「想い出は永遠に。」きっと、星のせいじゃない。 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
想い出は永遠に。
これはきっと、誰のせいでもないのだろうが、かなりの高評価に
湧いている本作。観て納得、これはティーンのための映画である。
もう私のような世代になると、主人公カップルの後ろの、彼らを
支える両親や、飲んだくれに陥ってしまう作家、失明してしまう
彼氏をサッサと捨てる薄情女、の於かれた状況の方に興味がいく。
末期患者を支える家族の努力を彼女は小さい頃から経験している
ので死期を達観することもできようが、まだ10代の女の子である。
辛い運命が訪れるのが分かっている親はそれまで支えてやらねば。
作家が筆を折るにはそれなりの理由があって(のちに解明されるが)
続きが知りたい読者からどう罵られても書けないものは書けない。
期待した回答が得られない彼らは確かに可哀想だったが、
知性も理性もあるはずの人間が壊れるのは、相応の哀しみや苦難が
あってのことだといずれは分かるようになる。あんなに愛し合って
いたカップルが彼の失明により、すぐ別れてしまうケースも然り。
健常者だっていわれなき理由でいきなりフラれることだってあるし、
支えられないと知り逃げるケースだってある。彼女の人間性を詰る
のはいいとして、あんな風に家に生卵を投げつけるのは犯罪行為だ。
ラブストーリーとしては軽妙な語り口とポジティブな印象が残るが、
やはり難病ものとしての印象は強い。負けじと生きていく主人公の
逞しさに救われるものの、喪失感や哀しみは簡単に消えたりしない。
主演二人のスマートで愛らしい存在感、弔辞に秘められた想いの丈。
葬儀は死者のためではなく遺族の為にあるという一節には頷ける。
(父親の「俺たちもいつかそう思うのかな」には泣けた。いい家族だ)