フューリーのレビュー・感想・評価
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戦争という日常を暮らすこと
子供の頃から、プラモデルが好きだった。特に戦車が大好きだった。ドイツ、アメリカ、イギリス、現代日本の戦車などを作りまくっていた。そんな僕にとっては「戦車の映画」と聞くだけで心が疼くのだ。本作は、第二次大戦末期が舞台。アメリカの戦車部隊に新兵ノーマンが配属されてきた。彼はタイプライターしか打った事がない。何かの手違いで、戦車部隊に配属されてしまったのだ。彼は「FURY」と名付けられた戦車に乗り込む事になる。この戦車の指揮官(車長と呼ばれる)がブラッド・ピット演じる、愛称ウォーダディー。彼はドイツ語が堪能だ。もしかして、ドイツ系アメリカ人か? と思わせる。しかし、彼はドイツには容赦ない。獰猛で猛り狂う。復讐心をあらわにする。その愛車「FURY」の意味そのものなのである。
新兵のノーマンに対し、捕獲したドイツ兵をピストルで殺せと命ずる。ためらいなくドイツ兵を殺せる様に訓練させる。
ドイツとの戦争は末期の状態。ドイツ軍は手持ちの部隊を本土防衛に向かわせようとしていた。それに対し、FURY号にも命令が下る。本土防衛に向かうドイツ軍部隊が通過する十字路がある。そこに向かい、部隊の通過を阻止せよと言うのである。その途中、仲間の戦車部隊がことごとく撃破されてしまう中、車長ウォーダディーは「FURY」号たった一台で多数のドイツ軍と戦う決意をするのだった……。
いうまでもなく、戦車の中はとても狭い。その戦車の中をどう映画として撮影するのか? 本作はそれに挑んだ。戦争映画の名作「Uボート」あれは潜水艦映画の傑作に留まらず、極限状態に置かれた人間の生き様を描ききった傑作であると思う。Uボートの極度に狭い艦内をまっすぐ前方に移動するキャメラの効果は、凄まじいリアリティだった。急速潜航する際に、乗員が一斉に艦首へ猛ダッシュする。コンマ一秒でも速く潜るために、全乗員の体重を艦首に移動させ、艦の重心を前方へ傾けるのだ。こんなことは、それまでの潜水艦映画では描かれなかった事実である。戦争のリアルを描く事は、実はいかに細部までリアルさにこだわるか? その後の戦争映画の基礎をつくった作品と言える。
本作の人物描写は車長ウォーダディーと、新兵ノーマンとの一連の”絡み”が中心だが、もちろん、本作の重要な主人公はもう「一台」いる。米軍中戦車M4シャーマン「FURY号」そのものである。M4シャーマンはアメリカが生み出した第二次大戦中を代表する戦車だ。戦車の要素は「攻・走・守」だが、守る事に関してシャーマンは若干弱かったようである。それでも4万9000台以上と言う、ドイツ軍戦車から比べると、一桁上を行く生産台数の違い、その圧倒的な物量作戦もあって、第二次大戦時、連合軍の勝利に貢献したとされている。
当時の戦車兵たちはどのように闘っていたのだろうか?
戦車長のウォーダディーのセリフに「こいつは俺の家だ」というのがある。皆、そう思っていただろう、とおもう。映画に描く場合、その主役である戦車と、それを取り巻く環境に「生活感」がないといけない。燃料、弾薬、食料と水。それらは戦車にどのように積まれていたのか? 戦車兵達はどのように戦争と言う「日常」を暮らしていたのか? 戦時中のM4シャーマンの写真を見ると、予備の車輪や、薄い側面装甲を補う土嚢、木箱、テントらしきもの、その他様々な袋が括り付けられている。まさに、戦車兵達の「日常の暮らし」そのものを載せて、M4シャーマン戦車は戦場を駈けていたのである。本作ではそれらのディティールがよく表現されている。また本作では「本物の」タイガー1型戦車が登場する。これはイギリスの博物館に収蔵されている、世界でただ一台動かせるタイガー戦車だ。そのドイツ戦車らしい無骨さと、職人技の結晶のような造形美。戦車マニアなら、その姿をスクリーンで観ることが出来るだけで、ほとんど涙しそうになる。第二次大戦当時、タイガーは「戦車の王様」だった。タイガー戦車とまともに闘える連合軍側の戦車はなかったと言われている。
本作では、ブラッドピットをはじめとするキャスティング、及びもう一人の主役である戦車とその描写については申し分ない出来であると思う。ただ、脚本面での若干の冗長さが気になった。
また、ドイツ軍側やドイツ親衛隊(略称SS)を悪の権化のように一方的に描いているのもやや疑問を呈するところではある。
また、戦争映画にありがちな「大量殺戮」シーンが本作でも登場する。それを演じるのは多くのエキストラ達だ。しかし、大量殺戮された一人一人の兵士達にも、家族があり、それぞれの人生がある。
劇中で殺されていった多くのドイツ兵や、当時のドイツ人はどのようにヒトラーを支持する事に至ったのか? 戦争や、自国ドイツの事をどのように想って闘ったのだろうか?
なお、M4シャーマンのエンジンをつくっていたフォード社の創業者ヘンリー・フォードはヒトラー支持者であった事が知られている。その部分にもスポットを当て、鋭く切り込むような作品が、いつの日か現れる事を待ちたいと思う。
ブラピがかっこよすぎ
誰の映画?
この映画、ブラッド・ピットのためにだけあったのか。
少年兵ノーマン・エリソンをストーリーテラーにしているけど、結局は、ドン・コリアー軍曹殿の「素晴らしさ」だけを前面に出しているというわけ。パーフェクトなガイを描くというマッチョ的なアメリカ映画。
確かに、シーンそれぞれの迫力はハンパないものの、展開に味付けがないのは、残念。
そもそも、生存兵の少年の視点で語るというのは、これまたハンパないデジャブ感が。どこかで見たような、いやどこでも見るような。
「肉弾戦」が好きな方にはオススメ。それ以上でも、以下でもありません・・・でした。
改めて戦争の怖さをしりました。
悲しくて悲惨
死ぬことも生き残ることも自分に課す未来は幸せと言えるのか
タイピストの1兵卒の残酷な物語は
映画終了しても立ち上がれないくらい
深く重く
物語はフィクションらしい
いろいろ矛盾がありますが
その中にあるバックボーンを考えると
非情な
あんな若い人達が殺し合いしないといけないのかな
そう
のめり込む映画でした
普通の女子も戦う女子も
死に直面する
悲しすぎる女子達
フレッシュな戦争映画
Fury
戦車、大迫力。
とにかくタイガー、そしてラッキー・ストライク
2014年最高のアクション映画
アメコミの実写化やSF映画が増えている今、一発の弾丸が命を奪ってしまう恐怖感や確実に敵を殺さねばならないという緊張感に満ちたアクション映画は極めて少ない。その意味において、本作は久々に真に見応えのあるアクション映画である。
戦争映画をアクション映画と捉えるのはしばしば抵抗がある。しかし、この作品は戦場で生きること=人を殺さねばならないこと、という理不尽さを過度に劇的になりすぎず、且つ感傷的にもなりすぎない絶妙な匙加減で描き、戦場で闘うことに説得力をもたらせた稀な作品である。
メインとなる5人の男達を人間臭く描いているのもまた良い。仲間に妬みや侮蔑という感情を抱きつつも、いざ戦闘となれば戦車に乗り込み、戦闘指揮、操縦、装填、砲撃と分担作業をこなすことで互いの命を守り合っていく。狭い戦車の中で繰り広げられるこの連係プレーは戦場での見事な人間ドラマを生み出している。とりわけ中盤のティーガー戦車との一騎打ちは戦車戦ならではの重厚感のある戦闘シーンには思わず力が入ってしまう。
勝つか負けるかの緊張感が始終物語を包むものの、決して痛快さや爽快感はない。タイトルにもなっている“フューリー”とは主人公たちが乗り込む戦車の名前のこと。ラストに映し出されるフューリー号の姿こそ本作の全てを物語っている。
戦争のない世界へ
思考停止状態で回想している感覚
映像も音楽もずっと同じ雰囲気で、アクションの1回想シーンをずっとやってる感じだった。葛藤や成長だけに絞ったわけでもなく、ヒロイズムがあるわけでもなく、戦争の善悪を押し付けるわけでもなく、なにかに絞って訴えていく映画ではなかった。葛藤も成長も残忍さも、靄の中での出来事かのよう。戦車を使っての戦闘シーンとかもあったのに、どこか淡々としていた印象。
でも戦争ってそういうものなのかもしれない。
こういう”映像”が私にとっては一番記憶に残りやすく、だから戦争映画は嫌いなんだ。夢見が悪い。
それにブラピのきらきらしたかっこよさを出してくることも、渋かっこよさを出してくることもなかった。最後が悲惨じゃなかったことくらい。女の子は感想に困るだろうな。デートで見るべきじゃなかった 笑
大迫力の戦車戦
シャーマン4対ティーガー1の死闘、見ごたえありました。
その前の、歩兵を救出しながら対戦車砲潰すシーンも大迫力。
ディスカバリーチャンネルで戦車戦をCGで再現した番組やってましたが、迫力はくらべものになりませんね。
草食系兵士が最後の生き残りになるのはプライベートライアンのアパム以来の伝統なのでしょうか。
難点をただ一つだけ言わせてもらえば、最後の戦闘シーンでなぜ予備弾薬を戦車の外に積みっぱなしにしといたのでしょうか。最初からの戦車に籠城する作戦だったはずなのに。北アフリカ以来の歴戦の勇士にはあり得ない痛恨のミス。ヤマ場を作るための演出に見えてしまう。エマの死亡シーンもどうしてもわざとらしく見えてしまう。最近の映画はこれくらいわかりやすくしないと受け入れられないものなのでしょうか。
ヒーローなんていない!
戦争嫌いの戦争兵器好き
SSからドイツ市民を守ったら、メシたかったり女抱いたりしていいんですかね。
本当はゆすりたかり略奪凌辱に近かったんでしょうね。
ティーガーが出てきたのは、もう同型の戦車の色を塗り直して敵味方とかにするのがリアリティーに欠けるからでしょうね。ガルパンの影響も少しはあるのかな。
その割には戦車の砲撃が緑と赤に色分けされて、シス対ジェダイみたいだったね。ここはなんでなんだろう、シャレのつもりかな。
戦争に反対する市民を見せしめのために街に吊るしたりするSSが一番怖いです。
夢現
この大作の大半は戦闘シーンです
臨場感抜群、観終わった後、夢現…と言いますか茫然自失の状態でした
戦争モノにありがちな、兵士たちの背景(例えば年老いた母親や故郷に置いてきた妻子など)は全く描かれていません
ただひたすらシンプルに戦闘シーンが繰り返されていきます
物語はドン(ブラッドピット)率いるフューリー号に、みるからに草食系の新人ノーマンが配属される所から始まります
ドンはノーマンに「誰とも親しくなるな」と言い、嫌がる彼に無理やり敵を撃たせます
「リタイヤする」と泣き喚くノーマンでしたが、ある出来事をきっかけに一人前の戦士に変わっていく姿は本来必要のないはずの姿であり、とても切なくなります
誰とも親しくなるな、と言ったドンですが実は誰よりも仲間を愛しています
仲間が亡くなった時の苦しみを知っているからこその発言かもしれません
この映画は色々な見方が出来ると思います
純粋に戦闘シーンを楽しむ娯楽作品として観ることも出来るでしょうし、戦争の現場を知る手段にもなるでしょう
戦争を繰り返してはいけない、という分かってはいるけれど、だからこそ非常に重いメッセージが込められています
私の唯一の不満はドンが美しい顔のまま死んでいくラストシーンです
戦争の悲惨さを伝えたいならかつてドンが独兵に対してそうしたように、ドン自身が無惨に死んでいくべきだと思いました
特に若い世代の観客に「カッコ良い」と思われてはいけないのです
戦争はカッコ良くてはいけないのです
極限状態で人はどうなるのか、おそらく全ての理由を「戦争」にして敵を撃つことしか考えなくなるのだという事がよく分かります
「理想は平和だが歴史は残酷だ」
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