「過酷な運命に立ち向かう男と女」パッセンジャー みかずきさんの映画レビュー(感想・評価)
過酷な運命に立ち向かう男と女
予告編からは想像できない、凄い作品を観てしまった。本作は、SFラブストーリーという枠を遥かに超えた、様々な要素を巧みに織り込んだ、従来作にない素晴らしいエンターテーメント作品である。素直に、映画って良いなあって思える作品である。
本作は、4章で構成される、宇宙を舞台にした壮大な恋物語である。
<第1章 孤独との闘い(起)>
舞台は近未来。新惑星への移住のために、5000人の乗客が120年間の冬眠をして宇宙旅行を続ける宇宙船アヴァロン号でトラブルが発生して、90年前に主人公である一人の乗客・ジム(クリス・プラット)が目覚めてしまう。宇宙船内は生活の全てが自動化されているので衣食住に困ることはないが、誰もいない孤独感が日に日に彼を苛み追い込んでいく。更に、目的地に辿り着くことなく彼は確実に人生を終えるという絶望的事実が彼を自暴自棄にさせる。クリス・プラットの一人芝居が素晴らしい。演技過剰になりがちな設定だが、抑制の効いた淡々とした演技で却って孤独感と絶望感を滲ませている。マグニフィセントセブンの洒落た雰囲気とは違う自然体の演技を魅せてくれる。
<第2章 二人だけの世界(承)>
ある理由で、もう一人の主人公・女流作家であるオーロラ(ジェニファー・ローレンス)も目覚めてしまう。最初は距離を置いていたジムとオーロラだが、次第に二人は打ち解け恋に落ちる。オーロラは突然の目覚めに戸惑い現実を受け入れられず、打開策を模索して悩み続ける。一方、ジムは1年以上の孤独生活を続けてきたので、現状を達観し彼女との愛に生きようとしているかのように見えるが、激しく狂おしいラブシーンに二人の絶望感が体現されている。二人だけの世界を享受したいがそれができない虚しさを体現されている。切ないラブシーンである。ジェニファー・ローレンスの美しさ、妖艶さ、凛とした佇まいが際立っている。
<第3章 彼らが目覚めた理由(転)>
宇宙船の度重なるトラブルで、更にもう一人が目覚めてしまう。今度は乗客ではなくクルーである。三人は、宇宙船トラブルの原因を追究していき、ついに、原因を突き止める。そして、知力と勇気を振り絞り原因を根絶していく。第3章から、物語は一気にスピードアップし、冒険活劇化していく。宇宙ならではの、無重力、真空、宇宙服などを巧みに取り入れたパニックシーン、原因根絶シーンは迫力満点。何より宇宙空間が途轍もなく美しく圧倒される。どんな苦難も諦めずに乗り越えていく二人に胸が熱くなる。
<第4章 究極の選択(結)>
絶望的な二人は、打開策を見つける為に宇宙船内の様々な装置を解析していく。そして、ついに希望の光が見つけるが、希望を叶えるためには、ある選択が必要だった。二人は究極の選択を迫られ、苦悩しながらも、ついに決断する。決断に至るまでの二人のやり取りは過激ではなくリアルであり、二人の相互信頼の強さが伝わってくる。それ故に、二人の決断には納得できるが、切なくて感涙必至。
宇宙船で目覚めてからの二人の行動は、アメリカのフロンティアスピリットを彷彿とさせるものである。本作は、新惑星への移住という宇宙開拓史のプロローグに焦点を当てており、アメリカのフロンティアスピリットが西部から宇宙へと脈々と受け継がれていることを実感できる作品である。
今晩は。
私が契約している配信会社で「渚にて」を流してくれている事が分かったので、近く鑑賞させて頂きます。(マイ、リストに登録しました。)
有難うございます。
この映画サイトの良き点は、レビュアーの方からお勧めの作品を紹介して頂けることだと思っています。
有難い事に多数のレビュアーの方からお勧め作品を教えて頂き、多謝でございます。今後とも宜しくお願いいたします。では。
LaLaさん
みかずきです
本作、宇宙を舞台にしたラブストーリーでしたが、
主人公達の選択を観て、
自分だったらどうすうだろうと考えさせられる作品でした。
人は一人では生きていけないことも実感できる作品でした。
では、また共感作で。
-以上-
みかずきさん(^^)/こんばんは
この作品
観ましたがレビューはしていなくて💦
4章にわたり 素晴らしいレビューを
ありがとうございます。
過酷な運命。。その通りでしたね。
バーテンダーのアンドロイドの存在も
印象的でした(^^)
今晩は。
レビュー、拝読しました。
流石の力作ですね。読んでいるだけで、映画の内容を隅々まで思い出しましたよ。
この静かなるSF映画は、個人的には好きでして・・。
Seep途中で、無理やり起こされたジェニファー・ローレンスが演じたオーロラの憤りと、戸惑い。そしてクリス・ブラッドが演じたジムの苦悩と戸惑いが見応えがありましたね。
私は、SF映画はほぼ好きですが、今作品や「メッセージ」のようなテイストの映画を好みます。(”何でも好きなんじゃないの!、と言わないで下さい。)
では、又。