シャンボンの背中
解説
「愛されるために、ここにいる」「母の身終い」のステファヌ・ブリゼ監督が手がけた大人の恋愛ドラマ。妻アンヌ・マリーと息子ジェレミーと幸せな生活を送っているジャンだったが、日々に何か物足りなさも感じていた。そんなある日、体調を崩した妻の代わりにジェレミーを学校へ送っていったジャンは、息子の担任で若い代理教師シャンボンと出会う。互いにひかれあったジャンとシャンボンは、不倫はいけないことと思いつつも、一線を超えそうになってしまい……。WOWOWシネマの番組「W座からの招待状」から生まれた企画で、日本未公開作品を地方の単館劇場を貸し切り無料で上映する「旅するW座」の第5弾作品として各地の映画館で上映。
2009年製作/101分/フランス
原題:Mademoiselle Chambon
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2017年1月29日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
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妻子が居て、老いた父を大事にして、ごく平凡な幸せな生活を送っているものの、何処か満ち足りないものを感じるジャン。
そんな時、息子の学校の若く魅力的な代理女性教師シャンボンと出会い…。
中年男性の不倫話と言ったらそれまでだが、その枠には留まらないほろ苦い大人の恋愛ドラマに仕上げたのは、洒落たフランス映画らしい。
昨年から日本の芸能界は不倫スキャンダル続くが、何処からが不倫?とつい思う。
想いを抱いた時から?
互いに想いを寄せ合い惹かれ始めた時から?
キスをした時から?
肉体関係を持ったら?
映画では一線を超えるのはいけないと分かっていても、ある時一度だけ一線を超えてしまう。
さすがにそれは不味いと思ったものの、二人の関係はそれまで。
ほんの一時、想い合い、惹かれ合い。
延々と世間を欺き、裏切るそれとは違う。
いや、決して不倫を肯定するつもりは更々ない。
ただ、人が人を想う気持ちは純粋な形であって欲しいだけ。
結局二人は想いを残しつつ、別れる。
ジャンは家に帰る。
何事も無かったように…それは無かった。
妻は気付いていたのだ。
ジャンの父の誕生パーティーの際、招かれたシャンボンは美しいバイオリンを奏で、ジャンは食い入るように見つめる。
妻はその時の夫の視線で気付いたのだ。
が、妻は何も知らないように振る舞う。
この生活に波風を立てたくない。
夫は何かしら妻に対し後ろめたい気持ちをきっと抱きつつ、何事も無かったように振る舞う。
この生活を破綻させたくない。
人を想う気持ちは大事だが、ラストシーンには、してしまった不倫の傷跡なるものを感じずにはいられなかった。
シャンボン役の女優がとても魅力的なので主人公の気持ちも分からんではない。
でも、奥さん役の女優も魅力的で困ったもの。
WOWOWの“W座からの招待状”で発掘したという本作。
結構このコーナー、好きなんだよね。
2014年1月9日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
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大工として地道に働き、年老いた父親を気に掛け、妻と幼い息子と穏やかに暮らすジャン。他人が見れば、良き父、良き息子、良き夫として生きる彼に何処か満ち足りない思いがあるとは想像出来ない。彼に心の隙があるとしたら、それは「こんなはずじゃなかった」という後悔ではなく、彼が選ぶことのなかったもう一つの人生に対する漠然とした憧れのようなものだったように思う。
そんな彼の前にもう一つの選択として現れたのが、息子の担任である代理教師のシャンボン。
「どうもはじめまして」という当たり前の出会いならば、二人の間に何か起きることはなかったのかもしれない。しかし、彼女は無防備な姿を見せることで、ジャンの心を捉える。代理教師として各地を転々とし、どうやら家族とも距離を置いているらしい彼女もまたジャンに心を寄せる。
正に運命の悪戯。
しかし、観客にはジャンが家族を捨てることはないだろうと分かる。
彼にはそんなことは出来ない。
しかし、一方で彼女がジャンの今後の人生において「選んでいたかもしれないもうひとつの人生」として残り続けるだろうということも分かるのだ。