アメリカン・スナイパーのレビュー・感想・評価
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ぐんじんたいへん
結構エグい
実話というのが驚き
主人公はナイスガイで、ビンラディン率いるアルカイダのテロから祖国を守るべく、軍人になることを決意する。狙撃の才能に目覚め、戦地で味方を守るため、敵をめちゃくちゃ殺す。
アメリカ軍のうちの多くがPTSD的な症状をわずらい、主人公も敵を倒したあとそうなる。
しかし、ほかの退役軍人と付き合いながら、なんとか症状を克服し、最後は幸せな家庭環境を築く。
そして、退役軍人のメンタルケアに励む。最後にヤバイ顔した退役軍人のメンタルケアをしに射撃場に行くが、なんと殺されてしまう。ここでエンディング。
ふつうに反戦映画
一見するとアメリカのプロパガンダっぽいが、これを見て「俺も志願して兵隊になって国家の正義のために戦うぜ!」と思う人いるだろうか?
歴史を学ばない無知な田舎の青年が人並みの正義感で軍に志願。しかし初陣では自爆攻撃しようとした子供を射殺するハメになり、兵舎でもらしたのは「思っていたのとは違った……」。
過酷な市街戦を経て主人公は敵を「邪悪」「野蛮人」と言うが、自分の戦果を数えず「戦友を死なせないため」「義務を果たすため」が戦う理由の兵隊が言っても虚勢に聞こえてしまう。
PTSDを患った彼が戦地に赴くのは戦友を殺したスナイパーへの復讐心と、おそらくは同じ狙撃手としての対抗心だろう。
だから復讐を果たした彼は妻に電話で言う。「家に帰りたい」と。
兵士という型にハマって消耗した英雄は、四肢を失った他の兵士と同じく戦争という災禍の犠牲者にしか見えない(兵士になる前の彼はアメリカの政策に無関心だったみたいなので、犠牲者ではあっても被害者ではないが)
とにかく痛みを知らない愛国者と元気な反米マン以外は、ほとんどの人が見終わって「戦争はウンザリだわ・・・」と感じるだろう。そういう意味では過去のベトナム戦争映画と同様に反戦的だし、戦争映画としても演出がうまく面白かった。
しかし・・・あんな無茶苦茶な内容のキリスト教を盲信してる覇権主義で軍国主義の超大国が史上最強の戦力を有して地球に君臨している現代世界は、ほんとクレイジー。
what is life?
気にいらねぇ
映画自体はそこそこ見れる。問題はそこじゃない。裁判が終わってないのにこの映画を公開したことだ。別に俺は加害者を擁護するつもりもない。気に入らないのは、つまんないフィクションで脚色して、さも主人公は非の打ち所がない英雄だと裁判中に印象操作したことだ。そのメディアを使って大多数の民衆を一方向に扇動しようとする暴力的な印象操作が気に入らない。もし主人公が本当にそうなら裁判が終わってから正々堂々と公開すればいいだろうが。加害者を、人殺しをかばうつもりは一切ない。ただ、このイーストウッドのクソ偽善者ぶりが心底鼻についてしょうがない。わきまえるところもわきまえられないなら映画撮るのやめちまえよ。
やっぱり戦争って誰も得しないなって思わされる
タイトルなし
良い話
欺瞞と書いてなんと読む?
この作品に関しては、菊地成孔の評に全面的に同意。
曰く、連綿と続く「アメリカの戦争」の欺瞞性(敵方は邪悪で狡猾とすることで侵略の後ろめたさを緩和する)をこの映画もまんまなぞらえるという愚を犯していると。
「グラン・トリノ」であれだけ感動的なメッセージを示した監督が、一方でこんな作品を作ってしまうのか…とあきれた。
でも「ミリオンダラーベイビー」も終盤の展開にはまっったくついて行けなかったので、イーストウッドの感性とはそもそも相性が悪いんだろうな…
ノリノリの戦場パートに対する妻子パートへのあからさまな興味のなさ、笑ってしまうほどのおざなりさ。
それはもはや「建前」としても機能してないことを示してる。
なんの興味もない妻子を担保に使うホモソー的欺瞞を今すぐやめろ。
戦争のヒーローは敵から見たら極悪人
スナイパーは、
味方の兵士を助けるための正義の体現者。
しかも、
160人以上の悪者をやっつけてレジェンド。
危険にひるむことなく、
逃げ出すこともなく。
家族とのあつれきに苦しみながらも、
PTSDに悩みながらも、負けることなどなく。
でも、
視野を広げれば、誤爆、誤射で
あまりにも多くのイラク民間人が
命を失った事実。
ま、クリント監督が描くはずもないのは
当たり前か。
敵は、
子どもを電動ドリルを殺すような
残虐極まりない者として
描かれていたけれど
本当にクリス・カイルの敵は
そんな残虐な者たちばかりだったのだろうか。
戦場からタヤに電話する時、
クリスは、敵兵にも家族がいる事実が
頭によぎったりしたことはあるのだろうか。
その家族の悲しみや苦しみに
思いを馳せたことはあるのだろうか。
子どもを撃たなければならない時のみ
呵責を感じていれば、許されるのだろうか。
そして彼にも、誤射はなかったのだろうか。
戦争におけるヒーローを描くことは
どんな描き方であろうと
戦争賛美にしかならない
そう感じた映画です。
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