「湿っぽくないのがいい。でも泣く」きっと、星のせいじゃない。 だいずさんの映画レビュー(感想・評価)
湿っぽくないのがいい。でも泣く
難病ものです。予告からそれはわかっていたのですが、ありきたりではない気がしたので観てみました。
ダサくなりがちな難病×青春の物語が、現代的なユーモアを交えつつ、シニカルにピュアに誠実に描かれており、、、
泣くしかなかったです。
脚本がいいのだとおもいます。
最初の泣きは、ママがアムステルダムに行きたいと言うヘイゼルに、お金が無いから無理よというところ。ママだってお金があれば叶えてあげたいよね、でも治療が高額っぽいもんね、と想像してうるうる。ヘイゼルは賢い子だから、そりゃそうだと一旦はすぐに諦める。ここも切ない。
別の物語での一節ですが、難病と付き合う子どもは、厳しい治療が子供らしくすることを許さないから、とても物分かりが良くなってしまう、ということが思い起こされ、切なくなったのです。
結局、ガスや両親の計らいでアムステルダム旅行は叶い、意地悪な作家との、対決を経て、アンネの家で、ガスの思いを受け入れることにしたヘイゼル。
館内ナレーションの様に流れていたアンネの日記の一節が、ヘイゼルの気持ちを変化させるメタファーなんだと思います。が、必死で階段を上る姿にハラハラして、字幕に集中できず。
いつか見直したいです。
アンネの家から、初体験の夜。幸せそうでした。ポジティブ男のガスも、やはり失った足を見られる事にはナーバスになっていました。でも素晴らしい夜だったことでしょう。お母さんがどんな気持ちで帰らない娘を思っていたかがすこーし気にはなりました。
死ぬフラグがたってる恋物語は白けるのが多いのですが、たまーにツボにハマるパターンがあって、この映画はまさにそれです。他にも17歳のエンディングノートが最近ではツボでした。
もちろん都合よくかっこいい男子に簡単に出会えへんよ、とか、ヘイゼルくらい美人やったらそりゃーさ、とか思わない訳ではない。
でも、病気をコンプレックスと捉えれば、とても普遍的な肯定の物語となります。
自信のない自分を互いにさらけ出し、それが受け入れられた喜びの一部始終。恋の喜びとは、肯定の喜びですよね。怖れはその反対です。
この映画でのそれがストレートに私の胸に響き、滂沱の涙となったのです。
最高の夜が明けた朝、ガスは告白します。がんの再発を。そこからの戦いも誠実でみっともなくて、リアルでした。
生前葬での弔辞、よかったです。
集中治療室には入れず、電話で知るガスの死。ここが一番リアルですよね。仰々しいお別れはふつうの10代はできないものね。
原作読みたいです。
お母さんとお父さんもよかった。
ヘイゼルが死んだ後のことを話し合っていましたが、先に死ぬ人はそれを知って旅立ちたいかもなって思いました。
失ったことは悲しいけど、出会って、愛せてよかった。
そういえる何かを私も見つけたい。