グランド・ブダペスト・ホテルのレビュー・感想・評価
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ウェス・アンダーソン監督のシンメトリーへの拘り
ウェス・アンダーソン監督独特の世界観を醸し出している一つの要素にシンメトリーへの拘りがあると思う。
「ダージリン急行」では、それが顕著に観られたがこの作品でも、随所にシンメトリーに拘った画が出てくる。
この後の作品の「犬ガ島」を想起させるスキー滑降シーンなど、ウェス・アンダーソンワールドに揺らぎはない。
自らの作風に固執しながらも、多くの映画人の評価の高い稀有な監督の一人である。
<2014年6月7日 劇場にて鑑賞>
雪が覆う凍える墓地で読む西欧文化のレクイエム
あなたは建て替え前のホテルオークラ東京本館のメインロビーを知っていますか?
あの独特の空間の空気を思い出す映画だ
本作は四つの時代で構成されている
1932年、1968年、1985年、そして現代だ
メインは1932年の物語で本作の大半を占める
1932年が西欧文化の絶頂期であり、そして戦争を経て劣化する一方であることを、その暗喩としてグランドブダペストホテルという記号が使われる
半世紀後の1985年は功なり名を遂げた作家が代表作をどのように書いたのかを語る
その物語を1968年に当時の当事者から聞いた経緯を説明するのだ
そして、そこから約30年後の現代にその作家の墓を、彼の書いたその物語の読者の少女が訪れるという構造
その少女は作家の墓に鍵をぶら下げる
その墓には柱のような墓石の上部に胸像があり、
墓石には作家、人間国宝と記されてある
墓石にはまるでホテルのフロントの壁のようにフックが無数にあり、そこにいろいろなホテルの鍵が掛られている
良く見るとホテルルッツの黄色いキーホルダも見える
彼女が掛けたものだろうか?
彼女の手にその作家の書いたグランドブダペストホテルの物語があり、墓の横のベンチで読み始めるという構造になっている
つまり全ては現代で、少女の登場するプロローグとエピローグ以外は全て彼女が読み進めている本の内容だ
西欧文化の精華を体現した最後の男グスタフ
それを受け継ぎ維持しようとするのは、西欧人ではない中東移民のゼロだ
それを第三者として本にまとめた西欧人と、その本の内容に感動して作家の墓に詣で、昨夜泊まったホテルの鍵を花の代わりに墓石に備える現代の西欧人の少女
1932年のまばゆいばかりに輝くホテルの偉容と1968年のホテルの有り様
単に古びたということでも近代的では無いということではない
文化的な劣化だ
グスタフやゼロのようなコンセルジュは最早いない
西欧文化の精華の頂点にいるのだというプライドは影も形もない貧乏臭い男が同じ地位にいる
そして壁にも柱にもエレベーターにも無数の表示板がついてしまっていることで、文化的な劣化を映像で描写している
火災時にはエレベーターは使用できません
その表示は1932年でも、1968年でも、21世紀の現代であっても必要性は変わらない
しかし1932年には無かったか、ごく小さくさりげなく表示されていて映像には見当たらない
1932年はそんなものは不要なのだ
常識をわきまえた紳士淑女達だけがホテルの客であり、プロフェッショナルかつプライドを持ったホテルマン達の働きがそんな無粋なことわり書きなど無用にしていたのだ
それが表示物だらけのまるでビジネスホテルに化してしまう
落ちぶれ果て劣化していく一方の西欧文化の有り様の象徴として表示物が扱われているのだ
そして西欧文化の残り滓であってもなんとか維持しようとして、商売抜きでホテルを経営しているのは移民のゼロなのだ
もちろん自身のノスタルジーでもある
しかしそれは西欧文化の精華へのノスタルジーと分かちがたく結びついているのだ
そのゼロも恐らくは1985年には亡くなっていたかも知れない
あのビデオを撮ったのはその知らせを受けたからかも知れない
ゼロのその後の西欧への移民達はもはや西欧文化を受け継ぐどころか、溶け込もうともしなくなった
それが21世紀の現代の西欧の現実だ
西欧人の作家はいい話だと圧倒され感心して話を聞くだけだ
少女はその本を読んで感動して墓を訪れただけだ
冒頭とラストシーンは21世紀の少女の時代だ
墓地の煉瓦の外壁は白いペンキでデカデカと墓地名を記している
それはグスタフが収監された刑務所の壁の刑務所名の大書きと同じセンスだ
つまり監督は現代は刑務所並みの文化レベルに落ちてしまったと述べている
世界は低きに合わせて平準化しようとしているのだ
もちろん雪が覆う凍える墓地は現代の西欧の暗喩だ
そこのベンチで少女はグスタフとゼロの物語を読む
それは喪われた西欧文化へのレクイエムとして読んでいるのかも知れない
エンドロールの最後の方
画面の右下にコサックダンスを踊るかわいいアニメが登場する
本編と同じく、本当のテーマに気づいた観客が重苦しい気持ちで劇場を後にしないようにおちゃらけてみせているのだ
考えすぎです、単なるコメディですよ、皆さん
そのようにグスタフがベルボーイに持たせた伝言のように監督が私達に伝えようとしているのた
役者陣はとても好きなキャスティング
個人評価3.6
小気味好く軽快に物語が進むので、すんなりと見れてしまうが、個人的には決して面白いストーリーではない。
ビジュアルとしてはオスカーを多数受賞しただけあり、センスを感じさせる舞台と演出。
脇役だがシアーシャ・ローナンの純朴な輝きも光る。
独特な世界観。バイプレイヤーの宝石箱やー!
色彩が良くテンポも良い。時々クスッとさせる。そして独特な世界観。監督は天才的だとも思う。
しかし正直、自分が映画に求めてる物とは違う。個人的にははまらず。
ただ知ってる役者が山ほど出てるのは嬉しかった。
バイプレイヤーの宝石箱やー!
Nest of Vipers. 不思議な魅力に満ちた作品
一人で勝手に「シアーシャ・ローナン強化月間」の第三回は「グランド・ブダペスト・ホテル」です。あら?でも、シアーシャ・ローナン大して出てなかったですね。出てたシーンも可愛かったですが、演技は通常運行といった感じでした。
本来の趣旨とは外れてしまいますが、それでも本作は不思議な魅力に満ちた作品です。ウェス・アンダーソンって面白い監督ですね。話を見せるのが上手いというか。まさかホテルから脱獄劇に変わり、殺人犯との追いかけっこや銃撃戦まで見せてしまうとは。ここ!っていう盛り上がる所がなくても、話が上手く転がって行くので観るのを止められない、そんな作品です。
キャストが異様に豪華です。グスタヴ役のレイフ・ファインズは真面目な役が多い印象でしたが、コメディイケるやん!あの飄々とした感じがなんとも上手い。ティルダ・スウィントン出てたっけと思ったらまさかのマダムD!レア・セドゥいたっけ?と思ったらメイド!ビル・マーレーも含めて皆さんちょい役過ぎるやろ!
やー、でもこれだけ豪華な役者を集められるのも監督の人徳なんでしょうね。正直シアーシャ・ローナン目的としては物足りないですが、作品としては十分面白かったです。
リラックスして気持ちいい
舞台演劇テイストで、サスペンス風味の緩めのコメディーでした。いろいろ小さな謎を残しつつも軽妙で面白かった。
ハンガリーを舞台にしてるのかなと思ったけど、どうやら違う仮想の国らしい。役の名前や地名から東欧であることは間違いなく、無実の罪を着せられて追っかけられ、逃亡し、謎を解決していくストーリー。
5回クスッと笑っただけですが、背景が美しかったり、映像の色彩が豊かだったり、とても力が抜けて気持ちの良い作品でした。
あっぱれ言うことなし!
よけいなものが削ぎとられた簡潔なストレートな作品。
とにかく面白いったらない!
キャストの顔ぶれを観て下さい、あっぱれ言うことなしです(^-^)。
2014.9.19
ウェスアンダーソンワールド!!!
とても良かった
映画に出てくるシュークリームのお菓子がグレーテルのかまどで取り上げられていたので鑑賞しました。
何層にも重なった物語が丁寧に織り込まれて
一つの絵本を閉じたような達成感。
とにかく出てくる衣装、小道具、背景、舞台、セリフ、どれを取っても監督の好み一色。笑
本当に大好きです。キャストも豪華絢爛。
これで彼が監督した映画は制覇。全て好きです
いやぁ、独特の雰囲気とセリフまわしは好みが分かれますね。
再見
1度目にカーナビで観たことを許してください。素晴らしかった。観る人の美意識に訴えかけるような映画かもしれない。それが良いとか悪いとかではなくて、ウェスアンダーソンの美意識に共感出来る人しか受け付けないのだろうなと思う。突き詰めればどの映画もそうだけど。そういう意味でも箱庭的で囲われた映画だから、つまらない人はつまらなく、面白い人は面白いと思う。映画だし、賛否あった方が良いと思う。
あとこの作品が好きな人は、ある程度自分の美に自信を持っているか、自信を持ちたいか、とりあえずそれなりにこだわりを持っている人なのではないかとも思った。
だからそういった美意識の顕れを鬱陶しく思う人もいるだろうと思う。監督の美意識が画面の隅々まで行き届き、それがフレーム外に漏れ出てくるからだ。自部屋で観た時なんて、観賞後の眼前に広がるの世界観とのズレにうんざりしてしまうだろう。ウェスアンダーソンがそれだけ洗練された画を作ってるってことでもあるけれど。
ただ、一つの作品としてまとまっているように感じたし、テンポやコマ繋ぎやカットなどは映画ならではの気持ち良さがあると思った。歯切れが良いという点では多くの人に受け入れられると思う。動く画、動画として観れば楽しめるかもしれない。
面白いが好きじゃない
当然意図しているのだろうが、構図や撮り方
などが「これはフィクションです」と主張してくる。『犬ケ島』のイメージを引きずっているせいもあるが、役者使ったストップモーションアニメを観ているような感覚になる(違います)。
唐突に酷いシーンを投げ込んできたかと思えば、なんでもないところで笑いを取りに来たり(ソリでの追跡、ホテルで銃撃戦など)、グッとくるシーンもあるのだが、ちょっと説明しにくい面白さがある。
ただ「好き!」とは言いがたいのだがこれまた説明しづらく、「才人ぶりが鼻につく」みたいな難癖つけることしかできない。
映画らしい映画
きれいな絵本を読んだ気分になれた映画。
映像美を主張しない、美しく流れる映像とコミカルな演出。
魅力的なキャラクター達。
テンポもいいし笑えるし好きな映画。
見てて満足というか、うっとりした気分になれた。
こんな上品で洗練されたピンクは初めて
まずはジャケットの、淡いピンクの城のような、グランドブダペストホテルに引き込まれる。
ここでどんなドラマが巻き起こるのか。
内容は、サスペンスであり、推理ドラマであり、社会派でもあり。
可愛らしいピンクのお菓子の出てくるメルヘンでもあり。
とにかく面白かった。
細部まで丁寧に作られた、
芸術というのはこういうものを
言うのだろう。
テンポもよく、飽きさせない、
グランドブダペストホテル、、
いまはないのだろうか?
いつか愛らしいピンクの菓子箱を
抱えて、夢の中で訪れたい。
評価が実に高い作品ですね。 ・絵本のような世界観 確かに。それで…...
評価が実に高い作品ですね。
・絵本のような世界観 確かに。それで…
・豪華なキャスト 不勉強なので分からず
コメディーに分類されてるようだが、正直、ほとんど笑うことは無かった。
自分の美術的センスの無さを改めて痛感。
ということでこの作品の良さは私には刺さらず。ストーリーもいまいちよくわからず。いろんな解説も見たりしたのですが、ふーん、そうなのって感じ。
映画を楽しむセンスがいるのかな、この作品。私はまだまだってことです。
色彩感覚が好きな作品
色味や音楽が作品の良さを引き立てていて、眺めているだけでも楽しい作品。
内容もかなり濃いし、かなり笑えたので、非常に面白いと感じた。
個人的には所々に鏤められている2次元的手法がツボで、一層作品の悲哀あるコミカルさを堪能できた。
確かに完全なフィクションだと認識できるけれど、同時に明らかなモデルみたいなものも感じることができるわけで、なかなか巧みなストーリーだなとも感じた。
時々クスッとくるようなコメディー調。話もサクサク進むので途中で退屈...
時々クスッとくるようなコメディー調。話もサクサク進むので途中で退屈することもなくあっという間に時間が過ぎてしまった感じがしました。
人物を中心に置いた対称的な構図や色彩がとても綺麗な映画。
17年23本目。 漸く観ました。高級ホテルのコンシェルジュとベルボ...
17年23本目。
漸く観ました。高級ホテルのコンシェルジュとベルボーイが繰り広げる冒険を、クスリと笑えるコメディと戦争的な社会問題を甘美なビジュアルでコーティングした芸術映画。ストーリーよりも雰囲気や画面を愉しむ映画でもあり現代社会を皮肉った社会派映画でもある傑作。
本作の何が感動したかってそのセットデザインがとにかくお菓子や絵本みたいでとってもキュートなとこ、内容もコメディチックでニヤリと出来るんだけどほろ苦いラストを迎えるとこなんだけど、一番びっくりしたのは描かれる物語の時代によって!アスペクト比が違うこと!驚き!
予備知識無く映画を観始めるのが大好きなたちなので、映画が始まる前、“画面サイズをワイドサイズに設定してください”という警告画面が出るのに???としか思えず、ばかなので(画面いっぱい隅から隅まで映画を観て欲しいからかな?😀)と思ったがそうか作中2度画面比率が変わるからか!しゅごい!
あと、図らずもグランドブダペストホテルにも当てはまってしまったわけだけど、作中にいちいちチャプターを分けたカットが入る作品はどれも名作だし大好き・・・自分がもし映画を撮るとしたら絶対入れたいカット。映画の流れぶった切って静止画が1枚入るだけでずいぶん印象が違うし、めちゃくちゃ好き・・・
劇中印象的だったメンドルのケーキは公式で作り方が紹介されていて高まる (*´ω`*) ケーキ自体はもちろん外装から何からとってもキュート。お菓子作りはしないけど技術と設備があれば一度作ってみたいなぁ。映画を観ながら食べたい。
色々調べていたらグランドブダペストホテルの作品イメージカラー(主にピンク)をあしらったグッズがたくさんあって惚れ惚れする!どれも可愛い!
お洒落
何も考えずに見るには良い作品。
とにかくキャストが豪華で、セットや雰囲気がとても可愛かった。メルヘンな中に暗さというかホラーなイメージが潜んでいて、この独特な世界観はかなりどストライク。
お洒落な映画が見たい人は是非。
あと、超チョイ役のレア・セドゥのメイド姿が可愛いです。
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