「ソロモンの希望。」ソロモンの偽証 後篇・裁判 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
ソロモンの希望。
前篇に続いて、後篇も期待通りの展開で非常に面白かった。
昨今の学校映画には全く描かれなくなった目上への礼儀や、
先生・両親への態度、相手を気遣う言葉や思いやりの行動が
至るところに溢れている。今作を観て、あーつまらないと
思うのは若い世代なんだろうな~と予測できるような展開。
だからこそ、今公開されているのは正しいのかもしれない。
しかし子供の意見を大人が聞こうとしない部分に関しては、
昔も今も変わっていない。自分の娘を必死に守ろうと足掻く
樹理の母親(永作が好演)を見ていると、あまりに情けなくて
やりきれない。酷いイジメに立ち向かうにはあんな方法しか
残されていなかった?くらい追い詰められていた子供の心に
寄り添ってやれなかったばかりか、親友を蹴散らす発言まで
堂々としてしまうバカ親ぶり。ああいう親は昔も今もいる。
だから中学生が彼らの立場で大人を含めて裁こうと模索する
行動そのものが(分かっている分)愛おしく思えてくるのだ。
裁判の行方は概ね想像できるが、柏木と神原がどんな関係で
あったか、当日の電話は誰からだったのか、さらに目撃者の
証言で裁判は意外な方向へ流れていく。成長著しい藤野涼子
(さすがの主役)がある一点から犯人捜査を絞り、証人として
喚問するところはかなりスリリング。しかし予測した解答は
さらに意外な真実へとたどり着く。物事は単純ではなかった、
人の心は簡単に裁けるものではないと前置きしながら、最後
まで希望を失わせない作りに感服。自分がどう受け取るかで
先の未来も変わっていくのだ。生きることに重きを置いた分、
では柏木を救う手立てはなかったものかと悔やまれるのだが
彼の生活環境を含めたその背後をもっと観たかった気がする。
(神原君の尋問良かったねぇ~。大出君のその後が知りたいよ)