劇場公開日 2015年11月14日

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コードネーム U.N.C.L.E. : 映画評論・批評

2015年11月10日更新

2015年11月14日より丸の内ピカデリーほかにてロードショー

小粋なふたりとガイ・リッチーが織り成すビートに酔いしれる、スパイ映画の新基軸

‘60年代に数々のスパイ物と並んで一大ブームを巻き起こしたTVシリーズ「0011ナポレオン・ソロ」。本作はその映画版ながらも、かつての原案を新たなスタイルで生まれ変わらせているので、予備知識は全く必要ない。優雅で、オシャレ。そして何よりも、安心の「ガイ・リッチー」ブランド。決して大量の火薬やCGスペクタクルのみに頼らない、小気味の良いビートに貫かれた娯楽作がここに誕生したというわけだ。

舞台となるのは東西冷戦さなかのヨーロッパ。いつもなら鉄のカーテンを隔てた宿敵どうしのCIA諜報員ソロ(ヘンリー・カビル)とKGBのクリヤキン(アーミー・ハマー)は、謎の組織による核開発を阻止すべく上層部のお達しで突如コンビを組むことに。隙あれば互いの足をすくおうと狙いつつも、事態の緊急性を察知した彼らは徐々に呼吸を合わせて奔走しはじめ……。

シャーロック・ホームズ」シリーズを例に取るまでもない。男どうしの息のあったコンビネーションを描かせれば、ガイ・リッチー監督の右に出るものはいないだろう。その意味でも今回のキャスティングは大正解。だってカビルとハマーの俳優としてのネームバリューはほぼ同等だし、パワーバランスも驚くほど拮抗しているのだ。

そんな彼らがまるでカードの表裏のような凄腕スパイを演じ合うとなれば、二人の関係性、そして会話の面白さが増幅するのも当然のこと。衝突しながら実は互いの立場をいちばん深く理解し合えているところにも描写の巧さが光る。

また、こんな左右対称の真ん中にひとり立つヒロイン、アリシア・ヴィキャンデルは、あらゆる調和を司り、あたかも彼女を中心にすべてが回転しているかと見紛うほど魅力的。そこに満を持してあのヒュー・グラントが投入されるのだから、役者陣の織り成す空気感はもはや眩暈のするほどの小粋さで一杯となっていく。

もちろん、鮮烈なタイトルバック、画面分割、時間軸のずらしといったリッチー監督ならではのギミックも健在だ。盟友マシュー・ボーンの「キングスマン」、それに「007」や「ミッション:インポッシブル」ともテイストが違う。大物スパイひしめく本年の一画を飾るこの痛快作を、心ゆくまでご堪能あれ。

牛津厚信

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