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妹スンジャ(キム・アロン)は最後まで企みがわからなかった。バービー人形とアメリカをこよなく愛し、憧れていたスンジャ。作り笑顔を絶やさない彼女はある意味純真そのものだったし、知的障害を抱える父を支えることに使命感を持っていたスニョンとも対照的。父親マンウは直感的にスンジャが死んでしまうとわかったのだろう・・・辛い。
アメリカンドリームという幻想をことごとく打ち壊すかのような内容だったし、道理に反する大人の利己主義にも抗えない子どもたちの姿も痛々しかった。臓器売買をテーマにした韓国映画は多いけど、この作品もその一つ。しかも腎臓や肝臓と違い、生体心臓移植なんてのはアメリカであっても認められないもの。もしやスンジャを脳死させる殺人行為まで考えているのだろうか。そんな違法なものだと契約書は無効になるはずだ。ドナー登録だけかもしれないが、死なない場合もあるので考えづらい。
バービーは家族になるものだと信じ込んでいたし、父スティーブは仲良くなることもそれとなく禁じていたので、序盤で展開が読める(ただ、心臓とは聞いてないぞ!)。だから仲良くなったスニョンを選ぶのだけはやめてほしいと祈りつつ・・・の鑑賞となりました。
そんな辛い社会派映画ではありますが、今後のことを考えるともっと辛い。叔父さんも罪の意識に苛まれるだろうし、止められなかったスニョンやバービーも一生妹のことで悪夢を見てしまうはず。さらに生体心臓移植でそんなに長生きできることもないだろうから、スティーブだって心を痛めるはずだ。誰もが心を痛める未来を予想すれば、もっと重くなってしまう・・・