セッションのレビュー・感想・評価
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天才にあこがれる凡人たち
主人公の、特に彼女との会話で明白になるが、
「僕はドラムに夢中で君を蔑ろにするはずだから、その前に別れよう」などと
もしも本物の天才なら言わない。
彼は自分が妄想する天才の道を、意図的に歩もうとしているだけだ。
これは教授も同じで、天才を発掘できるという妄想を根拠にパワハラを続けているだけで、
それが身を結んだことは一度もなく、人ひとりを死に追いやっている。
告発されればそのまま解雇され、奏者としては小さなバーでピアノを弾く男だ。
天才にあこがれてその狂気を模倣する。そんな勘違い男ふたりが、幸か不幸か噛み合う。
最後にふたりは高みへと上り詰め、圧巻のエンディングを迎えるが、
作中で彼らの音楽を客観的に評価してくる人間は存在しない。
満足げなふたりを見せ、聴衆が拍手したかどうかすらわからないまま映画は終わる。
ラストのための映画
様々な感情が浮かんだ。
まず途中までは、この教育法はどうなのか、でも強さとか自分の意思とかが無いと厳しいだろうし。でもあまりにひどいよな。見てるだけでも気分が悪いし。難しいなぁ。って考えてた。
教授の思いを聞くと、それぞれの価値観として理解できなくもない。素晴らしいものを生むための苦しみも良いのか、いやでもエゴだろ、でも教育なんてエゴか・・・とか考えた。ここまででも、並の映画として楽しめた。
そしてラスト・・・このための映画だった。音楽を通した全力の殴り合い。ぶつかり合い。善悪でも良し悪しでもない。和解も勝利も、過去も未来もない。成功でも失敗でもない。この瞬間、二人だけのための。
こんな教育法でも、素晴らしい奏者を生み出したんだというのは、違うだろう。何の評価も無い。二人だけが、あの瞬間だけ通じた。それだけの事であり、それこそがこの映画や、音楽の本質だと感じた。
うーん。。。
最後のシーンはプロの音楽家としてどうなの?って思いました。
お金を払ってこの日を楽しみにしてきたお客さんが目の前でいるのに、あれはひどい。
自分があの会場にいて、舞台上でドラマーがワタワタしてるのを指揮者は何も助けない、指揮者から罵声を浴びせるドラマーを見せられたら、この日までに楽しみにしてきた気持ちとチケット代を返して欲しいと思った。
鬱で死んでしまった彼の話を交通事故と亡くなった。生徒に嘘を言うシーンも、首を吊って亡くなったと弁護士から聞いたときは驚きだった。人の死をなんだと思ってるんだ、あの教授は!
現実と物語は違うけど、こんな人が現実にいたらいくら才能があって素晴らしい音楽を作れても人間として見れないなぁ〜
強者と弱者の立場から本物はどっちだと主張しあう話
フレッチャーの言動がパワハラで胸糞悪いみたいな感想は持って当然だと思うけれど、
だからといって映画が最低だという評価は何か違う気がする。
戦隊モノのヒーローの敵として出てくる組織に対して、ウザイ、キモイと投げかけるようなもので、
悪の組織もフレッチャーも物語の為に用意された必要悪なのである。
この映画はそんな必要悪のフレッチャーとひたすらに名声を求める学生のニーマンによる意地の張り合いを最初から最後まで描いている。
フレッチャーのやり方は汚い。
教えてやってるんだという強者の立場から、
ひたすら自分が気持ちよくなるような罵詈雑言を吐きかける。
まさに狂人でしかないのだが、ただ正しい、音楽的にはただただ正しい。
でもこれって自力で空を飛ぼうとしている人に、
お前はただジャンプしているだけだって罵詈雑言と共に怒鳴ってるだけで、
正しいのは正しいけれど、怒鳴っている側も決して空が飛べるわけはないので、
本当に卑怯なパワハラ行為でしかない。
ニーマンは音楽的にも人間的にも成長し、ついにフレッチャーを突き落とす所まで来たが、
結局正義の味方は汚い手は使わずに実力での最終決戦に持ち込まれる。
最後は絶対悪であるフレッチャーを正義の力に目覚めたニーマンが叩きのめして終わりというのが王道ではあると思うが、
何故か見つめ合って共闘してしまっていた。
パワハラどうこうでこの映画に怒るよりはただの長いギャグ映画だったと怒るべきだと思う。
幸せになれない男たちのお話
予告編では密室なスタジオでひたすら才能惚れ込まれた鬼コーチにしごかれるストーリーと思っていたが実際本作品を見たら、違う話だった。アメリカで1番と豪語する一流の音楽学院の教授であるフィッチャーは、自分のバンドを厳しく指導しバンドメンバーたちはバンドに入っていることを誇らしく思っているがフィッチャーがスタジオに入ってくると恐怖と緊張でみんな下を向いて萎縮してしまう。椅子を投げたり詰ったりしてこのような先生のもとでジャズと言う自由な音楽を楽しむ事はとてもできない。主人公のアンドリューは父子家庭に育ち友達もなく一流のドラマにあり親戚や彼女や周りの人に認められることをあまりに強く望んでいてそのストイックさはフィッチャーに負けず劣らず異常なレベル。
2人を見ているだけで気が滅入るしこんなバンドが素晴らしい演奏をしてコンテスト優勝できると言う所からして音楽アカデミズムの権威主義しか感じない。音を楽しむ音楽がそこにはなくかつて指導した生徒が精神を病み自殺したときのフィッチャーの涙もバンドメンバーへの話も保身のためのものだったし、一方のアンドリューもドラムを極めたい先生に認められたい一流になりたいと言う強い気持ちが純粋に音楽を愛する者と言うよりも周囲を見返したい、周囲に認められたいと言う意固地なものになっていく。サンクスギビングか何かで親戚一同が集まるテーブルを囲んでの会話どの国にも見られる自分の家庭自分の子供自慢、世間の物差しで見栄の張り合い。アンドリューと父親との関係は信頼と愛に溢れているが一度親子関係の外に出るとアンドリューは孤高を楽しむようなことを嘯きつつし満たされない承認欲求にや悩まされ彼女や周りの人にミーンな態度となっていく。社会的な賞賛や地位や承認でしか満たされない不幸な、幸せになれなそうな男たちが奏でる音楽には聴衆がほとんど出てこない。最後のアンドリウの圧巻の独断ドラムソロとジャズの精神に基づくかと思われたバンドへの合図呼びかけでのキャラバンの演奏も観客の拍手喝采からエンドロールとはならず。
師弟のかけひき、そこでごく稀に瞬間に生まれる音楽を通した理解疎通、ジャスクラブでの師のリラックスした演奏など救いは瞬間に訪れ魔法にかかったようにドラムに引き寄せられ血まみれになるまで練習、、、アメリカ的な家族の幸せごっこ見栄の張り合い、信田元教え子の件でヒアリングに来る弁護士弁護士に協力しようとする父親はいわゆるアカハラ問題を明るみにしようとしていてこれもアメリカや各国での現代的な問題提起。ジャズを聴いているとは思えない重苦しいシーンの連続だがCharlie Parkerの話をするフィッチャーやその話を自分流に理解し親戚との晩餐で披露するアンドリュー、などのちょっとした良い場面あり、また、入れ代わり立ち代わり3名のドラマーがらドラムセットにすわり罵倒を浴びがながらドラマーの座を得ようと何時間もバトルさせられるシーンなど素晴らしい場面あり、全く共感理解できないが凡庸な人間には理解できない異常な世界と、人間界の醜悪さを凝縮したような話を緊迫感あふれる映像で堪能した。
パワハラ/モラハラの影響
LA・LA・LANDがとても好きだったので、監督・脚本を務めるデイミアン・チャゼル氏
の他の作品を見たいということで、鑑賞。
【あらすじ】
超パワハラ/モラハラな指揮者(フレッチャー)の元に大学新入生のニーマンが前途洋々に弟子入りしてドラムの技術を磨くが、その精神的な攻撃によって、限界を迎えて崩壊するという内容。
【感想】
このフレッチャーがとにかくパワーでモラハラな最低野郎。
音楽の世界の僅かなテンポや音階の違いなどは限られた人にしかわからない世界なのだろうが、それをみんなの前で本人の資質や育った環境を馬鹿にしながら追い込んでいき、それによって主人公の精神が崩壊していくのは、パワハラな職場環境によくある光景であり、改めて良くないことだと痛感。
僅か数%だけ見せるフレッチャーの優しさ、最高峰のチームのレギュラーになる為だけに、
彼女や家族を犠牲にしながらドラムの技術を習得していく様は圧巻だが、異常だしそれなりの代償を払う(事実、別の一流になった音楽家は自殺)
JVCシーンでは、自分をクビに追い込んだと疑う2周り位年下の元生徒に対して大舞台でわざわざニーマンが、知らない曲をやって恥をかかせようと企てるあたりは人間としてダメダメだと思う。
クライマックスでは、ドラムを確り叩き切り自分のペースに持ち込んだニーマンの執念は最高に爽快であるが、最後客の反応迄表現してほしかった。
リベンジの果てに
ジャズ音痴でも楽しめる逸品。
天才を生み出す過程は狂気の沙汰。決して認められるものではないが、歪んだ情熱に共感する部分が無いわけでもない。
最後のセッションは久々に震えを感じた。
教え子と教師がリベンジの果てに辿り着いた境地をご堪能あれ!
ゾクゾクする凄いやつ
しんどい練習練習練習練習練習、、
狂っていく主人公と鬼すぎるJKシモンズ
最後のステージシーンは
指揮とドラムを通して蹴落とし、殴り合うような展開、、いや、お互いのその才能にゾクゾクしあっている展開
セリフがないのに2人のセリフが
指揮とドラムに乗って聞こえてくる感覚
何を見せられてるの今、、
その演出と演技ゾクゾクしました。
すごい映画を観ちゃった、、と放心状態でした。
ハマらない人には相当しんどい映画だと思います。
タイトルなし
厳しい熱血教師と生徒の感動ストーリーかと思いきや、憎しみ、怒りが双方渦巻き、生徒はそれによって成長し、ラストは教師は認めた表情、生徒は認められ嬉しい表情で一気に終わる。感動はなかったな。
チャゼル監督の出世作にして、現時点最高傑作
🚨ネタバレ全開の上に長いです🚨
『ラ・ラ・ランド』にてアカデミー賞歴代最多ノミネートを獲得したデイミアン・チャゼル監督の出世作は、桁違いの熱量とカタルシスを浴びせられる大傑作でした!私的オールタイムベストです!!
「偉大なジャズドラマーの一人」になることを夢見て疑わない音大生の主人公ニーマンと、J・K・シモンズ演じる鬼教師フレッチャーの狂気に満ちたレッスンを描いた本作。
まずはやはり、フレッチャーのこの世のものとは思えない教育法が凄まじい!サム・ライミ版『スパイダーマン』シリーズにて、ある種悪役とも言える新聞社社長を演じた彼の、憎みきれない部分を捨て、鬼畜さを最大限増幅したようなキャラクターは、これ以上ないほどの適役でオスカー受賞も当然でしょう。
初めはニーマンに優しく接し、家族の話題で緊張を解してあげたフレッチャーですが、そこで得た情報を基に容赦無くニーマンの人格攻撃を始めるシーンは、彼の卑劣さが際立つ名場面でした。
一方のニーマンも誠実に音楽を追求しているようには見えず、「自分の承認欲求を満たすための道具」としてドラムを利用している節さえあります。
「現地では花形スポーツであり、スクールカーストの最上位に位置する」アメフト部に所属するものの、大学下部リーグでの活躍に満足している従兄弟をニーマンが心底馬鹿するのも、彼が「ジャズこそ至高であり、それを追求する俺は、お前らには理解できない世界に到達できる」と盲信しているからだと思われます。
このように肥大化した承認欲求を抱えた彼が、挫折を経て夢へのチャンスを再び手にするものの、そこでもフレッチャーの復讐に遭い、父親の元に敗走する姿は痛々しいことこの上ない。しかし、この後の展開によるカタルシスがとんでもなかった!!
どんな時も無償の愛を与えて受け入れてくれる父親の元を離れ、自身から二度も音楽を奪ったフレッチャーと改めて対峙し、全身全霊をかけた演奏によって彼を圧倒するニーマン!
ここでの、音楽ホールの向こうから呆然と見つめることしかできない父親の目線から、ニーマンが完全に「凡人には到達できない、向こう側の世界」に行ってしまったことがわかります。
そして遂には、フレッチャーに自身の存在を認めさせ、彼が忌み嫌っていた「Good Job」という言葉を言わせてみせたニーマンが演奏を終えたところで、そのままエンドロールに向かいます。
この切れ味と心地よい余韻に、私は完全にノックアウトされてしまいました。
OPとEDがどちらも「ドラムを高速で叩くニーマンと彼を導くフレッチャー」というシーンで構成された円環構造や、映画館や親戚の集まりにおける所作によって父親の凡人っぷりを端的に説明する手際の良さなど、優れた部分を挙げるとキリがありません。
未だに何者でもなく自力では将来も見通せない私にとって、本作は見返すたびに心のギアを入れ直してくれる大切な作品になりました。
やられたらやり返す!ジャズの有無を言わさぬ暗黒面を見た様な作品です。
前から観たかった作品なので千葉の「ユナイテッド・シネマ テラスモール松戸」でやってるのを知り、観賞しました。
観賞料金1,100円だったのもラッキー♪
で、感想はと言うと、凄い作品。
もっとハッピーエンドかな?と思っていたら、ドロッドロの暗黒面を繰り広げる、ジャズ版「仁義なき戦い」って言った所か?w
面白いと言えばめっちゃ面白いですが、いや~ドス黒い面白さに魅入られましたw
名門音楽学校に入ったアンドリューがスパルタ講師のフレッチャーに見込まれてから、狂気のドラマー地獄に身を投じていくと言う感じw
でも、誇張な表現でもなく、中盤辺りからは物凄い血で血を洗うぐらいの闘争になっていく。
名門音楽学校に入って見込まれたアンドリューは落ちたくないプライドが狂気に変わっていくがフレッチャーの傲慢さが乗り移ったかの様になっていくんですが、成り上がる為、一流のドラマーになる為には手の皮を擦りむけるとかもあるかと思うんですが、もの凄いんですよね。
大好きなジャズ漫画の「BLUE GIANT」の描写とはえらい違いやw
アンドリューの狂気の引き金となるフレッチャーはスパルタどころの騒ぎではないくらいに厳しい。
今なら確実にアカハラ(アカデミー・ハラスメント)問題。実際にクビになってるから、アカハラなんだけど、ここまでの軍隊的な授業は確実に問題になりますわな。
シェイファー音楽院を退学したアンドリューと同じく同じくやり過ぎた指導でクビになったフレッチャーが偶然に出会い、フレッチャーがアンドリューに"俺のバンドにドラマーとして参加してくれないか?"と言われ、"二人が再びジャズの世界で共演していくんだな。ジャズは偉大で優しいなぁ。めでたしめでたし♪"と思っていたら、とんでもないどんでん返し。
ステージで"密告したのはお前だな?"と告げ、アンドリューに復讐を果たすフレッチャーはアンドリューに言ってない曲でスタートし、赤っ恥をかかす。
こっぴどくやられたアンドリューはステージを降り、父親の待つステージ袖に帰るところで"音楽と言う世界は非情な世界だなぁ…"と思いきや、再びドラムの前に座ったアンドリューは曲目と違う曲を叩き始めて、強引に自身が得意な曲「キャラバン」をやり始める。
やられたらやり返すを体現する情け無用のタイマン勝負にスッゲーと思っても"あぁ多分バッドエンドだろうなぁ"と思っていたら、アンドリューの狂気の暴走と超絶テクが炸裂。フレッチャーも認めざるえない程の演奏の果てに魂の「セッション」に昇華していくと言ったところでしょうか?
…まぁ一緒に演奏しているメンバーはたまったもんではありませんがw
面白いかと言えば面白いけど、ジャズの暗黒面をまざまざと見せつけられた感じで結構疲れたw
でも、すんごいモノを観た感じでナタリー・ポートマンの「ブラック・スワン」を思い出しました。
ラスト15分のステージ上での2人のやり取りとアンドリューのドラムは圧巻の一言に尽きますね。
劇場で観て良かった。これは映画館で観るべき作品ですね。もしくは音響設備の良いオーディオ設備で見た方がマル。
とにかく、フレッチャーを演じるJ・K・シモンズは怖くて迫力があって凄いけど、アンドリュー役のマイルズ・テラーが全然負けてないんですよね。
「セッション」以降あんまり作品に恵まれてない感じがしますが、今年の年末に公開される「トップガン」の続編「トップガン マーヴェリック」に出演するので楽しみ。
フレッチャーの一流を育てる為に妥協したくないと言う気持ちと姿勢は正直な話し、解らなくは無いんですよね。
「学校に入る事を軽く考えて、一流になろうなんざ甘いよ」と言うのは教えていた身からすると少なからずある訳で、ただ学校も商売なので、その辺りのさじ加減が難しかったりするんですよね。
「名選手が名コーチになれるかは別」なんて言葉がありますが、教える側と教えられる側の温度差はいつの時代も教育関係には頭の痛い問題であります。
かと、言って人権を貶めてやるのはやっぱり別な訳で、フレッチャーのやり方はまぁしっぺ返しを食らいますわなw
ジャズが好きと言うのもありますが、こういった作品は大好きで、感動したと言うよりかはグッタリするぐらいに疲れた感じで魂と頭を揺さぶられた様な作品ですが、観る側にもタイマン勝負を挑む様な作品は稀有だし好きw
まさしく映画を体感したって感じです。
もう、今から6年も前の作品で劇場での観賞を諦めてたから劇場観賞が出来てラッキー♪。
まだ未観の方はタイミングが合えば是非劇場で♪
そんな2人はスーパーコンボ
偉大な音楽家になりたいニーマンは、フレッチャーのバンドにスカウトされる。しかし、天才を生み出すことに取りつかれたフレッチャーによる狂気のレッスンによりニーマンは次第に追い詰められていく…。
ニーマンが大会やらで演奏する時、毎回失敗しないでとドキドキしながら見てしまうほど、フレッチャーの鬼畜教師ぶりは凄まじかった。とんでもないスポ根映画で自分なら秒で退学するなと思った。
特に最後のコンサートで曲をすり替えた時とんでもねぇ奴だなと思った。あれは単純な意地悪か、それともニーマンに期待してか?多分前者だろうな、クビにさせられたから。まあ、どっちでもえげつないけどね…
ニーマンに対し、偉大な音楽家になりたいという思いから頑張ってて偉いなぁとか思ってたけど、いとことの食事会あたりからあれっ…と思い始めて、最後の狂気のコンサートでのフレッチャーに向かって見せた「どうだった?」と問いかけるような表情で確信に変わった。
ニーマン自身、狂気の承認欲求に取り憑かれているんだなと思った。
それに対し、口が隠されていたが、フレッチャーはニーマンに、グッジョブと言ったのかな。きっとそうだよね。
嫌いな言葉って言ってたのにそれを言わせたといことで、天才として認めてもらえたのかな。
今後、ニーマンは褒めてもらいたくてどんな理不尽にも耐えていくだろうし、フレッチャーは目標であった天才を生み出すことに成功し、さらなる才能を引き出すことに躍起になるのかな。
この2人だからこそ互いの目標を達成できた、正にスーパーコンボだ笑。
不器用
・公開時に観て2度目なのでおよそ6年ぶりに映画館でやってたので観た。あれだけ演奏シーンがあって交通事故の所の印象がものすごく強くて、ドラムをしてる時の罵声とほぼ同じくらい。
・練習の際に、手の血を氷水でアイシング?していたけども、あれは実際にもそういうのをしてるのかなと思った。
・ニーマンの痛々しさがすごく感じられた。前回見た時はまだ29歳だったこともあってか、何者かになりたい、大物になりたい。そんな気持ちに共感していた気がする。だから、血だらけの手で演奏するのも当たり前だくらいに思って見てたような気がする。今回見てみて思ったのは、もっと厳しいパワハラで教えてたと思ったらあんまりそういう風に見えず、あれぐらいの事で諦めるなら仕方ないように見えてきて先輩ドラムが医大へ行ったのも良かったんじゃないかなとか思った。
・トランペットのシェーンは名前だけの登場だったけど、なんとも言えない気持ちになった。精神を病むくらいの努力というのか追い込みを科してようやく良い演奏といわれるとなると、楽しみで演奏はもはやできないだろうし、とはいえトランペットは人生だから捨てられないしと思い込んでしまうのを、果たして救うことが他人に出来るだろうかと悩ましい。なんというか、命を救う事はできたかもしれないけど、その先の葛藤は死ぬまで続くことになったんじゃないか、と。すがる物がひとつだけの人間の宿命というのか全てをひとつのものにかけた人間の負の側面がキツかった。
・ニーマンのラストの演奏が良かった。いわば教授に反撃を喰らわせているけど、全て教授の手の中感が否めなくて反撃としては物足りなく感じつつも、ニーマンが大きな飛躍をした感じが良かった。とはいえ、ニーマンの性格や環境だとあの演奏の後も苦しそうだけど。
・教授にしごかれまくって成功した人はいいけど、カンフル剤として使われた人たちとかの方が悲惨だと思った。トロンボーンだったかの間違ってなかった人は気が弱そうなのにあの後、どうなったんだろう。
・
オチが好き
オチで主人公が選手生命断たれるかと思いきや、最後のカメラワークで可能性を感じる瞬間が良かった。
お互いの未来を閉ざし合ったのに、ラストは分かり合えた気がする。
別れた彼女との電話のシーンも、すべてハッピーで終わらせない感じもバランスよかったな。
レンタルでいいけど、地上波でやってたら録画するかな。
師弟の厳しくも暖かい物語と思ったらただではすませずどんでん返し!!...
師弟の厳しくも暖かい物語と思ったらただではすませずどんでん返し!!
スポーツの世界でもそうだけど狂気的な指導者の元
天才がうまれたら美談だけど
病んだ人がいたら悲劇という紙一重。
この物語は天才と賞賛される一歩前で終わっているが、最後の演奏で師は彼の演奏に魅了されてしまっている。
師のやり方は賛否あるだろうが師を魅了させた彼には師のやり方を受け入れないで背を向け続けてほしいなー。
音楽の悪魔に魂を売った男たちの物語。
偉大なジャズドラマーになる事を夢見る青年アンドリューが、高名な指導者フレッチャーに常軌を逸したトレーニングを叩き込まれ、次第に狂気的な世界へと足を踏み入れていくというサスペンス音楽映画。
監督/脚本は『グランドピアノ』の脚本家で、後のオスカー監督であるデイミアン・チャゼル。
主人公アンドリューを演じるのは『プロジェクト X』『ダイバージェント』のマイルズ・テラー。
フレッチャー教授を演じるのは『スパイダーマン』シリーズや『ジュノ』のJ・K・シモンズ。本作でオスカーを獲得。
👑受賞歴👑
第87回アカデミー賞…録音賞・編集賞・助演男優賞(シモンズ)の三冠を達成‼️
第72回ゴールデングローブ賞…助演男優賞(シモンズ)!
第30回サンダンス映画祭…グランプリ・観客賞の二冠を達成❗️
第68回英国アカデミー賞…音響賞!
とても高い評価を獲得している本作。
狂気的な指導を行う音楽大学の教授と、彼に従事するうちに自らの内に眠る魔物を揺り起こしてしまったドラマーの青年の、常軌を逸したジャズ映画。
本作の監督であるデイミアン・チャゼルがこの作品を作ったのは弱冠28歳。この年齢でこれだけのクオリティの映画を製作するとは、なんとも恐ろしい才能と情熱を持った人物だと思いました。
本作を傑作たらしめている大きな要因は、間違いなくJ・Kシモンズです。音楽大学教授フレッチャーの気狂いじみた人物像を完璧に演じ切る彼の演技力の高さに驚かされました。
フレッチャー教授は下手をすると現実味がなくなってしまうほどイカれた性格と行動の人物なのですが、J・Kシモンズの演技力によって驚くほどにリアリティーを持ったキャラクターとして存在していました。
フレッチャー教授は主人公を導くメンターとしての役割と、主人公に立ち塞がるヴィランとしての役割を果たしています。
このオッさんのキャラクターが素晴らしく面白い!始めはいきすぎた指導に恐ろしさを感じるのですが、あまりにめちゃくちゃすぎてついつい笑ってしまう場面もありました。
天才的なジャズマンを育てることを目的として厳しい指導を行なっていると言っていますが、果たして本当にそうなのか?
彼の狂気に満ちた行動には、もはや理由は存在していない…映画を観ていてそう感じました。
フレッチャー教授の日本語吹き替えは名優壤晴彦さんが担当。悪役をやらせればこの方の右に出るものなし!気持ちの良いほどの切れ味を持った罵倒の数々に、思わず聞き惚れてしまいました。
本作の主人公、ニーマンを演じたマイルズ・テラーも素晴らしかった。
ニーマンは、はじめはいかにもお坊ちゃんという人物だったが、終盤に向かうにつれて狂人めいた人格に変貌して行く。その様は恐ろしくもあり哀しくもあり…
そんなニーマンの成長過程を見事に演じ切ったマイルズ・テラーに拍手!この映画のため、血が滲むほどドラムの練習をしたそうです。
全体的に黒を基調とした色彩で画面が構成されているため、非常にシックな印象を受ける映像は美しい。
家族の絆や恋愛が、音楽によって引き裂かれて行く様を非常に簡潔かつ印象的に描いている。
これらの描写を必要最小限で留めているため、間延びのないスマートな映画となっている。
クライマックスの演奏からのエンドロールが流れるタイミングはまさに完璧!ついつい拍手をしてしまうほどの美しさでした。
夢を叶えるために、これ程の代償を払う必要はあるのか?人間性を捨ててまで叶えたい夢とは、もはや呪いと言うべきではないのか?
この映画では、夢を追う人間は幸せにはなりません。
しかし、全てを投げ打ち何かに邁進する人間の狂気性と美しさがありありと描き出されており、少しも画面から目を逸らすことが出来ませんでした。
ジャズにはあまり関心がなく、詳しくもないですが、それでも十分に引き込まれました。
全く欠点のない、完璧に近い映画だと思います。それだけに少し綺麗に纏まりすぎていると感じてしまうところもありましたが、後世に残る傑作であることは疑いようもありません。
観た人間の心に火を灯す、闘う者のための映画です!
そうきたか
予告編なんかで、鬼教官のしつようなパワハラ、という印象しかなくて、今まで観ないでいて、CATVにかかったので、観てみました。
いや、びっくり、そういう展開? というふうに二転三転。脚本すごい。
最後は、すっきりする、みたいなことを聞いていたのだけど、そこも、着地点が予想外でした。
フレッチャーは、チャーリーパーカーの例に固執してるけど、彼が、精神を病んで、早くなくなっていることは、映画中にも、ちゃんとでてくる。つまり、世に残る作品のためなら、という、スタンスこそ、音楽学院の教育者としてどうかと思うわけです。個人の先生ならまだしも。
しかし、その彼が、本当に、ニーマンの演奏で、納得した。
本当の意味で、ニーマンは、彼をねじ伏せた。彼は、(他の人と違い)負けなかった!
J.K.シモンズのその描写、その表情こそが、演技の賞を得た所以ですね、すごくよかった。けど、フレッチャーは、嫌い。ww
コメントを読んでいると、そういう微妙な表情で、彼らの頭の中を想像できない人が多すぎ。映画の何をみているんだろう、と思ってしまう。。。
彼の成長を見守る父親の存在をあえて入れるところで、全ての学生(学び中の若い人)へエールを送っている映画だ、と思いました。
理不尽なことに屈してはいけない! 汚い大人はいる。でも、自分の努力は、それを超える、こともある、ってね。
とんでもない先生
先生の陰湿さ、後半驚いた。
これじゃ才能が有ってもいい音楽は出来ないし
第一、楽しめない。
映画というドラマの中で先生に対し腹が立ったけど
それだけ演技が上手かった、のめり込んで観れたということになるのかな?
狂気の師弟関係
すごい映画だ。
何がすごいって、J・K・シモンズ演じるフレッチャーという鬼教官。
私は、蜷川さんの舞台演出風景を見た事がないが、よく、灰皿が飛んでくるというくらい激しい指導があったと聞くが、多分、この鬼教官みたいな感じだったのでは?
蜷川さんは、かなりのスパルタではあったけど、尊敬され、罵倒されてもいいから蜷川さんの舞台に出たい!と多くの一流の役者の人たちから切望されていたと聞く。
しかし、この鬼教官は、主人公マイルズ・テラー演じるニーマンを罵倒するどころの騒ぎじゃない。精神的にも追い詰めて、なおかつ、自分の意にそわないと音楽家としての彼の将来を抹殺しようとまでする。
指導という名のパワハラ、恫喝、暴力。
彼の狂気は、自分の指導を認めさせたいという激しい承認欲求と自己愛なのか。そこに教え子に対しての愛情は微塵も感じられない。
でも、なのである。
彼の音楽に対する美意識は半端じゃない。
一瞬にして聞き分ける音のずれ、リズムの微妙な間合い、すべてが完璧なものでなければ許せない激しいまでのこだわりを持っているのだ。
はっきり言って、人としてはこういう指導者とは関わり合いたくない。関わりたくないけど、これだけの美意識を持って罵倒してまで「ここが違う」と言ってくれる人と出会えるか、出会えないかで人生変わることもある。
彼が言った一言。
「俺は、グッジョブ!(Good Job!)という言葉が一番嫌いなんだ!」
そうなのだ。それほど良くもないのにちょっと出来たくらいで褒められて、それで出来た気になるとしたら、一流にはなれないのだ。
普通の人は、自分に甘い。私もその一人。
ほめられて伸びるんです。そう、確かにほめられることは嬉しいし、もっと頑張ろうという気持ちになる。
でも、それだけじゃ超えられない壁があるのだ。
怒鳴り散らされても、殺したいくらい憎らしくても、中途半端なことで、「良かったよ」って言われるくらいなら、「お前はそこが出来ないから、ただの凡人なんだよ!」って、言ってくれる人と出会えるかどうか。
実は、その出会いに気づくかどうかが、人生を変えるのだ。
多分誰しもが出会っていると思う。絶対に自分の美意識を譲らない人、めんどくさい人、なんでそんなところにこだわるんだよと思う人。
そんな人は遠ざけたいけど、そのこだわりを持った人、厳しい言葉を容赦無く浴びせ続ける人が自分を変えてくれることもあるのだ。
主人公のニーマンは、ラスト9分で自分の運命を変えた。
最後は自分の力を信じて、まわりからの評価も恐れずにぶつかっていったのだ。
その捨て身の強さは、潔かった。
ものすごく体力を削られる映画
とてつもない狂気。アンドリューが怖い。
小さいころはただ純粋にドラムが好きだったアンドリューが、音楽学校で狂気におぼれていく様にただただ引き込まれました。
何かのメッセージ性や主題がある映画とは思えず、逆に最大級のエンターテインメントかもと思ったり。
うだつの上がらない、友人も少ない若者が、校内でも有名な教授に気に入られ、様々なものを犠牲にしながら、音楽に没入していくわけじゃないですか。
この映画、印象に残っているのがほぼアンドリューとフレッチャーで、あとちょっとお父さんくらい。
展開するシーンがかなり限定されている分、ほかに意識が飛ぶことなく、ただアンドリューとフレッチャーに集中できました。
唯一、ラストのフレッチャーの仕打ちにアンドリューが奮起し、逆襲に転じるところだけ“ホッと”しました。
その前は、もう良いことがあっても絶対落ちるってわかる雰囲気してるから安心できないし、逆に心が痛むこと痛むこと・・・
説教くさいわけでも、感動のストーリーでもない、でもこんなに引き込まれるストーリー。個人的にはかなりエンターテインメント性の高い作品です。
ただ鑑賞にはかなり体力を使うので心して観ないとだな、と思いました。
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