「結城冴子が自殺した理由が解せない」起終点駅 ターミナル 月野沙漠さんの映画レビュー(感想・評価)
結城冴子が自殺した理由が解せない
TOHOシネマズ川崎で2015/11/13に鑑賞。
佐藤浩市の演技も本田翼の演技もとても良かったのですが、尾野真千子演じる結城冴子が自殺した理由が解りません。ここが理解できないと話の骨格である鷲田寛治(佐藤浩市)が世捨て人のように釧路で暮らす理由もぼやけてしまう。寛治は冴子の気持ちを理解できていなかったかもしれない。しかしですよ、本人の目の前であんな凄惨な自殺の仕方をするなんてどれほどひどい仕打ちですか?それほどのことを寛治は冴子にしましたか?冴子は寛治が司法試験に合格した時も一緒に喜びを分かち合うことなく、万年筆一本残して消えました。そして十年ほど経って再開し、妻子ある寛治と簡単に不倫関係になり、寛治が家庭を捨て自分を選ぶ覚悟を決めると目の前で電車による轢死というとんでもない方法の自殺。これほどの仕打ちありますか?結城冴子ははっきり言ってメンヘラですよね?こんな自殺をする人が寛治に「たたかえ、寛治」などと発破をかけていたんですよ。また彼女は生前、「長生きして人に負担をかけるなら早く死んだほうが幸せ」というようなことも言っていました。でもこの自殺がどれほど寛治に負担をかけるか想像できなかったんでしょうか?
そしてその冴子に対して過剰に責任を感じ、家族を捨て(ここで罪をまた増やしている)彼女が自殺した地で地味に暮らすという十字架を背負う選択をします、うん?映画を鑑賞している間、この疑問がもやもやしていまいち話に入り込めませんでした。
他の人のレビューもいくつか読んだのですが、この辺に言及している人はいないようでした。私の理解力が足りないのでしょうか?わかる方いらしたら、よろしければコメントでご教授おねがいします。
本田翼の演技がとても良かった。初めの暗い目つきの影のある演技、寛治と食事を一緒にしたあたりからの打ち解けてきて、少し厚かましいくらいの現代っ子っぽい演技。最近の若い子の演技、侮れない。