劇場公開日 2014年5月10日

「ケイト・ブランシェットの鬼気迫る表情は圧巻。」ブルージャスミン Opportunity Costさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ケイト・ブランシェットの鬼気迫る表情は圧巻。

2014年5月26日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

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怖い

非常に良かった。

特筆すべきはジャスミンを演じるケイト・ブランシェット。
アカデミー賞主演女優賞も納得の“顔力”。
裕福で幸せな生活の際に浮かべる柔和、だけど何処か冷めた顔。
全てを失い土俵際で正気と狂気が入り混じる顔。
そして完全に土俵を割ってしまった時の顔。
これらを演じ分けている表情の幅に脱帽です。
特に狂気が大半を占めた際の鬼気迫る表情は般若そのもの。
その圧倒的な表情の前に息を呑むと同時に、その必死さに何処か苦笑が。
また表情に合わせて声のトーンとテンポを変えていた点も、事態と共に脇汗が染み出ていた点も良かったです。

また作品の構成も良かった。
“或る時点”を起点/終点と位置付けて。
彼女の幸せの絶頂期から“或る時点”へ向けた下り坂。
そして“或る時点”から先の奮闘、が交互に描かれる。
両者に緩やかな繋がりを持たせることにより状況の乖離がより大きく見える。
彼女の境遇がより悲惨に見える作り。
非常に意地が悪い作りになっています。

ともすれば胸糞悪くなる可能性もある作りですが、そこはジャスミンのキャラクターでカバー。
並みの人間であれば憐憫の涙が出そうな所ですが序盤から滲み出る彼女の糞女振りがそうはさせません。
前述のケイト・ブランシェットの高い演技力も相まって何処か「ザマミロ」感を醸成させます。
そういう意味では心配なく観ることが出来る作品かと。

兎にも角にもケイト・ブランシェットが演じるジャスミンが光る本作。
特に終盤の畳み掛けは圧倒されました。

また鑑賞後に作品全体を振り返り「何処から予兆が…」という風に観るのも面白いと思います。
個人的には彼女が結婚した切欠から本件の予兆が既にあったのでは、と。

敢えて行動しないことで表面上の平穏を保つという選択肢がある中で。
自分自身は知ること自体を敢えて放棄するのか、知った上で敢えて行動しないのか。
「利口な選択」とは何か、「自身の今を支えている土台」は何か、をも考えさせられる作品でした。

オススメです。

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Opportunity Cost