きみはいい子のレビュー・感想・評価
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心を少しばかり抉られました。
こどもたちの行き場のない気持ち、親のどうして良いのかわからない気持ち。リアリティーと共に繊細に描かれていました。そこには、血の繋がりがあり、だからこそわからなくなる、しかしその答えの糸口をあまりに完結に示し、その瞬間涙が溢れました。素晴らしい作品です。ただ、ラストでは、繋がりの無い場合を最後に私たちに託されたような気がします。もっとも難しい課題。これを機会に考えていかなければならないのかもしれません。
みんなで子育て
まずはこの作品に賛辞を送ります。 重くなるテーマですが、適度に話を絡ませながら淡々と進行させ、終盤に愛が連鎖する感は良かった。 そして障害をもった子役(自閉症?)の素晴らしさ。彼の語った「幸せについて」が本質をついてて良い。 これからも続くであろう、子供たちの問題について無くなる事はないと思う。でもみんなが笑えばそれだけで解決するそれもありそうですよね。 教師に負担がかかりすぎなのも改善するべき点ですね。
主演の高良健吾や尾野真千子の演技はもちろん、池脇千鶴が光っていた ...
主演の高良健吾や尾野真千子の演技はもちろん、池脇千鶴が光っていた 一番は、弘也役の子役の障害を持つ演技が素晴らしかった これからの活躍が楽しみです 今、まさに子育てに迷いを持つ、すべての親達に観て欲しい映画なのに、上映館が少ないのと、子育てで忙しく観れない大人達の現状か残念
邦画が描くべき 使命を感じた、秀作です。
こういう映画は苦手なのだけど、 呉美保監督の評判が良いので、 映画館で観たくなりました。 原作は坪田譲二文学賞の、 中脇初枝「きみはいい子」。 「サンタさんの来ない家」「べっぴんさん」 「こんにちは、さようなら」の3編が絡み合うように、 映画は構成されています。 いじめや学級崩壊、 児童虐待に障碍児を持つ親、 再婚相手の暴力、高齢化社会など、 様々な日本の闇が題材でした。 もうこれ程までにリアルが突き刺さってくる 映画を観たのはいつ以来だろう。 演出は全篇に渡って、 リアルにみせる描写がぐっときます。 きっと カメラが一歩下がっていて 寄り切らないし、引きすぎない。 そんな俯瞰描写と 心情を表現するカットインが秀悦でした そしてキャスト同士の距離感が絶妙。 ドキュメンタリーのような手法で、 説得力を積み上げていく。 そこに、 高良健吾さん、尾野真千子さん、池脇千鶴さん、 高橋和也さん、喜多道枝さんの、 安定した演技が深みを与えていきます。 特筆すべきは 子どもたちの演技。 虐待される幼児の女の子は、 まだ5歳くらいなのかな。 ママに愛されない心の描写が、 くっきりとしている。 再婚父の虐待に悩む4年生の少年は、 誰も信じられない鉛のような眼をしている。 パニック障害をもつ少年は、 精神状態の移り変わりを、 繊細に表現している。 こんなリアルな子どもの演技を、 今まで僕は見たことがなかったです。 高良健吾さん演じる先生の姉、子育てママがいう言葉。 「息子に優しくすれば 息子は他人に優しくする。」 そこから気づいた彼が、 子どもたちに出す宿題から、 物語は少しだけ前向きになっていく。 けど、どのエピソードも 結局問題は解決されない。 それがまたリアリティ。 決してその人にしか分からない 辛い毎日も、 誰かのちょっとした一言で救われる。 そして、 大人も子どもも、 生きていくのは大変な世の中だけど、 根は「みんないい子」。 呉美保監督は、 時にやさしく時に強くメッセージしている。 邦画が描くべき使命を感じた、 名作でした。 そういえばうちの奥さんは、 子どもが幼い頃よくハグをしていた。 何回もぎゅーっと抱きしめて、 好きだよと言っていた。 きっと何かの本で読んだのだろう。 おかげで中高2人の子どもたちは、 やさしくて思いやりのある、 いい子に育ってくれた。 幼児の子育て中や、 これから子育ての人は、 たくさん抱きしめてあげてください。 百円の恋にさよなら歌舞伎町。 テアトル新宿で観る映画は、 ホントに当たりが多い。 コアファンもついている気がする。 シネコンで娯楽作が大量に消費される時代、 良質邦画のために、 このスタンスを続けて欲しいですね。
ラスト30分で救われる。現代の子供達を取り巻く苦悩。
【賛否両論チェック】 賛:子供を取り巻く様々な問題を正面から取り上げた描写が秀逸。救いのあるストーリーもステキ。 否:学級崩壊していた生徒達が、急に言うことを聞くようになるのは、少し違和感があり、終わり方も結構消化不良。イジメや家庭内暴力のシーンが多いので、嫌いな人には不向き。 群像劇で、それぞれの登場人物同士はあまり接点がありませんが、それぞれの風景描写が巧みにリンクしていたりして、自然に繋がっていく様子が見事です。 内容としては、現代の子供を取り巻く、“イジメ”“学級崩壊”“家庭内暴力”“不登校”“親の再婚相手からの暴力”“障がいを持つ子供の教育”等様々な問題が取り上げられ、浮き彫りにされていくので、否応なしに考えさせられます。その分、正直あまりまとまりがなく感じてしまう部分もありますし、イジメや家庭内暴力なんかの描写が苦手な人は、観ていると虫ずが走るかもしれません。それでも終盤は、希望が垣間見える展開なので、そこはすごくステキだと思います。 それにしても今の小学校って、男女差別にならないようにと、男子も女子も 「○○さん。」 って呼ばなきゃいけないんですね。方向性として絶対間違っているような気もしますが、 「先生も大変なんだなぁ・・・」 と実感することも出来る作品です(笑)。
希望
『きみはいい子』は、希望の映画でした。 重たい映画だと思って、意を決して観ましたが良い意味で裏切られました。 扱っているのは現代社会に溢れている問題。 しかし、その渦中の人物たちを決して悲観的でなく、かといって楽天的でもなく、でも、希望を描いているんです。 『愛』や『幸せ』についての映画は少し強引な感じや、現実味があまりないものになりがちですが、この映画はとても自然に、スッと心に入ってきました。 呉美保監督の前作『そこのみにて光り輝く』を映画館で観れず悔しい思いをしたので、次の作品こそは絶対に!と思っていました。 前作も本当に素敵で大好きな作品ですが、今作はそれ以上に素晴らしい作品だと思います。 この映画を観た感想を一人一人が大切に胸に抱いて、周りの人に接していけたら世界は少し平和になるかも。 この作品に出逢えたことに感謝です。
息がつまるような内容
見てて苦しかったけど、きっと悩んでる人がいっぱいいて、打ち明けられずに辛い想いをしてるのではと感じた。 主役の演技よかったけど、池脇千鶴の存在感がすごかった。 またこどもたちがめちゃうまかった。 ちなみにソロモンの偽証は中学校が舞台の映画だが、まるで学芸会の演技。 それと比べると立派に映画だった。 監督、演出の演技指導もよかったのだろうか。 最後、もやっと感が残ったが、各自で想像を膨らませてという意味なのかな。
重要な一本
観た後で、現代社会が抱えている子供に関する諸問題について深く考えさせてくれる一本。 コレ、幼い子供を持つ親や、子供に関わる仕事をしているヒトは必見。 それにしても子供達の演技は素晴らしかったわ。特に水木雅美の娘役の子。あの子には助演女優賞と子役賞をあげたいわ。
みんないい子
リアルな人間の感情、苦しみ、悲しみ。。をそのまま描いた作品ですね。 まわりで起きている事、自分の体験をどう見るか。。どう受け止めて生きるか。。 個人的には自閉症?の男の子のお母さんが、 おばあさんに褒められて、泣くシーンが好きでした。泣いてしまいました。。 本心から出たやさしい言葉は、本当に人を勇気づけるんですね。 みんな頑張ってる。。 みんな本当はいい子! そういう目で世の中を見たら、幸せな気持ちになれそう。
演技力の素晴らしさに助けられてる
尾野真千子さんによって子供に与えられる恐怖や怒りに触れ、素晴らしい演技をする方だと感服しました。 本作は3つのストーリーから成り立ち、それぞれにメインとなる人物が存在し、それらを順に追っていくというもの。それらは交錯するものもあれば独立しているものもあり…と、構成には少し疑問もあり。 テーマは共通して『人からされたことを他人にもしてしまう』という、感情(愛情や憎悪)の連鎖でしょうか。これそのものについてはとても共感します。 ただ、内容を通して率直な感想を述べるとしたら、説教臭いかなあと。 それぞれのストーリーに導師のような人物が分かりやすく現れ、メインパーソンを教え諭すそのセリフが、異物感を生んでいるのでしょうか。 そんなの分かってるよ、でもどうしようも出来ないんだよっていう親娘の複雑さはとりだたされずに、導師の言葉(作者のメッセージでしょうが…)を受け人々がコロコロと好転していく。 そんなに簡単なものに、極端に描いてしまうのならば、ストーリーの柱を1本削るでもしてもっと綿密に描いても良かったのではないのかなと思ってしまいました。 ただ、冒頭でも触れましたが役者さんの演技が素晴らしいです。
子供たちの演技が本物すぎる。此処に小学校と育児のリアルが有ると思っ...
子供たちの演技が本物すぎる。此処に小学校と育児のリアルが有ると思った。未体験者の思い込みだけどね。こんな飾らない描き方初めてかも。先生の宿題が癒しの極致。
短編集を同じ分量で同時進行するから、ちょっと食傷気味。最初はインパ...
短編集を同じ分量で同時進行するから、ちょっと食傷気味。最初はインパクトがあっていいんだけど、、どれもいい話だから、もったいない
等身大で地に足が着いた素晴らしい作品
『そこのみにて光輝く』の呉美保監督の作品ですね。 新米教師の岡野、虐待ママの雅美、認知症気味老人のあきこ、この3本のストーリーが平行に語られる本作。 どのパートにも共通しているのが、子供(たち)と、その周りの大人(たち)との関わりである。 昔から子育ての悩みはあったろうし、子供(人を)を育てるということは大変(偉大)なことだと思う。 今の若者たちが現在の日本で子育てをしていくのはたいへん厳しいのが現実なのではないだろうか? そんな若い人たちにも是非観てもらいたい作品です。 私も以前は子育てに悩む父親として、本を読んでみたり、それこそ映画の中に答えを探してみたり、暗中模索したものです。 そんな中で自分なりに出した答えみたいなものがあって、それが本作には全て入っている気がして、本作が放つテーマやメッセージに共感するところがとても多い作品でした。 本作の中で雅美ママ(尾野真千子)がママ友(池脇千鶴)から「一度も子供の頭を撫でないんだねぇ」と言われるシーンがあります。 きっとこの雅美ママも子供の頃に[いい子いい子]してもらったことが無かったのでは無いでしょうか? 《私が今、誰かにしてあげていることは、私も誰かにして貰ったことである》という言葉を思い出しました。 自分がされたことの無いことはきっと出来ないんだろうと思います。 そして甘えた記憶も無いのかも知れませんよね。 だから旦那さんにも甘えることが出来ずに鬱積していくばかり…。 悪循環ですよね…。 なんとか自分を愛せれば…。 そして今、誰かに愛されていれば…。 でも子供はママを愛しているんですよね。叩かれても、突き飛ばされても…。 自分が悪いと自分を責めながら、それでも真っ直ぐにママを愛して、愛してもらいたいと願っている。 そして ママ友(池脇千鶴)も虐待を受けて育ったことが描かれています。 彼女も自分の過去と葛藤しながらも、なんとか世代間連鎖を絶ち切ろうと(自分自身と)闘っているのかもしれませんね。 これらは本作のほんの一部であり、本作の感想を全て語っていたら、たいへんなレビューになりそうで、とても全ては語り切れませんが、それほど素晴らしい作品だということです。 また安易な着地になっていないのも本作の素晴らしいところではないでしょうか? 教師の岡野(高良健吾)が何度も繰り返し言う「分かんないけどね」は印象的です。 安易に答えが出ることではないんだと思います。 簡単に解る筈もないでしょう。 一人一人事情が違うのですから。 でも扉をノックしなきゃ何も始まらない。 答えは本作を観た人それぞれが考えていくものなのでしょう。 私は きっと完璧な子育てなんて無いんじゃないかな? と思います。 今、あなたの隣でお子さんが笑っているなら、きっとあなたの子育ては成功しているんですよ!きっと。 分かんないですけどね。 最後に映画 『チョコレート・ファイター』より 誰も完璧に生きることは出来ないー まして心に傷を持っていればなおさらだー しかしそんな人生を救ってくれる唯一のものがあるー それは愛であるー
自分を映すかがみ
自分の行い、考え方を見直させてもらえた。 最初はどうしようもない親に育てられ、頼りない先生。見てて「なんで?」って勝手に怒ってた。 この映画のメインは、頼りない先生が、甥っ子さん、子供と触れ合うこと、ただ触れ合うこと。 それまでに苦悩して、苦悩して、理不尽さに逃げ出したくなり。きっと私が先生だったら、子供たちや親御さんのせいにして逃げ出していたと思う。 しかしこの先生は逃げなかった、文句は言いつつ、自分側を見た。 生徒方の笑顔を見て、自分の傲慢さ、所詮は他人を変えたがる人間で、なにを上から見てるんだと自分自身を疑った。 母に、散々迷惑かけた母に、まず、「ありがとう」と言います。 沢山の当たり前の難しさ、自分本位で考える自分に気付かされました。 出会えて良かったと思える映画が、また一つ増えました。ありがとうございました。
2015年度ベストワン級の作品
人間に対する愛情に溢れた作品に、素直に感動しました。動的な画面も、静的な画面も繋がりがスムースで、編集も素晴らしかったです。日本の日常を等倍に切り取っています。キャメラもブルー系統からアンバー系に変わるタイミングがゾクゾクしました。出演の皆さんも素晴らしく、久しぶりに映画の力を感じる素晴らしい2時間を過ごせました。
何処にでも有りそうな日本の縮図
ネグレクトや学級崩壊、いじめ、児童虐待、モンスターペアレンツ、認知症の独り暮らし老人...など、私達が向き合っていかなければならない問題が時には目を背けたくなる様な描写で淡々と語られていきます。呉監督作は初めて観ましたが、日経の映画評通り大器の器を感じさせる素晴らしい作品です。
これはいい映画
タイトルは『きみはいい子』にかけて。 呉美保監督。前作の「そこのみにて光り輝く」が名作だったからこその今回どうなるかと思ったら今回も名作でした。 「いい子」の真逆の言葉。「悪い大人」 この言葉を浮かべながら観てると特に「大人という立場にいる人」には響くのかなぁと。 一番の見所はやっぱり2人の主人公がそれぞれ抱きしめられるシーン。 抱きしめるという行為がいかに尊いことか。抱きしめられることによって安堵することがある。抱きしめられることによって赦されたような気持ちになれる。抱きしめられることで感じられる愛がある。 自分の大好きな人・自分を愛してくれる人に「抱きしめて欲しい」と言うことは照れくさくて恥ずかしい。それをお願いされて抱きしめる方だって恥ずかしい。だけど、抱きしめられるってのは特別なことでなかなかしてもらえることではないですよね。 抱きしめて欲しいと素直に言えないならばせめてこの映画を一緒に見るように誘ってみては? ほんの少しは抱きしめられるような安心感を共有できると思うので。 子供に優しくすることで、その子供は他の人に優しくする。優しさは伝播する。 でも、子供を攻撃する。そうすると子供は自分を守るために他人を攻撃する。そうして恨み・怒りが生まれ、それもまた連鎖してしまう。 だったら優しさを伝播しよう。子供に優しさを届けよう。
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