ソロモンの偽証 前篇・事件のレビュー・感想・評価
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主要キャストを忖度なしのオーディションで選ぶ心意気が素晴らしい
宮部みゆき氏の原作を忠実に描いている。
描いているからこそ、前篇でとんでもないところまでハードルを上げ、後篇で少し尻すぼみしてしまった印象は拭えない。ただ、忖度などするはずもない成島出監督は、生徒役のキャスティングを完全オーディションで選び、経験豊富とはいえない若手俳優陣はそれに必死に応えた。
主人公に選ばれた少女は、役名の藤野涼子をそのまま芸名にしてデビューを果たした。
疑うことを知らない真っすぐな瞳が印象的で、取材時も撮影を振り返って濁りのない涙をハタハタと流し、ハンカチで拭おうともしない潔さが忘れられない。
また、今作にあって清水尋也、望月歩の存在感は特筆すべきものがある。
ミステリーの定石通りに唐突に始まるものの、そこから丁寧に描かれていて見応えある力作
取り敢えず、近年の作品にありがちの様に、作品タイトルが謎解きと関係のあるワードとかには直接の関係は無い、象徴的な意味あいになっているところは、「何のことだろう?」とか意識しながら観ていると、肩透かし感あります。
前編であるという事を理解した上で、“事件”部分と登場人物たちの紹介〜その背景描写に2時間の長尺を、如何に中弛みや無駄なく使ってのことなのかに興味を持ちながら鑑賞しました。
元々が法廷劇に繋がるミステリーの原作長編小説がベースになっている事で、単純に考えても前後編くらいは仕方ない事だろうとは思えます。
また、ただのミステリーものであるのなら、ここまでの描写は必要ないところであるものの、その後の法廷劇部分を盛り上げるには、個々の人物についてのある程度以上の丁寧な描き方が求められるという事も。
しかし、鑑賞していて感じたのは、ただ客観的に登場人物たちの背景などを深掘りしているだけの印象では無く、“子供達”の精神面、特に思春期特有の不安定な情緒面と、それを取り巻く、或いは結果的にそれをもたらす元凶ともいえる周囲の“大人達”との関係性に踏み込んでというか、重きが置かれていると感じた事でしょう。
後編の法廷劇へのただの布石だけにと考えるのであれば、ここまでやる事は求められないと思いました。
前編である本作の終わりのシーンからも分かるように、主人公の中の何かが変った瞬間、内なる決意をもって、“優等生”らしく振る舞って周囲からもそう思われていた、ただの“良い子”でしか無かった自分への決別を感じさせるものとなっていたように感じました。
この事により、犯人探し的なミステリーの本筋(?)部分よりも、中学生たちが自分たちなりに如何に事件の真相に迫り、もはや後戻り出来ない状況の中で、その“真実”と向き合うことになるのか?
2時間のドラマは、そうした心境と興味を掻き立てるのには十分、目的の達成に成功している構成であるように感じられ、久々に見応えある邦画を観たという感触を得ました。
出演陣については、その多くがその後NHK朝ドラ系などでもお馴染みになっている方々も多く、主人公として絞られた子供達以外は、敢えて突出させるような扱いを控えて出番配分が成されている中で、それぞれ重要な役回りを演じられている事、もはや何ら申し上げる事も有りませんでした。
面白そうなので観始めました。まずは前篇。それはそう。 後篇を観終わ...
ちょっとすごいものを見つけてしまった気分
特に前編が良い。
一つ一つのシーンの作り込まれ方が本当にすごい。
例のあの女の子の家なんて、イヤーな雰囲気が見ている側まで伝わってきて、本当にゾクゾクする。音楽や光の使い方が抜群に上手くて引き込まれてしまう。役者も無名の子役などが多いんですけど、全員雰囲気を壊さない重厚感を持った人たちで素晴らしい。特にあの精神病の女性、夢に出てくるほど怖かったです。
ただし、後編はそこら辺の良さがあまり感じられないんですよ。なんと言うか、みんな前向きになっちゃって良さが消えたと言うか。
正直拍子抜けしたんですが、でもテレビで見た輩がいまさらとやかく言うのもおかしいですから、ポジティブな前編のみレビューさせていただきます。
いやぁこんな邦画に出会えるとは。前編だけでも見る価値ありますよ。まぁその流れで後編も見ちゃうでしょうけどね。
説明長すぎかなぁ
原作を全て読んだので視聴
引き込み方が凄い
最初に原作では説明されていた部分が映画だと説明されていないところがあるとのことですが原作は読んでいません。
■演技・役者
本物の学生さんを集めてオーディションをしたとのこと。一人一人のポテンシャルはかなり高い演技力を感じましたが、キャラクター設定の関係で若干損をしているイメージがあります。難しいところなんですが、キャラクターがきっちりし過ぎてて、というか大人過ぎて、一部の役にちぐはぐさが若干感じました、
あと大人の俳優さんのほうが子役に合わせた演技ができていなかったかもしれないですね。
■画・音
学生を起用しているとどうしても声変わりなどがあって重みがない作品が多いんですが、今作は違和感ありません。ボソボソ喋っていて何言ってるかわからないというところが少なく、かなりレベルが高いです。BGMはほとんどありませんが、大事なシーンや回想シーンで感情を反映する形でしっかり使われていて悪い印象はありません。
登場人物が多いせいでひとりひとりが何をしているかまで見通せないことに前後半見鑑賞後に前半から見返して気づきました。一人一人考えこまれて動いていることに気づきました。
■脚本
時代背景が1990年なので、現代の余計な要素を省けており見やすい。
キャラクターは多いが丁寧に描写されており、わかりやすい。
現実感のある事件や人物描写からいかに、非現実的な学校裁判を起こすか、そして大人をそれに巻き込めるかが本作に於ける起承転結の最大のポイントですが、その点においては動機の面で結びつきが少し弱いイメージがあり、一足飛びに感じました。それに大人が乗っかることでさらにちぐはぐさを感じました。
もう一つ。事件そのものに関する大人たちの行動が逐一気になりました。割りと開幕で学校の先生の発言で気になるところがあったので、結構引きずってしまいました。キャラづけの為に必要だったのかなと見返してみると感じるのですが……。
三宅さん自身や家庭の描写が非常に丁寧で見てて主人公たちよりも引き込まれました。前半に於けるオチの次回作どうなるのかと感じさせる引きは完璧です。
■総評
後半のための前半なのですが、これ単体でみても色々考えさせられて面白いです。
前後篇の1作目。あくまで序章。
35点+α
目線の演技が上手い作品。
内容は、1990年12月に起きた中学生死亡事件を中心に、その事件に関わる中学生と関係者による真相究明の独立裁判の一部始終を2014年4月に当事者の1人が伝説となった中学時代を回顧する物語。好きな言葉は『そういうのを口先だけの偽善者って言うんだよ』この言葉が物語の呪いに思えて怖かったです。それぞれの内面を描写する目の動きが上手く、間の演技が素晴らしいと感じました。1番驚いたのは、シャープのワープロ『書院』まだ動くものがあるのには驚きです。当時の車も懐かしく良い演出です。冒頭主人公涼子から語られる思い出話が安心される話の結末を保証する様で観ていて安心できました。別々の問題が個人的な問題と重なり絡れた意図が興味をそそります。前半では主人公の自意識過剰な寂しさがよく現れていた様に感じました。半分演出はホラーでした。最後の『樹里ちゃんっ!何これっ?!』は恐怖でした。これだと後半は観ずにはいられません。低予算映画だけに人的演出が多いので、だるく観疲れる人がいるかもしれませんが、面白い作品がです。
全員悪くて、誰も悪くない
原作未読。
前後篇を一気見した。両方にレビュー書くが、
前後ごちゃごちゃになっていたらすいません。
2部作モノはどうしても好きになれない。
2部作にしなくてはならない理由が、ほとんどの場合
作り手側の理由だからだ。
いや、気持ちは分かる。
宮部みゆきの重厚な物語を、1本にまとめるなんて
至難の業だろう。
人気作家のベストセラーを映画化した時点で、
原作ファンは映画に小説を越えた評価をする人は
おそらく皆無だろう。
だからこそ、脚本や監督の腕の見せどころではないか?
映画が小説に秀でている点のひとつとして、
説明を映像で見せる。というのがある。
(説明をセリフで言わせるのは論外だ。)
とりあえず、その点においてはうまくいっている。
裁判なので、説明セリフを尋問という形にできるところも
利点だろう。
とか言いつつ、後編を見たい逸る気持ちを抑えられない
自分もたしかにいた。
後編につづく。
まずWOWOWのドラマを先に視聴し、次に本作に入った。 主演の藤野...
異議あり!
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