ムーンライティング
解説
ポーランドの奇才イエジー・スコリモフスキ監督が、ロンドンに不法滞在する4人のポーランド人労働者を描いた社会派ドラマ。1981年12月、独立自由労組「連帯」を弾圧するためポーランド全土に戒厳令が敷かれた事件を背景に、当時ロンドンに移住したばかりのスコリモフスキ自身の体験を投影させながら描く。1カ月の観光ビザでイギリスに不法入国したノバクら4人のポーランド人。ロンドンにあるポーランド人の別荘を改修しにやって来た彼らは、唯一英語を話せるノバクをリーダーに、共同生活を送りながら改修作業に取りかかる。そんな中、ノバクは祖国ポーランドで戒厳令が発布されたことを知るが、仲間が動揺して作業が遅れるのを恐れるあまり真実を伝えることができず……。主人公ノバクを演じたのは、後に「ダイ・ハード3」の悪役などで知られるようになるジェレミー・アイアンズ。第35回カンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞した。
1982年製作/97分/イギリス
原題:Moonlighting
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2019年4月30日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館
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撮影は「日の名残り」で、芸術品の様な映像表現を見せてくれたトニー・ピアス=ロバーツ。音楽は「デイア・ハンター」の「カバァティーナ」の作曲者であるスタンリー・マイヤー。演奏(Electric)は、後に「パイレーツ・オブ・カリビアン」で名をはせる事になるハンス・ジマー。撮影と音楽、期待するなって言う方が無理でしょ?だがしかし、結果は惨憺たるもんだった。何でなーーーん?と、絶叫し顔芸したくなるほどです。
まず音楽にガッカリ。シンセ、しょぼ。1982年ったら、ヴァンゲリスの「ブレードランナー」の年。マイク・オールドフィールドの「エクソシスト(Tublerbells)」の9年後で、タンジェリン・ドリームの「恐怖の報酬」の5年後です。ハンス・ジマーの才能は、まだ眠ってました。T・P=ロバーツの方はと言うと、いわれなきゃロバーツと判らない。こっちもショボショボでした。うーん、やっぱり彼方此方で、らしさを感じる場面はあった。
映画本編の方はと言うと。
ロンドンへ「社長の家の改築費用を安く上げるため」、ワルシャワからやって来た一人の男と三人の手下の男達のお話。週一でワルシャワの家族から掛かってくる電話だけが楽しみ。酒も無く(正確には無いのはお金)、素食で遊戯も色気も何もない。ただただ、ロンドン市内のオンボロCity Houseの改修に没頭する日々。リーダーは唯一の英語の話し手であるノバク。
ノバクは、残して来た妻恋しさに、祖国ポーランドへ電話を掛けますが交換に断られます。ポーランドではクーデターが勃発。だから繋がらないと。ノバクは、この事実を仲間に伝えず、改修工事を続行。やがて手持ちのキャッシュは乏しくなり、スーパーからの万引き(手口はちょっと複雑)で糊口をしのぎ、なんとか改修工事は完成。
ポーランドの戒厳令も解除されエアー便も復活。4人が帰国の途に就くとき、手許現金残高はわずか5ペンス。タクシーを使う事さえできない彼らは、空港まで6時間を掛け徒歩で移動。途中、ノバクはクーデターの事実と、その事実を隠していたことを仲間に伝えますが乱闘に発展、画面暗転、ジ・エンド。
大見得切った捕り物があるわけじゃ無し。事件らしい事件無し。緊迫するのは万引きシーンくらい。これがスコリモフスキの世界なのか、と勉強のための鑑賞だった。かなぁ?今、もう一度、現代劇で何かを撮れるとしたら、どんな映画を撮るんだろうか、と言う興味は沸きました。