虐殺器官のレビュー・感想・評価
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人生ベスト!!
最高の映画でした。5億点です!
まず本作は夭折の作家伊藤計劃氏の伝説的な処女作をスタジオ倒産を乗り越え、ようやく映画に出来たものだという事を理解して頂きたいです。本当に待ち望んだ作品なんですよ!もうこの時点で「この世界の片隅に」くらいのヒットは担保されなければならない、絶対に評価されて欲しい作品です。これがヒットしないなら僕が何回も観てヒットさせます!笑。原作は今は亡き伊藤計劃氏が書き上げた00年代のSFを変えたとまで言われている小説ですが、本作は原作の良さを保ったまま、現代的そして映画的にブラッシュアップがされていて非常に完成度が高いです。もう本作はSF好きの税金みたいなもんです。ホント笑
まず、作画!そりゃ倒産しますよといってしまうレベルの滑らかな動き!アメフトの中継のシーンに何枚使う気なんですか?もうこれは実写レベルです。後半のシーンは正直、ちょっとよくあるアニメ的な作画になってしまってはいましたけど、倒産のゴタゴタでしょうがない部分もありますし、全編を通して作画レベルは高水準を保っていた為、まずここで1億点です。
次に演出!カフカ風のハードボイルドな語り口が売りの原作の雰囲気を損なわない丁度いい塩梅の演技と音楽が堪りません。モノローグに頼り過ぎてないところもまたいい。これを観に来たんだよというのをドンピシャでやってくれてます。特に戦闘シーンもしっかり計劃氏の好きな「プライベート・ライアン」の無慈悲で残酷な戦場の雰囲気を描いてくれている!一人称視点で描かれる銃撃戦はアニメでしか再現できないリアルな戦場の空気を我々に感じさせてくれます。少し移動の工程に原作からの改変はありましたが、原作から読み取れるイメージをそのまま形にしてくれたといっても過言ではないです。
最後に脚本!これは意見が分かれるところでしょうが、個人的には映画としての完成度を上げる為の良改変だと思っております。特に大きな改変であるアレックスの死因ですが、これは後々の展開に繋がる伏線としてわかりやすさと映画的な演出を優先した改変と言えるでしょう。素晴らしいです。この改変により、原作で一番おもしろいクラヴィスが戦闘適応感情調整と虐殺の文法の類似性を突きつけられるシーンにさらにもう一段、切迫感が付け足されました。他の原作有作品でこの手の改変が改良だった試しはありませんが、これは改良でしょう。それに加え、ラストシーンの改変も至高です。正直、原作で失速感のあったラストシーンですが、最後のセリフで上手くまとめてくれました。あのセリフが付け足されたことで一種の爽快感を覚えました。計劃氏も円城塔氏との巻末インタビューでディストピアの閉塞感より爽快感をイメージして今作を書いたと発言している為、ここも原作者の意図を観客にわかりやすく明示しつつ、映画的な構成のレベルもあげる良改変だと思います。
逆に今作で唯一、減点ポイントを上げるなら原作にあったクラヴィスの過去のトラウマとそこからルツィアとの理解を深める件がゴッソリ抜けてしまったことです。これは正直、尺の都合上諦めざるを得ない部分だったと思うのですが、ここが抜けてしまったのが原因でクラヴィスがどんな奴で、何であんなにルツィアのことが好きになったのかが原作未読の方には伝わりづらくなってしまったとは思います。しかし、今作のメインテーマはあくまで「虐殺の文法」であり、そこが目立つ改変も上手くやってくれていたのでこの取捨選択は英断だったと言えるでしょう。
確かに、SFとして我々の発想の斜め上をいくような目新しい設定もないですし、ハッキリ言って大衆演劇とは言えないのが今作です。しかし、これから我々に十分起こりうる事態が今作の主軸であり、本当に色々考えさせられる作品です。小難しい話がちょくちょく出てきますが、今はググればすぐわかります!雰囲気で毛嫌いせず、色々な方に鑑賞して欲しい作品だし、好きな方は劇場で沢山観てジェノスタジオに税金を納めましょう笑。友達に金払ってでも観てくれと言える名作です。オススメです!
原作ファンには絶対おすすめ
まず、困難を克服して完成に漕ぎつけたスタッフの方々に賞賛と感謝を。
親切な説明はほとんどなく、原作を読んでいないと理解できないのでは、という危惧は残ります。逆に原作のファンは、様々なテクノロジーの精密な映像化に狂喜乱舞することでしょう。
時間の制約からやむを得ぬとは言え、母のいきさつがすべてカットされたこともあり、またルツィアへの贖罪の気持ちも映像だけでは表現できないため、クラヴィスのルツィアへの思い入れが単なる恋愛感情のようにならざるを得ない、その点は少し残念。ウィリアムズの「彼女はファム・ファタールだ」という一言だけで済ませてしまうのはいささか勿体ない。
この映画は、小説への映像的注釈として捉えると、素晴らしい作品です。その意味では、亡き伊藤計劃氏への最高の手向けとなったのではないでしょうか。
待った甲斐があった!
紆余曲折の末公開がひたすら延期されていた伊藤プロジェクト第三弾です。
待ちきれなくて公開初日に朝イチで観に行きました。
作画、脚本、音響、声優どれも素晴らしかったです!
重たい内容であるにも関わらず、原作の世界感(原作者が言うところの爽快感!)もきっちり残ってました。
何より作画ですね!
崩れないし飽きさせない!
戦闘シーンも多く、ハラハラドキドキしながら最後まで見ることができました。
ラストの雰囲気がちょっと原作と違うかな?
原作よりぼかしてる感じ。
それはそれで映画ならではの良さでした。
個人的には伊藤プロジェクト3部作の中で一番好きですね!
でも内容も重いし割とスプラッタだしでその辺は賛否両論かも。
興味ある方は是非劇場で見て欲しいです。
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