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東京では、公開最終日2日前にぎりぎりで滑り込みで観賞。
こんなに切なくて、愛おしく思える青春ヒューマン映画は久し振りで、何とか公開終了前に、この作品に劇場で出会えて本当に良かったと思う。
しかし、映画とは本当に不思議な生き物だ。何故この作品が劇場公開僅か1ヶ月で終了と言うのは残念でならないし、また信じられない。
世の中には、もっと呆れる程詰まらない作品が本作と比べて長く公開されている事も決して珍しくは無いのである。本当に映画とは不思議で良い作品なら、必ずロングランヒットする作品とは限らないからミステリーだ。
本作はどうしても、あの北野監督の代表作である「キッズリターン」の続編映画を何故今制作する事になったのか?と言う疑問が、逆にマイナスに作用したケースではないだろうか?
北野作品の代表作で有ると言う事実が、北野映画ファンにとっては、その映画の素晴らしかったイメージを壊したくないと言う事で、続編は敢えて遠慮して劇場に足を運ばずに、見逃してしまったと言う、映画ファンも多数おられるのではないのかと思う。
ちょっと例えて言うなら、「風と共に去りぬ」や「スピード」が名作でも、続編は全くハズレたように、オリジナル作品がヒット作であっても、続編が地味に仕上がってパッとしないケースは多数有る。
この映画は確かに、ファーストシーンから、シンジとマサルが再会をするシーンまでのテンポが良くないと言う難点を除けば、本作は、とても人間の絆を描き出した、良いストーリーで、話の展開など脚本は非常に良い作品なのに残念だ。
現実的には本作は、北野監督が製作した映画の主人公、シンジとマサルの2人の別れから10年後の再会の物語では有るけれども、この作品は続編ではあっても、前作を観ていない言う観客にも、「キッズリターズ再会の時」を単体の映画として別の作品の1本として、充分に楽しめる作品で有ると言える。
ちょっと私事で申し訳ないのだが、私自身も、学生の頃に仲の良かった友人が、転勤で地方へ行った為に、疎遠になっていたのだが、また再会するご縁が出来、その再会を契機に、再び人生に、学生の頃のような、自己の人生や、自分自身に希望と夢を取り戻して、生きて行く事に自然と前向きに取り組めるようになり、毎日が輝きだしたと言う経験を実際に経験した事があるので、この映画のシンジとマサルのストーリーのような現実って本当に有ると、リアルな実感と共に感動が伝わる映画だった。現在の日本は、何かと人間不信になったり、他人はおろか、結構自分自身を信じられない事も有るが、そんな時、本作は自己を信じる力と、人間の絆を信じる最高のパワーを魅せてくれる素晴らしい作品だ。
未だ何処か、劇場で公開しているかもしれないので、見逃している方には是非お薦めの映画だし、劇場で観られない場合は、DVDで絶対に観て欲しい作品だ。
同じ拳の力でも、その使い方一つで、その後の人生には、天と地の差が生れるのも事実だが、しかし、人間に共通する、魂の叫びのような人間同志の絆は、時間を超越して存在出来ると言うポジティブなテーマが根底に流れる本作は、今年観た最高の邦画だし、私の生涯のベスト映画にもこの作品は新たに仲間入りした事は言うまでもありません!