子さんの「abさんご」でさ、出版業界が仰け反ったっていう。だって他に作品を殆ど書いてなかったし(相乗効果で他の作品も売れるから、沢山書いてる人を選んで欲しい)、文章作法を無視した、むっちゃ読みづらい作品でさ、みんな激怒!みたいな、感じよ。でも審査員全員べた褒めの時に、山田詠美せんせだけは”自分に酔ってる。気持ち悪い”作品って言ったからね。やっぱ詠美せんせは、読者としての感覚は衰えてないよね」
知人「あのさ、お前は誰だ?誰なんだ?期待にはこたえてもらうよ」
私「じゃ、3つだけ言う。長回し風ほどほどにしろよ気持ち悪いよ!カメラ近けーよ!ドラムうっせーんだよ!以上」
知人「うけるw」
いや、面白かったですよ。本当に。
※絶賛されてる方々って、字幕なしで英語が理解できる方達なのかな?売れない女優役のナオミワッツが、演技が下手な売れない女優がやりそうな演技をワザとしてるんですけど、字幕ではそういうニュアンスって伝わらないと思うから。映画詳しくない、英語もネイティブ並に分からない日本人なら、全く理解できない内容だと思う。アカデミーなんちゃら賞でなかったら、評価変わる人達が多いんじゃない(笑)?
“年寄りのあがき”
微妙
特殊な映画。
現在の映画業界を皮肉った話題作
ジャズの音色が心地よくなった一作。
セッションとは別方向からジャズの良さを見せてくれました。
主演のキートンはくっそまじめな俳優なんだけどどっか抜けてて可愛らしい。
助演のノートンはきっとこういう役者いるんだろーなーって思わせるブチギレた演技派。
でもこの映画ラストがわーわー言われてるけどそんなに意味は無いんじゃないかなと思いました。
別に最後に彼がどーなったかは見てた私達が判断すればいいだけの話。
言いたいのは「今のCGやりまくって興行成績だけとばしてるのが良い作品ってどーなのかなぁ!?」って事なんじゃないかなと思います。
でも人生って真面目に生きてる人の方が面白いというか笑わせるぞ!ってくるよりも真面目な人のドジの方が笑えますよね。
これが奇跡に繋がって上手く舞台はいってるのに彼は全て失敗だと感じてしまう。
なんだかよくあるよくあると頷いてしまいました。
それにもう一人の自分(バードマン)と喋るのとかって意外と皆さんやってる事じゃないですか?例えば日曜日夜に明日も頑張ろうとか思ったり辛い時にお前には出来るって言い聞かせながら仕事したり
誰の心にもバードマンはいて彼の場合にはそれがプレッシャーになり追い詰められていったのかなとか感じました。
カメラワークも独創的だし音楽もいいし演者も上手いし凄い好きだったけど
予告編で流れてたCrazy聞けなかったので-0.5で
誰もマネすることのできない新しい映画
面白い面白くないは、とりあえず置いておいて。芸術作品としてずば抜けている。冒頭・終盤を除いて、120分弱の間、1度もカメラが切れない(ように見える)のだ。本当に切れない。それなのに時間はしっかりと進んでいく、不思議さ。そんな映像を実現したのは、手堅い演出とそれをこなした演技陣の凄すぎる仕事っぷり。そんな中で流れる音楽や音もとても良い。それら全てがひっついて、とんでもない芸術作品に仕上がった。やたらと鏡に映るシーンが多いのはなにか秘密があるのだろうか。アカデミー受賞式でも司会者がその格好になって話題となった、パンツ一丁のシーン。こっちが期待してるからというのもあるが、散々引きつけて焦らしてからの解禁!って感じ。だからこそ館内「待ってました」と言わんばかりで、笑が起こり、あれは名シーンとなるであろう。ストーリーとしては地味極まりなくなんとも言えない。可もなく不可もなくって感じ。バードマン自体もそこまで何かするわけでもなく、やはり地味だ。それでも、あのワンカットは必見の価値あり。それだけで、とてつもなく面白いことになっている。カメラは『ゼロ・グラビティ』のエマニュエル・ルベツキ。今後どんな映像を見せてくれるのか大いに期待。監督は『バベル』や『21g』のアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ。時間軸がバラバラで観終わって繋がる手法だったが、今回はワンカットの全く違った映画を提供してくれた。
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