ミケランジェロ・プロジェクトのレビュー・感想・評価
全18件を表示
美術品奪還と言えば、『大列車作戦』
モニュメンツ・メンに選ばれたのはストークス教授(クルーニー)以下、グレンジャー(デイモン)、キャンベル(マーレイ)、ガーフィールド(ジョン・グッドマン)ら7人。美術研究家としては一流だが戦闘経験は全くない素人。まずは英国で訓練兵から始めるのだ。
教会の聖母子像を守ったドナルド・ジェフリーズ(ヒュー・ボネヴィル)が戦死。明るい戦争映画だと思っていたのに、ちょっとショック。やがて2人目の戦死者。
ナチスの持っていた鉱山を探す残された5人。副産物というべき金塊の隠し場所を見つけたものの、肝心の絵画が見つからない。と、最後には無事取り戻したとさ。
美術品は、誰のものでもないよね
大きな盛り上がりがあるわけじゃないですが、個人的には楽しめました。もちろん、人の命も大事なんやけど、長い歴史の中で、たくさんの人たちが大切してきたものを、一度壊してしまったら、もう二度と戻らないものを必死に守ろうとしてくれた人たちがいたことを覚えておこうと思います。
美術品が燃やされるシーンは本当につらかった。なんてことを、、、って言葉にならなかった。
絶対に戦争なんて、やっちゃいけないし、これからも起こしてはいけないと素直に思えました。
タイトルなし
ナチスの美術品強奪、それを奪い返しに結成されたモニュメントマンという史実は知らなかった。ジョージ・クルーニー、マット・デイモン、その他豪華キャストのチームを組んでという部分がオーシャンズと重なった。戦闘シーンは描かず、所々コミカルに描きながらも、ナチスの蛮行、残虐なシーンが間接的に描かれている。音楽と共にテンポよく見れる。
人の命と名画を秤にかけたら、、
見始めたら一気に見てしまった。
戦争に関連する映画だが、
視点としては、「美術品を守れ」。
ふたりのプロジェクト員が亡くなる。
後世の人々に、名画を残すため、といえば後世の人であるわたしは有難いが、
命を掛けるのはどうなのか、
という疑問が残る。
ヒトラー自身は映画に出てこないが、
彼の存在感が伝わる。
所蔵美術品といっしょに、金塊も見つかるが、そのほか、夥しい金歯が見つかる。
これはショッキングな場面だ。
いづれにしても、ユニークな視点から描かれた戦争映画、とは言えるだろう。
監督もジョージ・クルーニーとか。
やるなぁ、と思った。
ちなみに、この映画のあとのデザートとして、少し古いが「モネ・ゲーム」を見ると、お口直しにいいかも?
偉大な男たち
The Monument Menは素敵な言葉を遺してくれたと思う。
「"命より尊い美術品はない"と私は言ったが、それは間違っていた。美術品は歴史であり、歴史は勇敢な男たちが命を懸けて守ろうとした"命の蓄積"だ。」
いつか聖母子像を見たいと思う。
タイトルで釣ろうとするなよ
『ミケランジェロ・プロジェクト』
あの名作『ダヴィンチコード』の続編かな?なんて思った人が大半だろう。そしてポスターもまた、面白そうな感じを醸し出している。これは名作だろ!と観る前からわかった。劇場へスキップで跳ねて行った。ポップコーンとコーラをLサイズで買った。さぁ、いざ、開演。
えぇ?マジでクソすぎた。タイトルとポスター的にミケランジェロの絵をスパイなどが盗んでそれをFBIが取り返すみたいな壮大な、こう、何ていうか、分かるかい?そう、あの感じ、ハリウッドでよくある、アレ。を期待していたのだが、まったく違うパターンの映画だった。
「実話をもとに」という触れ込みが気になっていたのが、案の定そこが裏目に出た。実話をもとにしても何もイイことない。実話ってつまらないじゃない?ちょっと盛ったりとかしなきゃ、フィクションじゃなきゃ、ダメなんだよ。
美術館からミケランジェロとかの絵画をナチスが盗んだというところから始まって、それをCIAが取り返すみたいな流れなんだけど、 はぁ? ナチスが盗んだ部分を描写せえや。そこ絶対面白いやろ。美術館から盗むんやで。なぜそこを描かない?ま、でも百歩譲ろう。だってCIAがそれを取り返すんだもん。ナチスとCIAの戦いか。どうなるのかな。。。
ガチでクソかよ、おい。ナチスが出て来ないという考え得る最悪のルートを辿った。洞窟の中にナチスが盗んだ絵を隠したという設定になっており、CIAがただトロッコに揺られて奥にある絵画を取り返し、終わった。
はぁ?何が『ミケランジェロ・プロジェクト』やねん。タイトルで大風呂敷広げすぎやろ。運動会の昼飯並みの大風呂敷やんけ。あの親戚とか全員で食う昼。
タイトルで釣ろうとするな製作者よ。『CIA〜トロッコ探検するの巻き〜』にタイトル変更してくれよ。
そのくらいショボかった。
ナチは、人間より絵を大事に扱っている
映画「ミケランジェロ・プロジェクト」
(ジョージ・クルーニー監督)から。
監督本人が、「監督・製作・脚本・主演」を務めて
伝えたかったことはなんだったのだろうか?
「第2次世界大戦中の実話を映画化したサスペンス」、
そんな紹介に、やや疑問を持ちながらの鑑賞となってしまった。
「歴史的財産が消え去ろうとしています。
我々は戦争に勝つでしょう。しかし美術品や文化財が破壊されたら、
取り返しがつきません」
「上層部の考えは、戦争で大勢死ぬ。美術品なんか知るか」
「でも、それは違う。我々が戦っているのは、
文化や生き方を守るためだ」
「偉大な芸術品は個人が所有すべきではない、人々のものだ」
「美術品は歴史であり、歴史は『命の蓄積』だ」など。
だからこそ、戦争やテロはいけないことなんだ、
そんなメッセージなのかもしれない。
しかし、私の心に残ったのは、
「ナチは、人間より絵を大事に扱っている」のフレーズ。
あれだけ残酷な戦争をしたナチス・ドイツのヒトラーが、
その「命の蓄積」を大事に扱っていたことのほうが、
インパクトが強い。
今、私たちがヨーロッパ絵画を始め美術品を堪能できるのは、
ヒトラーが大切に扱っていたから・・と知ってしまった。
「ネロ指令」で、ヒトラーが死んだら、橋、鉄道、公文書、
美術品を破壊せよ」ということになっていたとしても。
遅ればせながら、「ミケランジェロ・プロジェクト」を鑑賞。ジョージ・...
遅ればせながら、「ミケランジェロ・プロジェクト」を鑑賞。ジョージ・クルーニーの監督作。自身の主演以外にも、マット・デイモン、ケイト・ブランシェット、ビル・マーレイなどと、なかなか豪華なキャスティングなので、期待値も自ずと上がっていた。
クルーニーの過去の作風から考えてもシリアスな社会派ドラマになるであろうことは間違いなかったが、開始早々に意外にも小気味よい喜劇性が垣間見え、豪華なキャスティングも含めてこれはもしやクルーニー版「オーシャンズ11」になるのでは?と一瞬邪念が過ぎるも、やはりそこまで娯楽性を追求することはなく、いつものクルーニー節に収まった作品となった。
ただ、戦時中に粗悪に扱われ、失われかけていた美術品を救出する、という着眼点以上の面白さを作品から見出すことは困難で、豪華なキャストもここでは今一つ活かしきれずに終わった感が否めない。それはそのまま役柄にも通じ、兵士ではない学芸員、美術商、彫刻家などといった素人の寄せ集めからなる「モニュメント・メン」という一大プロジェクトという面白味を持ちながら、彼らがそれぞれの特性、個性、長所、分野性を活かした活躍を見せることが極めて少ないため、役柄のひとつひとつも輝ききれずに終わってしまっているのが極めて遺憾である。
恐らくは、クルーニーはこの映画で、美術品を守る者たちの姿を通じて、その先に見える戦争の悲惨さとナチスないしヒットラーの残虐さを描こうとしていたことは予想がつく。そしてまた、作中でのクルーニーのセリフ「人の命は失われてもやがてまた増える。だが文化や歴史は失ったが最後、灰になるだけだ」(記憶を辿って書いているので意訳を含む)は、映画という芸術を創造する立場にいるクルーニーの心の声だったのかもしれないと思う。しかし、残念ながらその思いは観客に伝わりきらなかったのではないだろうか。
しかしながら、この作品に登場した人々がなければ、我々が親しい著名な芸術作品を目にすることができなかったかもしれないと思うと、感慨深いものがある。とは言え、その史実以上の感銘が作品からは得られないのが残念だ。
これが史実に基づいた物語である以上、「ルパン三世」の如くしろ、とはもちろん言わない。いや、いっそ「ルパン三世」ほどに外連味を効かせた娯楽作に仕上げていたなら、より面白く、かつ秘めたメッセージをよりうまく表現できたのかもしれない題材だった。
ノレない
どういうノリで見ればいいかわからない。
雰囲気的には戦中大作戦エンターティメントの様だが、あまりに中途半端な描き方で、カタルシスを感じない。
ジョージが主演なんだったら、そこを主軸の視点であることを強く押し出さないとついていけない。
最後の「もちろん…」って誰だよ。
Do you think it's worth it?ジョージ・クルーニー&フレンズの一風変わった戦争映画
もともとジョージ・クルーニーが今までとは違うテイストの戦争映画を撮りたいという発想から始まったこの作品、確かに第二次世界大戦を舞台のわりに戦闘シーンのあまりない珍しい作品に仕上がっております。
ヒットラーの個人的趣味?で「総統美術館」を作るといった野望の為に戦地からかき集められる美術品達。それを奪還すべくジョージ・クルーニー扮するストークスが仲間と共に立ち上がるストーリーなのですが、芸術に関して思い入れがあるかどうかでこの映画の評価は随分と変わってくるのではないでしょうか?個人的には楽しめましたが、途中「ネロ命令」によって美術品が焼かれるシーンで「うっわ~」と感じるかどうかがこの映画を楽しめるかどうかの分かれ目かなっと思います。
キャストはジョージ・クルーニー自身が監督ということもあり、仲良くしている俳優を中心に集められていてジョージ・クルーニーの人望が伺えます。マット・デイモンにいたってはいきなり脚本を送り付けたとか。人気俳優とはいえ兄貴のいう事には逆らえないようです(?)。ケイト・ブランシェットはさすがの貫禄でした。役柄とはいえフランス語訛りの英語が喋れるって凄い。マット・デイモンと1歳しか違わないのに既に大御所感が漂っています。ビル・マーレイ、ジョン・グットマン等のシルバー世代も頑張っていましたね。
物語の終盤ストークスが問いかけられます。「たかだか絵の為に人の命をかける価値はあるのか」と。ステレオタイプの軍部の人間には美術品の価値がわからない。でも皮肉な事にヒットラーはその価値がわかっていた。もちろんストークスもその価値を知っている。確かにこれは価値感の違いという悩ましい問題ですが、芸術の価値がわかる人間が命をかけても残してくれたからこそ今の世代を生きる私たちが触れる事ができる。久しぶりに美術館に行きたくなる、そんな作品でした。
「ミケランジェロ・プロジェクト」を観て・・
ジョージ・クルーニー監督、主演の作品。マット・デイモンがアメリカ兵の姿で出演すると、ライアン二等兵かと(笑)
映画のストーリーは実話から。ここからネタバレになるかも・・
第二次世界大戦の1944年6月6日のノルマンディー上陸作戦の翌月、その海岸に水陸両用車から少し老兵の7人が上陸した。美術品の専門家らで、ある任務のために結成された特殊部隊だ。ナチス・ドイツがフランスを攻めたときに、大量の歴史的価値のある美術品を盗難して隠しているとの情報が・・そしてそれらは鉱山の採掘所にあった。思いがけず金塊なども見つかる。しかし既に敗戦したドイツ軍は「ネロ指令」を出して美術品の廃棄をしようと・・焦る部隊の連中。
映画のテーマ曲が口笛の鳴るマーチで、戦争映画らしい(笑)部隊から二人の犠牲者を出すが「人命は芸術品より重いのか?」テーマに迫る。いい戦争映画。
史実を基にした第二次世界大戦の裏話
原題the Monuments Men。先の大戦の後半、ヨーロッパでナチスドイツから奪われた金銀財宝及び美術品をアメリカ人が取り戻す話。戦争中のドイツへ潜り込み、まず、財宝のありかを調査せねばならない。国のプロジェクトとはいえ、困難な任務だ。実話をベースにしているらしいが、どのへんがフィクションなのかわかりにくかった。ナチスドイツがユダヤ人から何を奪い、フランスにいかにして進攻したかを知らないと話の半分もわからない。しかも超一級品の美術品の価値がわからない私などにとっては、命を賭けて戦地に乗り込んだ七人の団員の気持ちもじつはよくわからなかった。だが、その任務が非常に困難なものであることは分かる。美術品のプロフェッショナルである年配者の集団を率いて戦地に乗り込む話は、むしろ小説のほうが面白かろうと思う。映画はかなりざっくりした印象だった。
出演者が豪華なんだけど・・・
出演者が豪華なので、すごく期待したのですが、話の内容があんまりパッとしなかったなぁ~
劇的な事件とかもないし。。。
自分が眠かったせいもあるのかな?
でも相変わらず、マットデイモンはステキです♪
戦争の勝ち負けだけではない価値感を感じさせてくれて秀逸
ジョージ・クルーニーが製作、監督、主演、そして共同脚本まで手掛け、ナチスドイツに略奪された美術品の奪還作戦という、あまり知られていなかった史実を描き出しましたた。
バリバリの民主党支持者で、人権派であるクルーニーが、この作品に込めた意図は明確。それはナチスと独裁政治に対する強烈な批判です。彼が演じるプロジェクトの中心人物ストークスが初めてナチス幹部の対峙するときの彼の目線は、怖いほど怒りをぶつけていたのです。
ただクリーニーは怒りだけでなく、人類の文化遺産を救った英雄、モニュメンツ・メンの活躍に映画で光をあてようとした意図として、文化や芸術を保護する歴史的意義ということも訴えたかったのでしょう。
戦争においては、眼前の勝利だけが重視されて、文化や芸術を保護することなんて無視されてしまいます。しかし劇中で、ストークスは軍の幹部たちに文化や芸術を保護することは命を紡ぐことなんだ、文化や芸術を失うことにいまは何も感じられないだろうが、その後の時間の中で、われわれの命が失われてしまったことに気づくだろう。その時では遅いのだと語るシーンには感動しました。
戦争の勝ち負けだけではない価値感を感じさせてくれて秀逸です。
とにかく終戦70年の今年、欧米でもさまざまな戦争映画が作られているが、その中でも戦闘場面がほとんどないユニークな作品でした。
物語は、ファン・エイクの「ヘントの祭壇画」がナチスによって強奪されるところから始まります。ミケランジェロの「聖母子像」やダ・ビンチの「モナ・リザ」、……。ナチスドイツは500万点もの美術品を略奪していきます。
アメリカの美術館や館長の多くから戦争によって、美術品が危機に晒されている事態を懸念し保護を求める要望が、連合軍に寄せられていたものの無視されていたのです。
だいたい中年のしかも戦闘訓練も受けていない美術館員が、戦場を駆け巡って美術品の収集をするなど、軍としては足手まといで迷惑たという気持ちもわかります。
しかし戦争の末期になり、連合国側が古い修道院を破壊する事態となって、味方の攻撃から文化財を守る必要に迫られる事態となってきました。何しろダビンチの傑作壁画『最後の晩餐』まで、誤って破壊しようとしたくらいですから(^^ゞ
ヘタをすると世界から、連合国軍が文化の破壊者として非難される可能性が出てきたことで、ルーズベルト大統領もやっと美術品の保護活動に許可を出したのです。
それらを取り戻すために結成された特殊部隊がモニュメンツ・メン。ハーバード大学付属美術館の館長ストークス(クルーニー)、メトロポリタン美術館学芸員のグレンジャー(マット・デイモン)ら、12名の戦争経験ゼロの男たちでした。
彼らは、手分けしてヨーロッパ各地を捜索します。しかし、初めは美術品の行方がなかなか分かりません。とにかく美術品に無関心な兵士たちを相手にする苦労並大抵のものではありませんでした。美術品よりも同時に見つかった金塊に注目が集まる無力感もしっかりと描かれます。しかも情報は限られているなかで、敗戦を覚悟したナチスは、ヒトラーが死亡した場合、全ての美術品や文化財を破壊するという通達を発表します。多くの名画がドイツ軍によって焼き払われる場面も。そして、東からはソ連軍が美術品を換金目的で略奪しようと迫ってきていたのです。
間一髪、ソ連軍の機先を制する際どいシーンも描かれます。欲を言えば、もう少しナチスやソ連軍の動きを整理して描いてくれたら、もっと迫ってくるという緊迫感を感じさせてくれたなぁと感じました。
むさ苦しい中年男たちが奮闘するなかで紅一点、物語のキーマンとなるのが、フランスの国立美術館で学芸員をしていたシモーヌ。彼女は、フランスを占領したナチス高官の個人秘書をさせられていたのですが、その立場を利用して、密かに略奪品の搬送先を記録し続けたのです。そんな秘密を持つシモーヌだけに近づいてくる人物には警戒心が強いのは当然。モニュメンツ・メンのグレンジャーがコンタクトしてきても、最初は全く信用しませんでした。しかし、その後のグレンジャーの涙ぐましいほどの努力が見物。やがて男と女の関係としても、いいセンに打ち解けていく二人の距離感の演技がいいのです。さすがは、マット・デイモンとケイト・ブランシェットの名演技でしたね。
クルーニーは、大きな体のジョン・グッドマンや小柄なボブ・バラバン、フランス人のジャン・デュジャルダンといった個性あふれる面々を巧みに組み合わせ、笑いを交えて観客を戦場へいざなってくれました。
とにかく登場人物がおおく、場面転換が激しいので、いま何が起こっているのか分かりづらい作品です。ネタバレを恐れず、モニュメンツ・メンについて歴史的史実を予習してから鑑賞した方が、楽しめることでしょう。
それにしても戦後70年経ったいまでも世界中で14名のモニュメンツ・メンが活動を続けているというから驚きです。最近でもナチスに奪われた時価15億ドル相当の名画を発見したなど成果を生み出しているものの、まだまだ多くの美術品が行方不明のままなのだそうです。
そして、この作品の後日談として、今月末公開の『黄金のアデーレ 名画の帰還』に繋がっていくのです。
戦争中の実話映画だが終始緊迫感はない。
「ミケランジェロ・プロジェクト」(The Monuments Men)は
ジョージ・クルーニーが第2次世界大戦中の実話を映画化した。
ルーズベルト大統領から建造物や絵画などの美術品を保護する任務を託されたジョージ・クルーニーがマット・デイモンらと7人のチームを組みドイツへ向かう。
ヒトラーがヨーロッパ各地から奪った名画の行方を知る
フランス人女性としてケイト・ブランシェットが出演。
劇中にすばらしい名画がたくさん登場する。
映画の小道具でホンモノの名画ではないことはわかっている。
それでも見る者をはっとさせるような、
ホンモノをぜひ見てみたいと
思わせるような名画ぞろいである。
上映時間は118分。
戦争中の実話映画だが終始緊迫感はない。
満足度は5点満点で3点☆☆☆です。
ハリウッド版「七人のおたく(1992)」
本作は今年の4月に公開予定だったのが、理由は分かりませんが延期→中止となっていました。やっと公開されるようです。
さて内容ですが、第二次世界大戦時、ヒットラーが世界中の芸術品を集めて(略奪して)いたのは、ご存知の方も多いと思います。
また、ドイツが負けそうになったら、「それらを全部爆破してしまえ!」と命令していたことも。実際コレクションの傍で、大量の爆弾が見つかってるんですよね。
原題の「Monuments Men(モニュメンツ・メン)」は、第二次世界大戦末期から戦後まで活躍した、連合軍の特殊部隊MFA&Aです。モニュメンツとは「記念建造物」というような意味になるかと思います。本作は事実を元にした、アクションコメディですね。
第二次世界大戦末期、連合軍に押されたドイツ軍は、歴史的価値のある建造物を壊しながら後退し、また略奪した芸術品(絵画・公文書)を燃やそうとしていました。特殊部隊はそれを阻止し、その芸術品を取り返すのが任務でした。
ハーバード大学付属美術館・館長ストークス(ジョージ・クルーニー)は、ナチスの蛮行を危惧し、このチームを結成します。
メンバーは中世美術が専門のグレンジャー(マット・デイモン)、建築家キャンベル(ビル・マーレイ)、彫刻家ウォルター(ジョン・グットマン)など。
ジョージ・クルニー曰く「大脱走」的なエンタメとのことですが、またケイト・ブランシェット演じる名画の行方を知る女性は、ローズ・ヴァランがモデルのようなので、ならば映画好きの皆さんは直ぐに「大列車作戦」を思い出されると思います。
しかし私的には、どう考えても「七人のおたく(1992)」です。だって本作の登場人物って全員おたくだもの(しかもメンバー7人だし)。あの時は子供を奪い返すのがミッションでしたが、本作はそれが芸術品なだけです。って言ったら、怒られるでしょうか(笑)すみません。
ミケランジェロとタイトルにありますが、登場する作品の数は、フェルメールや、レンブラントが上回っています。
確かにミケランジェロの作品が印象的なシーンに登場しますが、インパクトではダビンチの方が上回っています。このタイトル、なんとなくゴロでつけられてる気がします。ミケランジェロ作品満載と思われると、ちょっと違います。
それにしても、映画を観ていて「おい、おい、何すんだよ!」って叫んだのは本作が初めてです。
ナチスの蛮行には、かなり衝撃を受けました。あの時に失われた名画は、どれだけあったのだろうか……。
また、何故ヒットラーがこんなに芸術品を略奪し、またそれを破壊しようとしたか。そのメンタルな部分には迫りません。てか登場しません。
そこは最近は珍しい、アンタッチャブル(1987年)的な勧善懲悪な世界です。そこをすかっとするか、物足りなく思うかはお好みかと思われます。
※どうでもいいですが、ケイト・ブランシェットの吹き替えが工藤静香さんであることに、先ほど気付きました。うーむ。
善良誠実の代表みたいな人が英雄的な仕事をするお話
よく言われることだが、ヒットラーがもし若いときウィーン美術アカデミーに入学を許されていたら、そして沢山の芸術家仲間たちと制作に励み、熱い友情を育んでいたら、ドイツの歴史は全く異なった道を歩んでいたことだろう。大学の同期には、エゴン シーレがいたはずだ。そして、もし彼の絵に才能を見出した裕福なパトロンが付いて、画が良く売れていたらヒットラーは軍人にならず、世界を銃で支配する夢などは持たなかったのではないだろうか。
しかし、そうはならなかった。ヒットラーの絵は評価されず、彼はウィーン美術アカデミーに入学を許されず、失意のうちに軍人になった。そして、たくさんの世界的価値の高い美術品を、ヨーロッパの国々から略奪し、世界一大きな美術館をオーストリアのリンツに建設して収集した作品を展示するつもりでいた。しかし、もし、ヒットラーが戦争で連合軍に負けていたら、すべての略奪した美術品を隠匿していた岩塩抗ごと爆破して処分する命令を下していた。実際、6万点の美術品を隠していたオーストリアの岩塩抗には、1100ポンドの爆弾が隠されていた。
ベルギー、ヘントにあるシントバーフ大聖堂の正面を飾る12枚の「ヘントの祭壇画」は、「神秘の子羊」とも呼ばれ、1430年にオランダ人、フーベルト ファン エイクによって描き始められ、彼の死後は弟のヤンによって完成された。受胎告知、マリアとイエス、神の子羊、洗礼者ヨハネや、歌う天使たちなど、100人以上の人が描かれているフレスコ画で、北ヨーロッパの絵画の最高傑作と言われている。この絵は、フランス革命ではナポレオンによって奪われてパリのルーブルに展示されたり、プロイセンのフリードりッヒ王によってベルリンの絵画館に持ってこられたり、ナチに略奪されたりしてきたが、戦後再びヘントに返還された。
この祭壇画が一枚一枚取り外されて、神父たちの手によって丁寧に梱包されて、ナチの軍人たちに引き渡されていくところから映画が始まる。
そしてベルギー、ブルンジの教会では、ミケランジェロの大理石でできた聖母子像「マドンナ」が、粗末な毛布を掛けられて持ち去られていく。かつて16世紀の頃から貿易で栄えていたブルンジの水路で容易に交通できる美しい街は、ミケランジェロに聖母子像の制作を依頼するほど豊かだった。イタリアを離れて外国で、ミケランジェロが唯一製作した彫刻だ。「マドンナ」は、イタリアのシステイン教会にある「ピエタ」の像に似て美しい大理石でできている。マリアが、慈愛に満ちた優しい眼差しで幼児のイエスを抱く彫刻だ。
これらの世界的な遺産、ラファエル、ダ ビンチ、レンブラント、フェルメールなど、6577点の油絵、2300点の水彩画、954点の印刷物、137点の彫刻、など、6万点の美術品が各地の美術館や個人からナチの手によって奪われた。ヒットラーはこれらの美術品をオーストリアのリンツに美術館を建設して収納するつもりでいた。連合国首脳部は米国のアイゼンハワーを中心に 戦争の終結に先立って、いかにして、これらの美術品を奪い返すかを考えていた。
1944年12月、第一次世界大戦の退官軍人でハーバード大学付属の博物館に勤務していたジョージ ストークス教授(ジョージ クルーニー)に打診がくる。ストークスは、ヨーロッパ戦線でヒットラーが隠匿している美術品を見つけて安全な場所に運搬して保護するための特別班を編成する。美術品探しでは、探し出した美術品が本物か偽物、鑑定できる専門家が居なければならない。博物館の館長、美術鑑定士、美術史家、などの7人が選ばれた。
彼ら特別班は、危険の多い前線に行かなければならない。今更のように、全員が厳しい訓練を受け、ノルマンデイー上陸を果たす。8人は班3班に分かれて盗まれた美術品の後を追う。彼らは「モニュメント メン」と呼ばれた。
ジェームス グレンジャー(マット デーモン)は、パリで失われた美術品の追跡調査を始め、美術館に勤務するローズ ヴァルランドという美術館に勤務する女性に出会う。彼女はアメリカから来た下手なフランス語を話すジェームスに、持ち去られた美術品がどこに隠されているのか言おうとしない。彼女はナチがパリから持ち去った美術品をすべて書き留めて、自分のノートに記録していた。そのノートはその後、ジェームスに渡されて、美術品発見の助けになる。
前線で、大量の美術品がかくされた岩塩抗が発見されたのは、ほんの偶然からだった。ウオルター ガーフィールド(ジョン グッドマン)の歯痛がひどくなって、歯医者に美術品探しの話をしたら、歯医者の従妹夫婦がパリから帰って来たばかりで美術に詳しいという。訪ねて行ってみると、彼はパリで美術館の館長をしてたビクター スタールだった。この男はローズ ヴァルランドの勤務する美術館の館長だったが、自分の家にセザンヌ、ルノアールといった有名な名画を、盗んで飾っていた。モニュメントマン達は、さっそくこの男を拘束して美術品のありかを問いただし、遂にオーストリア アルプスの高地で、大昔に掘削された岩塩抗に行き着く。美術品はニエット ワンステイン城にも隠されていた。
一方ベルギーのブルンジでは、ドイツ軍がミケランジェロの「マドンナ」を持ち去るところに出くわしたモニュメントマンの一人、英国人のドナルド ジェフリー(ハー ボネヒル)は、交戦して銃撃に倒れる。またフランス人のジーン クラウド クレモント中尉(ジーン ドジャルダン)も命を失う。モニュメントマン達は、岩塩抗で発見した何万点もの作品は、一年くらい時間をかけて収容してそれぞれ持ち去られたもとの美術館や教会に返還するつもりでいたが、ドイツ軍の敗走と同時に、ロシア軍が戦線に加わり、岩塩抗に肉薄してきた。美術品を再び奪われる危険がある。急きょ、すべての美術品を運び出すことになった。隊員たちは、犠牲者を出しながらもナチの略奪から人類の遺産ともいうべき美術品を守ったことで、英雄として人々の記憶に残ることになった、というお話。
この映画は、本当にあったことで、原作は、ロバート M エドセル「THE MONUMENTS MEN」(モニュメント メン)。
また、ケイト ブランシェットが演じたローズは、実在の女性、リン H ニコラスで、このときのことを、自書「レイプ オブ ユーロップ」(THE RAPE OF EUROPE)に書き残し、1994年に出版されている。また、同名の映画が2006年に製作された。ナチからフランスの美術品を守った功績によって、彼女はフランス国家名誉賞、レジオン ドヌールを受賞している。
ジョージ クルーニーの監督としての5作目の作品。
善良で誠実で「良い人」の代表のようなジョージ クルーニーと、彼の親友、マット デーモンが、本当に、英雄的な「良い人」を演じている。心温まる良い話を、戦闘とはおよそかけ離れた「美術おたく」 だった男たちが7人、かき集められて戦場に送られて演出する。似合わない軍服、敬礼の仕方が解らない、戦争には年を取りすぎているビル マリーや、歩兵にしては太りすぎているジョン グッドマンや、銃を持つには体が小さすぎて度近眼のボブ バラバンや、フランス人や、イギリス人などが、一堂に会し美術愛好家という一点で一致して、強い結びつきを形成していくところなど、笑いながらも感動的だ。ケイト ブランシェットも、「飯より絵が好き」という感じの、いかにも古い美術館や博物館に勤務して居そうな実直な女性を上手に演じている。
有名な沢山の絵や彫刻が出てくる。
湿っぽい坑道に、粗末な毛布にくるまれて、雑然と放置されたレンブラントや、フェルメールやピカソに心が痛む。撤退するドイツ兵によって、無造作にレンブラントの絵が、火の中に放り投げられて燃えていくシーンなど、叫び出しそうになる。映像の中で、ブルンジの「マドンナ」の彫刻に見とれる。ミケランジェロによってつくられたこの像は、イタリアのシステインチャペルの「ピエタ」が、イエスをかき抱く嘆きのマリアであるのに対して、丸々と太ったイエスに慈愛の眼を注ぐ喜びのマリアだ。暗闇の中で見つけたジョージ スタウト(クルーニー)が、思わず、どんなことがあっても連れて帰るからね、と語りかけ、最後の撤退のときにも一緒に付き添って帰ってきた。彼の愛着のほどがよくわかる。
実は、ブルンジで、この像を6年前に観ている。その時は、この彫刻の価値がわかっていなかった。旅の疲れと二日酔いと空腹とで頭の中から記憶というものがすっかり無くなっていたとしか思えない。マドンナの印象がすっかり抜け落ちている。ミケランジェロさん、ごめんなさい。ジョージ クルーニーさん、ごめんなさい。本当に、どんなに美しいものでもその時の環境や雰囲気や体調やその場の空気など、受け入れ態勢ができていないと感動も起きないという体験をしてしまった。しかし、その数日後には、イタリアで、「ピエタ」を見て感動でひれ伏したくなったし、パリではレンブラントやドラクロアや、ダ ビンチに、心を動かされた。「二ケの勝利の女神の像」には、美術の圧倒的なパワーに立ち尽くして、しばらく動くことができなかった。
芸術作品に触れることで人は心を動かされ、人生を顧みて様々な影響を受ける。芸術なくしては、人々の営みに意味がない。だから、かつての芸術家たちが自らの命を紡ぐようにして作り出してきた作品を守り、次の世代に受け継いでいくことは、人の義務でもある。
この映画は、善良を絵で描いたような8人の「良いひとたち」が 略奪や焼失から美術品を守るという美談であるうえ、英雄的なストーリーだから、感動せずにはいられないだろう。
しかし、同じ時期に、アメリカ人は、東京のみならず大都市の市民にむけて激しい空襲を繰り返し、広島長崎に原爆を落としたことで、日本のミケランジェロやレンブラントに等しい芸術作品や、二度と復旧できない美術品や木造の寺院や木像や彫刻の数々を一瞬に灰にしたことも事実だ。
いまも引き続いている内戦のためにシリアやアフガニスタンなどで、西洋文化に先立つ誇り高いイスラム文化、ペルシャ芸術が、日々破壊されている。アメリカは他国に介入をして、これ以上芸術と文化を破壊することを止めた方が良い。戦争の愚かさを再確認するためにも、この映画は良い映画だ。絵の好きな人、彫刻の好きな人には、必見の映画かもしれない。
最後にフランク ストークスが年を取った姿で出てくる。ジョージ クルーニーに似ていないのじゃないかと思ったが、この人、ジョージ クルーニーの本当のお父さんだった。息子の監督、主演した映画の最後にチョイ役で出演させてもらって、本人は嬉しかったことだろう。
全18件を表示