予告犯のレビュー・感想・評価
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単なる「承認問題」ではない
この映画はリアルで承認されないがゆえに、ネット上で視線を集め承認を得る、単なる「ネット私刑」スターの話に帰結できない。空洞化した社会+中程度福祉であっても高齢者よりの社会保障制度+成熟化した社会での意味と強度問題+グローバル化に未だに対応できてない日本の労働問題(同一労働でも雇用形態で変わる賃金格差、空白期間=マイナス作用、単純労働と付加価値労働の圧倒的格差)、労働=生活=やりがい願望といういくつものレイヤーをどう生きるか?問題である。そして、頑張ればレールに乗れた者と、頑張っても報われなかった者(機会の喪失)の道なき社会。労働に希望がないなら、労働以外で希望を見つけるつまり、多重帰属化するしかないのである。ゲイツが欲しかったのは「共同体的感覚」ではないか?もはや受動的には得られないのだから、自ら動く(例えば町に出かけて馴染みの店をつくるあるいはサークルでも町内参加でもなんでもいい)ことでしか処方箋はないのではないか?交換可能なネット関係でなく、摩擦係数の高い人と関わる、コミットメントを作っていくことでしか解決できないことだ。
傘の話がほしかった
この手の映像作品は難しい
原作は観賞後に読みました。
twitterが出てくるところで、監督の過去作品である
「まんま『白ゆき姫殺人事件』じゃん!」と思いながら観ていたので
いまいち乗り気で観ていなかったのが自分的に後悔点かな。
それだけにイヤミスで終わると思っていた締め方には
意外性を感じずにいられませんでした。
なんだかね。
有り得ない話ではないだけに
正直観ているのが辛かった。
買ったパンフレットにも色々と
単語の説明書きが書いてありましたが
・SNS炎上
・ニコニコ動画
・政治家殺害予告(殺害というのは何も人殺しだけじゃない、殺害の方法なんて幾らでもあるというのはすぐにピンと来ました。)
・模倣犯
・ニコ生での祭り実況
・派遣切り、ワーキングプア、ブラック企業
ありふれた話です。
そんな部分だけ抉って描いてしまえば
もちろん、ただの陳腐で汚い作風になってしまったことは確かでしょう。
そういう意味では、この作品において
暗の部分を一手に背負うシンブンシ(奥田)と
ある意味明の部分を背負う吉野との対比を
印象的に描いてくれたのは嬉しかったですね。
この辺りの描写は、原作よりやや強化されており
そういう意味では良改変と言うべきか。
それがあるから、あのラストシーンが響くのでしょうが。
しかし、この様な社会の暗部や人の不幸を暴き出す作品は、ややもすれば
メシウマ(他人の不幸で飯が旨い!)、見て見ぬふりといった、
見る人自身の暗部を抉る形にもなるとも思われかねず
決して大衆向きの作品ではないと個人的には考えています。
そういう意味では上手く作りましたね。
(強引にまとめました)
ジャニーズはトラヴィスになれない
現代社会を風刺した変則『タクシードライバー』か?と期待できた序盤はよかったが…中盤以降薄ら寒い泣かせドラマに転じるからがっかり。まあ生田斗真やけんね。ジャニーズがトラヴィスになれるわけもなく…あまつさえキリスト気取りやがる。またつまんねえ邦画を観てしまった
それにしても濱田岳の童貞演技は酷かったな。あんな童貞がいるか!あいつは自分が童貞だった頃を忘れちまったクソだ!もちろん他の作品では上手いってことは付け加えておく
やはり邦画のベラベラ喋り過ぎ問題は根深い…
いいなと思ったのは刑事が犯人を追って走るシーンがあること。淀川先生も言ってたように映画において刑事は走ってなんぼ。『フレンチ・コネクション』のジーン・ハックマンも『その男、凶暴につき』のビートたけしも走る走る走る!
思いのほか良かった?
非常に面白かった
エンドロールでマンガが原作なんだと知りました。そんなの関係ないくらいに面白くて、よく考えて演出やら編集なんかしているなぁなんて(偉そうなんですけども)思った次第。
演者への感情移入が半端なく(個人的感情なんですけど─)、どんどん引き込まれていって、終盤はヒクヒクするくらいに泣きそうになりました。
ネタ的に荒い映像を多用せざるを得ないはずで、それをうまく利用しつつ、それらが浮くことなく、なおかつ全体が安っぽくならないように仕上がっていたように感じました。
ネタバレしては面白みが減りそうな映画ではあるものの、結末を知っていても、楽しめてしかもまた泣きそうな気がします。
制作・製作に携わった全てのスタッフに拍手です。
前半ドキドキ、終盤ボロ泣き。
そこのみにて光輝く
ネット上に突如現れた、新聞紙を被った謎の覆面男“シンブンシ”。
社会の悪への制裁を予告し、そして実行する…。
同名コミックを中村義洋監督が映画化。
イタチごっこのようなシンブンシと警視庁サイバー犯罪課の攻防はハイテク・サスペンスの趣向。
路地裏チェイスはなかなかの臨場感。
エンタメ・サスペンスとしても充分面白いが、社会派の一面こそ見応えあり。
シンブンシを面白おかしく賛同したり、あれこれ言いたい事を言ったり。
ネット社会への痛烈批判は中村監督の昨年の監督作「白ゆき姫殺人事件」と通じるものあり。
シンブンシの背景になるが、社会の最下層で悶えながら生きる人々。
正社員と派遣の格差。あのIT会社はブラック会社だ!
職安に言っても仕事が見つからず。自分も就職には苦労したので、つい当時を思い出してしまった。
違法破棄作業場は衝撃的でもあった。人間を人間として扱わないあんな所が本当にあるのか。
シンブンシは複数犯。
ネタバレというほどでもないが、4人+αのドラマが本作の要。
見てると彼らに何が起こり、世間を騒がす彼らの動機も薄々勘付くが、目頭を熱くさせる。
一見ハード・サスペンスで内は情がこもったドラマは韓国映画を彷彿させた。
生田斗真が異色のダークヒーローを熱演。
岡田准一が日本アカデミー賞をW受賞して話題になったが、ジャニーズにはもう一人演技派が居る事を忘れないで欲しい。
戸田恵梨香がサイバー課のエリート捜査官で課長という設定は合うか合わない別として、年上男部下にビシバシ命令する“ドS刑事”振りは結構格好いい。
それにしても、戸田恵梨香の可愛い顔から「○○の○に○○○○○○ぶち込まれたのね」なんて台詞を聞くとは(笑)
(戸田恵梨香演じる絵里香はシンブンシと似た過去。ここをもうちょっと掘り下げれば、クライマックスの涙も効いたと思うが…)
シンブンシのメンバーに、鈴木亮平、濱田岳、荒川良々という食指が伸びる個性派・演技派の面々。
生田と彼らこそが主役だ!
彼らの動機・目的は“たったそれだけ”。
たったそれだけの事で誰かを傷付け世間を騒がした彼らの罪は許されるものではない。
しかし、決して見て見ぬふりしてはいけない“たったそれだけ”。
社会のどん底で出会った男たちの絆はかけがえない。
そこのみにて光輝く。
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