「私は"お涙頂戴余命もの"が嫌悪感を感じるという意味で嫌いなわけでは...」きっと、星のせいじゃない。 m2m.mbさんの映画レビュー(感想・評価)
私は"お涙頂戴余命もの"が嫌悪感を感じるという意味で嫌いなわけでは...
私は"お涙頂戴余命もの"が嫌悪感を感じるという意味で嫌いなわけではない。なんというか、最初から死ぬとか苦しむ、周りの人も悲しむ、その上で前向きな姿勢を見せられたとしても、それが大前提である話にわざわざ自分から触れにいきたくないという感覚が近い。この映画はそんな"いわゆるお涙頂戴余命もの"ではない!という情報があり、そう聞くと興味が沸いたので観にいってみた。
これが、よかった。主人公がガンで余命間近という設定はわたしが苦手なものだったが。しかし主人公がその設定(状況)に斜に構えているところや一つの本にこだわっているところにまず新鮮味を感じ好感をもった。意外と実際病室にいるシーンは少なかったが小さい頃の回想シーンはほぼ病室で、これが印象強かった。その回想シーンは短いものでもこれまでの主人公と家族の苦しみや思いやり、心のすれ違いなどが凝縮されていて感じることが多かった。視覚的にもこちらまでも胸が苦しくなるような見せ方でまんまと涙腺をつつかれた。終盤でも回想シーンは有効的に使われていた。(苦しみを10段階で表すもので、少女だった主人公ヘイゼルが手で9を表し看護師さんに『えらかかったね、10の苦しみを9といってあなたは強いね』と褒められた。しかしヘイゼルが9としたのは10を残しておきたかったという理由があったということ。そして恋人のガスが亡くなった今が10であること。というシーン。お葬式に出かける前のシーン。)
ヘイゼルとガス、このカップルのことを好きになった。ラブストーリーとしては終盤は切なさや悲しみが目立ったがそれまではこちらも純粋な気持ちを思い出して恋がしたくなるような気持ちで観ることができた。なんせ二人のやりとりがかわいい。
メールのやりとりでは、ヘイゼルは自分が死ぬというのをわかっていながらガスと今より親密な関係になってその為にガスの苦しみを大きくしたくないと自分の気持ちとは裏腹にガスに伝える。それを聞いたガスは説得しようとするが彼女の意思を尊重してやむなく了承する。その夜、ヘイゼルが"ただの友達でね.."とメールを送るとガスは"ok..."と返事。それにヘイゼルが"ok..." と返すとガスが"やめろっ誘惑するな!"と返す。(okは二人の愛の合言葉)こんなちょっとしたやりとりがたまらなくかわいかった。
印象を3つ選ぶのに、泣ける、萌える、とあとひとつを悲しいと幸せで迷った。思い返すと悲しい印象も強かったが幸せそうなふたりの姿の方が多く心に残っていたので幸せを選んだ。このような印象からもいいものを見たなという感じが残っているのがわかる。
9時代の上映だったが若い女の子やカップルが多く見られて、若い子もみんな朝から活動してるねんなーと感心した。余談でした。