「これぞ山田洋次&松竹ブランドの喜劇映画」家族はつらいよ スペランカーさんの映画レビュー(感想・評価)
これぞ山田洋次&松竹ブランドの喜劇映画
今の時代、こう言う映画を世に送り出せるのは、もはや山田洋次監督だけでしょうね。
まあはっきり言って古臭いです、今の時代を描いても思いっ切り昭和テイスト、でもこの懐かしい感じがたまらなく良かったりもするんですよね。
誰も作ろうとしない古臭さ、いや、誰も作れない古臭さ、最近はなかなかこう言う映画にはお目にかかれないから、逆に新鮮な気持ちで見ることができて、予想以上に楽しめました。
これはまさしくコメディ映画ではなく喜劇映画でしたね、何の情報もなく見ても山田作品だと分かるこの安心感、ご高齢ですがまだまだ山田洋次監督には頑張ってもらいたいです。
「東京家族」と同じキャストで真逆のような内容の映画を作ったのも面白い試みだったと思いました。
正直最初は若干混乱しましたけど・・・。
しかし時代錯誤と言えるリアリティのない演出と、一方で妙にリアリティのある家族の言い争いの、絶妙なアンサンブルがとにかく素晴らしかったです。
今の時代こんなことする人いないよ的シーンが大多数の中で、そこで繰り広げられている家族の会話・言い争いの内容は妙にリアル、と言うかまあ昔からこれが普遍的な家族の構図だったりもするんでしょうけどね。
それにしても橋爪功が演じたお父さんが典型的な昭和のオヤジ過ぎて相当ツボでしたよ!素晴らしい演技でした。
私の父も電話で必ず「あぁ~俺だ」と言って電話かけて来るので、冒頭からツボ、靴下を投げっ放しなのも同じだったし(今も変わってないらしい)、そんな昭和オヤジあるあるの中で熟年離婚問題が起こるのは、我が身にも降りかかってきそうで他人事には思えず、クスクス笑いながらもどこかいろいろなことを考えさせられながら、思いっ切り山田ワールドを満喫することができました。
家族とは言えども、やっぱり言葉にしないと伝わらないことってありますもんね、こんな風に言い合える、言い争えるのは、悪いことじゃない、何だかんだで運命共同体、悪いこともあるけど、やっぱり家族っていいものだなと改めて再認識させられた映画でした、最後はややご都合主義すぎた部分もありましたけどね。
この一家がどうなって行くのか、続編も製作されたようなので、またどんな騒動が起きるのかそちらも楽しみです。
ところであの鰻重はどうしたのかな・・・食べたい・・・。