渇き。のレビュー・感想・評価
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不純物を排除した徹底的な暴力
心理描写、動機付けの下書き、人間関係の掘り下げ。もちろんそれらは「物語」の構成には欠かせないのだけれど。あえて「不純物」として取り払うことで、より暴力性を際立たせているんじゃないだろうか。コロコロと入れ替わる時系列は向精神薬とアルコールに溺れる主人公のフラッシュバックを表現しているのかもしれない。終盤のホテルの一室では「ボク」と「父親」が入り乱れ、どちらの時系列かもわからなくなる。何故?どうして?ただただ不快、それもいいと思う。「世界が混迷していると思うのであれば、混迷しているのは他ならぬあなただ」といった冒頭の引用を忘れてはならない。
理解できないものを「意味わかんねえ」と切り捨てるのは簡単。意味わかんない、何考えてるかわからない、そう思わせる存在の可奈子はドラッグのメタファーでもあるし。その娘と向き合うことから逃げ続けた母親(黒沢あすか)になるのか。
それとも、憤りを絶やさずにその意図、真相を追い続けて父親(役所広司)になるのか。選ぶのも自由。
暴力に理由を求めるなんて、それこそ馬鹿げてる。
観賞後に、心の奥底から沸き上がる渇きに思わず誰かと話さずにはいられなかった。
言葉にならずレビューとしては不完全だけど、言葉にすれば陳腐になる。感じたままの印象を大事にしたい。
グロいけど見逃したくない
ありえないほどテンポよく話が進んで行く。若者が引き込まれる要素は多い。暴力シーンは、かなり覚悟しておかないと目をつぶりたくなる。途中で気持ち悪さを感じる程、思わず劇場を離れたい衝動にかられた。しかし、見逃したくない気持ちが優るような作品であったので全てを見た。作品自体にも加奈子と同じような逃げ出したいはず、離れたいはずなのに夢中になってしまう中毒性が存在していた。とても原作を読んで見たくなった。
気分悪くなった…
なんか…全然わからないんですが…この世界。
出てる人たち全員狂ってるとしか思えん…。
こんな人々見たことないから全然同調できずに終わりました。
それに、役所さん、うるさいんです、ほんとに…。役柄上こうなるのかと思うのですが見ていて疲れた。つまぶっキーもきっとおいしい役なんだろうけど上手くない。
久々に上映中にもう出ちゃおうかな~、なんて思ったのでした。
渇き。
ストーリーはあってないようなものというか、藤島加奈子を巡るバイオレンスを描いた映画。
グロテスクなシーンばかりだが、高校生もメインターゲットとしてとらえているからか、性的な表現は控えめ。
園子温監督作品などに抵抗がない人は普通に楽しめると思うが、人を選ぶ作品ではある。
やたらと豪華な俳優陣を良い意味で無駄遣いしており、音楽の使い方も上手く、娯楽作品としては十分秀逸な部類だと思う。
まあ、人を選ぶ作品と書いたが、私はそこまで好みではないかも。
35歳以上の方は。。。
90’sに10代をすごした人によっては、突然の既視感から自らの恥ずかしい過去を思い出させられ、ア”ーーーーーとなるかもしれない....これを意図的にやっているとしたら、やられました。
新ジャンル・顔が赤くなる映画
ミッチミチに詰め込まれた濃密な“何か”をテンポ良くハイスピードで堪能できる作品。
非常に良かった。
丁寧な構成、濃厚な映像表現。
そして魅力的な登場人物。
序盤から話にグッと惹き込まれ、終始ゲラゲラ笑いっ放しでした。
まず丁寧な構成。
現在と過去の話が同時並行で語られる本作。
共に加奈子を知る過程が描かれていますが。
「現在」は外側から、後から振り返る加奈子。
「過去」は内側から、当時の進行形の加奈子。
二つの時間軸で視点が異なり加奈子がより多面的に描かれています。
同時に「現在」と「過去」が互いを補足し連結する関係に。
序盤の「現在」は登場人物を説明しつつ加奈子への違和感の植え付けて「過去」に繋げます。
そのため白く明るい基調で描かれる「過去」ですが…禍々しさが随所から滲み出る。
その「過去」で語られる描写が「現在」でも別の方法で明らかとなる。
また「現在」で既に知ってしまった事実に向けて「過去」が進んでいく。
比較的緩やかにかつ丁寧に描写される「過去」で溜めた情報や伏線を「現在」で猛烈なスピードで回収/展開するテンポの良さも相まって。
緊張と緩和が繰り返される長いジェットコースターに乗っているような快感がありました。
また映像表現も良かった。
「現在」の80年代風ハードボイルド映像。
「過去」のアニメ映像、スタイリッシュなパーティー映像。
「過去」の方が“今っぽい”チグハグ感、違和感。
と共に底知れぬ不気味さ、空虚さを感じる作りに。
時間経過と共に増える画面上の黒さ、暗さ、冷たさ。
序盤には何処かポップな暴力場面が差し込まれていましたが。
話が展開するにつれて暴力は連鎖し加速し只々ドス黒い凶悪さを曝け出します。
画面の暗さも相まって思わず息が詰まります。
そこからパッと切り替わる、或る明るい画面。
画面は明るく開放感があるにも関わらず描かれるのは壮絶な行為。
暗い画面で溜めて溜めて溜めて…パッと切り替えつつ流れはより加速するという演出にグッときました。
そして魅力的な登場人物。
役所広司 演じる藤島昭和、最高でした。
序盤から汗と脂でギットギトで顔色が悪い顔。
話が進むにつれてドンドンと勲章が増えて濃厚に。
笑った時の声や顔も凄惨で、思わずつられて笑いが零れる程。
役所広司の“顔力”が高く嫌な魅力に溢れていました。
外見のみならず内面も良かった。
抗うつ剤とアルコールを併用する矛盾。
食欲は旺盛だが口にすれば嘔吐する矛盾。
その他数多くの矛盾を抱え除外された不適合者の言動は滑稽であると同時に哀しさもあり。
特に自身と結び付けた加奈子に対する評価は時間経過と共に変化があり興味深かったです。
小松菜奈 演じる加奈子も良かった。
加奈子の底知れぬ人物像、と同時に小松菜奈の新人とは思えない肝の据わり方。
総じて“顔力”が高い面々が強烈な個性を発揮する中で動揺もせずドッシリしている。
その得体の知れなさが違和感、一種の淫靡さ/妖艶さも醸し出しており。
時折見せる変顔、くだけた口調のギャップも良かったです。
当該人物が成立していたからこその本作、といっても過言ではないと思います。
妻夫木聡 演じる浅井もオダギリジョー 演じる愛川も良かった。
浅井は終始ニヤニヤと鬱陶しく時折見せる別の顔にも改めて苛々させられます。
が、溜めに溜めた所での…あの場面!
浅井から漏れる一言も含めて爽快感が半端ない場面でした。
また愛川は魅力がギュッと濃縮。
特に視点が定まらない状態から覚醒する際のオダギリジョーの演技が良かったです。
その他出演陣も総じて良かった。
何より俳優陣が登場人物を十二分に楽しんでいるのが感じられて良かったです。
特に役所広司、妻夫木聡、オダギリジョーは物凄く楽しそうでした。
ミッチミチに詰め込まれた濃密な“何か”をテンポ良くハイスピードで堪能できる本作。
余談ですが後半の暴行場面で比較的長めに撮られる昭和vs黒パンティは思わず笑いました。
賛否分かれていますが、個人的には十二分に堪能した好きな作品でした。
オススメです。
残念…。
二階堂ふみさん目当てで見ましたが、私には、内容が強烈で怖すぎました。 久々に観るんじゃなかったという映画。知らないほうが良かったという世界の内容でした。観たあと後味悪くて残念…。楽しい映画を観たあと続けてすぐ観た映画だったので余計にそう思えました。
やばい…面白かった…
みんなのレビューを見てから、見に行ったんだけど、私は、面白かった…
役所広司がはまりすぎ、ただ妻夫木聡の役に、最初から最後までイライラしたんだけど…
なんか、「かなこ」みたいな存在の子になりたいな… とか思ってしまった…
耳切られるのは、嫌だなぁーとは思ったけど…
もう一回みたいと思った…
裏『桐島部活辞めるってよ』かもよ
美少女の巫女性と悪魔性の共存性を見事に表現した加奈子役の小松菜奈ちゃんと動くためのガソリンは狂気っていう位の父を演じた役所広司は本当に素晴らしい演技!
テーマは陳腐かもしれないが圧倒的な映画としての過剰な毒はあらゆる人に体感してほしい!
表現方法が時間軸が過剰に前後するとともに、群像劇の様相をとり、主人公がカリスマ的学生ということから『桐島部活辞めるってよ』を想起すると思う。
しかし、この映画では『桐島〜』で描かれなかった桐島のダークサイドを描いており、裏桐島感がある。
そのダークサイドというものは誰しもが持つものであり、テーマとしては陳腐だが加奈子のダークサイドや多面性はそんな簡単なものではない。
加奈子は実に皆が思っているように『フラット』なのだ、
だからこそ人を魅了するし、愛するし、めちゃくちゃにするし、破壊する。
一見不可解でも彼女の愛情表現は変わらない。
愛するために場所を変えて演技をしているだけなのかもしれない。
それを『(親が知らない)子供(人間の)多面性』をこの映画が表現している。と簡単な結論にしてしまう。
確かにテーマの一つはそうだが、実はその裏に『人には多面性がある』
というこの映画の中で加奈子とその父はフラットな行動原則しか持たなず終止一貫している。
だからこそ多面性があるこの世界の中で狂って見えるのかもしれない。
みんな、イカれてる
凄まじいまでの暴力と狂気。
クローズアップを多用し、時間を錯綜させ、観ているこちらも危うく狂気に陥りそうになる。
役所広司の汗と油!
誰ひとりとしてマトモじゃない!
いったい、これは何なのか?
原作は未読だが、原作者の狂気なのか、中島監督の狂気なのか、イカれた人間を描いた映画は洋画邦画を問わずあるにはあるが、これは一線を画した作品と言えるだろう。
なんとも後味が悪い。
カタルシスも救いもない。
いったい、これは何なのか?
役所広司を筆頭に豪華なキャストだが、
小松菜奈がいなければ成立しなかった映画とも言える。
オープニングのタイトルバックがいい!
多面的って話。
なかなかタイムリーな内容だったのではないか。
外見やイメージとはかけ離れた「真の姿」を辿ってゆくミステリー。
自分自身、現実にASKAがそうなのであって、それを受け入れて消化した自分にはあまりに「あること」として見てしまった。
だからきっと製作側の「驚き」の仕掛けには反応しなかったのかもしれない。
しかし、愛とは所詮、狂いでしかないのであって、それを見事にえぐり出してくれた手腕には拍手。そう、ああいう倒錯と矛盾をたくさん抱えながら。愛ってそういうものだ。
こんな映画を見てはいけない。
開始から5分で違和感。
20分で強烈な嫌悪感。
45分で叫びだしたいような憎悪感。
ただ、エロとグロの映画。
これをスピードとかテンポとか、エネルギーとか人間の本質とかの飾った言葉で評価する人がわからない。
タランティーノよりもグロくて、三池崇史よりもイカれてる
この映画を真正面から受け止めてはいけない。なにしろ登場人物が全員狂っている。まともな人間など一人も出て来ない。そんな連中が恐喝、暴力、レイプ、殺人を繰り広げるのだから、真正面から見たらテンションはだだ下がり。スクリーンに映し出されるのはタランティーノ作品よりもグロくて、三池崇史作品よりもイカれた人しかいない世界だ。
ただ、この映画の登場人物たちの狂い方は異常。見ていて笑えるくらいの気の狂い様。役所広司の娘を探す執念はどこか間違ってるし、妻夫木聡のニヤケっぷりは最高に気色悪いし、オダギリジョーの冷徹さはクールさを飛び越えて不気味だし、二階堂ふみのヤンキーは完全にイッっちゃってる。おまけに物語の肝であるはずの小松菜奈がとんでもない悪女とくれば、これは極上のスプラッター・コメディに見えてくる。ココで笑っていいのか?とも思えるが、どいつもこいつも狂っているのだから、笑うしかない。
悪人が悪人から裁きを受け、その裁いた悪人の想いはどこにいくのか?ブッ飛んだパンクな風潮で物語が展開したのに対して、意外なほどしっとりとしたラストに竜頭蛇尾な感じは否めないが、この狂人たちの狂想曲をブラック・ユーモアとして笑えた者勝ちな作品だ。
ただ、この映画R15で良かったのか?というのが最大の疑問である。
狂気とは甘美なもののようで
いやあ、予想はしてました。
だって、ポスターの役所広司があまりにも暑苦しくって、ロクデナシ感がビンビンだったもの。
それがどうも、出てくる奴がどいつもこいつも負けず劣らずのロクデナシばっか。軽く予想を超えました。
みんな、罪の意識も躊躇いもなく、ニヤリと笑いさえ浮かべて、人を殺す、殺す、殺す、、、。
終いには、フジシマをそこまで動かす動機が、愛なのか憎しみなのか、もうどっちでもよくなってしまった。
だいたい、フジシマだけじゃなく、みんな狂ってる。深い穴に墜ちた連中ばかり。
でもって、クソな映画だよこれ、っと思わせといて、エンディングにディーン・マーティン「everybody loves somebody」を持ってくるセンスに、ころっと脱帽してしまう。
困りますねえ、こういう映画は。
二度と観たくないんだけど、嫌いって言い切れないわ。
疲れました
今回も中島ワールド全開でした。
映像表現もよく ストーリーのテンポいいのですが・・・
暴力の連続シーンが続き 終わった後はどっと疲れが残りました。
今回は作品は万人向きではないですね。
特に女性はこういう作品はつらいのではないでしょうか・・・
私も主人公と同じ子を持つ親です
親子の関係がいかに大切かを思い知らされた映画です
作品としては 良くできた作品だと思いますが
私は苦手です
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