劇場公開日 2015年2月7日

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「うたではじまった」はじまりのうた xtc4241さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5うたではじまった

2015年2月9日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

幸せ

「はじまりのうた」はキーラ・ナイトレイのこんな歌で始まる。
「絶望の中にいるわたし。いま迫ってくる、地下鉄に飛び込こんでしまおうか(意訳)」。
このうたは、同じくレコード会社を首になったプロデューサー、マーク・ラファロの耳をキャッチする。うたの力によって、どん底の二人がどう立ち直っていくのかが主要なテーマである。

ただ、それだけではなく、ニューヨークという街を象徴として現代の世相を現していた。ウォール街のような最先端の金融社会、みんなが集うセントラルパーク、名もないけれど、人の生活の匂いがプンプンするようなアパート街。いろんな顔を持っているニューヨークという街。1%の超裕福層と99%の低所得増なんて言われるアメリカだが、(それはちょっと極端にしても)99%側の視点でうまく捉えていると思った。

それは、純粋なアートとして、自分の生き方を作品(うた)に体現しているんだというキーラと、いやみんなに聴いてもらわなければ、なんにもならないだろうというレコード会社の確執に表れていたと思う。向こう側にいってしまった元カレも、これでいいのだろうかと迷う場面もあって単純に、こっちが正解で、あっちは虚飾の世界ともいえない面も垣間見える映画だった。

キーラ・ナイトレイのうたは、うまくはないけどキュートで切ない。
そう、あのカレンOがうたった「MOON SOG」みたいな手触り感のあるうたを連発していた。やっぱり歌詞がわかって聴くのと、そうでないのとは全然違うと再確認した。

そうはいっても、この映画も最新テクノロジーを抜きにしては成り立たないことがわかる。彼のことを思い出すのもiPhoneの動画だし、彼に別れのうたを送信するのもiPhoneのメール機能だし、うたを聴くのもiPhoneだったのだから。それがいいことか悪いことかは別にして、僕たちの生活に深く入り込んでいるのを再確認したのだった。

xtc4241
momokichiさんのコメント
2022年10月28日

>純粋なアートとして、自分の生き方を作品(うた)に体現しているんだというキーラと、いやみんなに聴いてもらわなければ、なんにもならないだろうというレコード会社の確執に表れていたと思う。向こう側にいってしまった元カレも、これでいいのだろうかと迷う場面もあって単純に、こっちが正解で、あっちは虚飾の世界ともいえない面も垣間見える映画だった。

なるほど! 確かにこういう構図ですね。
最後の場面でもキーラが1ドルで配信してしまうところと、そんなことをされては業界が成り立たず激怒するレーベル。。(確かに成り立たないよ。)
理想vs現実、 アートvsビジネス、 精神vs拝金、 清貧vs豪奢、、。

momokichi